レバノン、シドン:レバノン南部へのイスラエルの空爆により家族全員が死亡し、瓦礫の下敷きになって14時間も閉じ込められていた2歳のアリ・ハリフェ君が生きて発見されるとは思ってもみなかった。
切断され包帯を巻かれ、呼吸器につながれ、彼には大きすぎる病院のベッドに横たわるAli君は「家族の中でただ一人の生存者だ」と父親の叔父であるハリフェさんは語った。
幼児の両親、姉、2人の祖母は、イスラエルがヒズボラ武装勢力への攻撃を強化した数日後の9月29日の空爆で全員が死亡した。
シドン市の海岸から約15キロ(9マイル)南にあるサラファンでの空爆では、アパート群が全壊し、住民によると、親戚関係にある人々を中心に15人が死亡した。
「救助隊は瓦礫の下から生存者を見つける望みをほとんど失っていました」と、45歳のハリフェさんはシドンの病院で、そこで治療を受けていた2歳の親戚についてAFPに語った。
しかし、「アリがショベルカーの瓦礫の中から現れたのです。私たちは皆、彼が死んだと思っていたのに」と彼は言った。
「瓦礫の中から、かろうじて息をしている状態で、14時間ぶりに姿を現した」と彼は語った。
イスラエルは9月下旬からヒズボラと交戦状態にある。イスラエルは、ガザ地区のハマス武装勢力との戦闘からレバノンとの北部国境の安全確保へと、戦闘の焦点を広げた。
低強度の国境越え砲撃がほぼ1年続いた後、イスラエルの空爆が激化し、保健省の発表によると、9月23日以降、レバノン全土で2,600人以上が死亡した。
サラファンでの空爆の後、アリ君が救急搬送されたシドンの病院でも、その兆候は明らかだった。
医師がアリ君の右手を切断した後、医学的措置により昏睡状態にあった幼児は、その後首都ベイルートの医療施設に移され、義肢装着前の手術を受ける予定である。
「アリは自宅のソファで寝ていたときに爆撃に遭った。彼は今日もまだ眠っている。手術が終わるまで起こさないでおこうと思っている」と、親戚のフセイン・ハリフェさんは語った。
サラファンでの爆撃の後、他の家族も生き延びるために戦っていた。
ハリファさんの姪の一人、32歳のザイナブさんは、瓦礫の下敷きになって2時間後に救出され、最寄りの病院に搬送された。
そこで彼女は、両親、夫、3歳から7歳までの3人の子供たちが全員死亡したことを知らされた。
この攻撃により、彼女は片目がひどく傷ついた。
ハリフェさんによると、ザイナブさんは「家族の家に降り注いだミサイルの音は聞こえなかった」と語った。
「彼女が見たのは闇だけ、そして耳をつんざくような悲鳴だけだった」と彼は言う。
彼女の治療にあたった医師のアリー・アラー・エルディン氏は、「ザイナブが負った精神的な傷は、彼女の肉体的な負傷よりもはるかに大きい」と語った。
また、同じ爆撃で負傷したザイナブの姉ファティマさん(30)の治療も担当している。
両者とも「全身に負傷しており、足の骨折と肺の損傷が見られる」と医師は述べた。
さらに、医療的な観点から、「ザイナブとファティマのケースは、戦争中に直面した最も困難なケースのひとつではないが、心理的および人間的な観点から見ると、最も深刻なケースである」と付け加えた。
AFP