
エルサレム:ベンヤミン・ネタニヤフ首相を支持するイスラエルの右派系勢力が、対抗勢力である中道派の行為は「独裁的」だとし、月曜日に議会の再開をボイコットした。
イスラエルではここ1年間、選挙が3度実施されるも明確な結果が出ておらず、またネタニヤフ首相が新型コロナウイルスによる世界的大流行に対応するため厳格な法的措置や安全対策を講じているが、このような政治的混乱が今回の劇的な動きに発展した。
ネタニヤフ氏率いる右派政党「リクード」は、3月2日の選挙後に議会クネセトの標準的な慣行に違反したとし、ガンツ元軍参謀総長率いる中道派の「青と白」を非難した。
今回の騒動で重点が置かれたのは、ガンツ氏が影響力のある議会委員会を、自身の勢力をわずかに多く取り込んだ議員構成にするかどうかという点だ。
国内で1442名の新型コロナウイルス感染者が出ている現状を「深刻な健康危機」としつつ、リクードは青と白の行為を「憎しみによる独裁的で破壊的な行為」だと非難した。
今月頭の選挙では、反ネタニヤフ勢力が、過半数をわずかに超える62議席を獲得した。
一方、右派と暫定政権を率いるネタニヤフ首相を支持する超正統派は、58議席を獲得した。
ガンツ氏は先週組閣を任せられたが、先の2度の選挙で反ネタニヤフ陣営の内部で大きな分裂が生じていることを考えると、極めて困難な任務となるだろう。
ガンツ氏が今回は健闘するという保証はまったくない。
月曜日の争議の焦点となった主要な準備委員会は、他の議会委員会の構成を担当する。
先週月曜日に新たなクネセトが発足したが、議会は委員会の構成で一致することができなかった。従来はクネセトの各派閥間で協議の上決定される。
しかし青と白は、この問題を多数決で判断すると宣言した。
リクードのメンバーでネタニヤフ陣営の1人であるクネセトのユーリ・エデルスタイン議長は、多数決投票の実施日を月曜日とした。
議会再開の数時間前、リクードはボイコットを宣言し、「不名誉な過程」には参加しないとした。
ガンツ氏側の連合はボイコットに関わらず投票を行い準備委員会を設置し、これを受けクネセトは新型コロナウイルスに取り組む新組織の形成といった任務を遂行する。
ガンツ氏はほとんど空席の議会を前に演説を行い、「クネセトを無効化」しようとしたとし、ネタニヤフ氏を非難した。
ネタニヤフ氏は、首相の座をめぐりガンツ氏と争う中、繰り返し同氏に統一政府の結成を呼びかけており、またルーベン・リブリン大統領も新型コロナウイルスの世界的大流行の最中、この呼びかけを支持している。
イスラエルは新型コロナウイルスを封じ込めるため、不要な渡航の禁止など、厳格な規制を加えている。
ネタニヤフ氏はまた、裁判所命令なしで、ウイルスに感染している可能性のある人を携帯電話経由で追跡するため、イスラエル総保安庁シンベトに協力を求めている。
しかしこれは、国家安全保障の行き過ぎだとする抗議を招き、最高裁判所が先週、そのような監視はクネセトの監督なしに実行されてはならないと判決を下している。
シンベトの監督任務を負う外交防衛委員会が、数日間内に形成される予定となった。
クネセトの議長権力についてもまた、激しい議論に発展した。
リクードは、新政権の発足までは、リクードのメンバーでありネタニヤフ支持者でもあるユーリ・エデルスタイン氏が議長職にとどまるべきだと主張した。
青と白は最高裁判所に介入を求めた。裁判官は月曜日、2日以内に新議長を決める選挙日程を定めるよう、エデルスタイン氏に伝えた。
エデルスタイン氏は、クネセトの議題を設定するのは裁判官の役割ではないとし、裁判所の「最後通告」を拒否した。
青と白はエデルスタイン氏に対し、裁判所に逆らったことで同氏は「屈辱的な形で人々の記憶に残る」だろうと声明文で警告を与えた。
ネタニヤフ氏はまた、汚職容疑で刑事責任を問われており、同氏はこれらの容疑を否定しているが、近いうちに立場が弱くなる可能性もある。ネタニヤフ氏に反対する国会議員らは、刑事告発を受けている者は首相の座に就くことはできないとする法案を支持している。
AFP