
デイル・アル・バラ:病院当局によると、イスラエルによる一夜の空爆により、ガザ地区全域で少なくとも55人が死亡した。政府高官がイスラエルがガザ地区の広範囲を占領し、パレスチナ領内に新たな安全地帯を設けると発言した翌日の木曜日のことである。
イスラエルは、過激派組織ハマスが残る数十人の人質を解放し、武装解除してその地域から撤退するまで、18ヶ月近く続いているハマスとの戦争をエスカレートさせる構えを見せている。イスラエルは、食料、燃料、および人道支援物資の輸入を1ヶ月間全面的に停止しており、物資が枯渇するにつれ、一般市民は深刻な不足に直面している。
ガザ地区南部のハーン・ユーニス当局によると、14人の遺体がナーセル病院に運ばれたが、そのうち9人は同じ家族であった。死亡者のうちには5人の子供と4人の女性が含まれていた。また、ハーン・ユーニス近郊のヨーロッパ病院には、1歳から7歳までの5人の子供と妊娠中の女性を含む19人の遺体が運ばれたと病院当局が伝えた。ガザ市では、7人の子供を含む21人の遺体がアハリー病院に運ばれた。
イスラエル軍は木曜日、シュジャイヤ、ジャディダ、トルコメン、東ゼイトゥーンの複数の地区の住民に避難するよう命じ、「軍は皆さんの地区で最大限の力をもって活動する」と付け加えた。また、人々はガザ市の西にある避難所に移動すべきだと述べた。
水曜日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスに圧力をかけるためにイスラエルがガザ地区に新たな安全地帯を設置すると発表し、イスラエルが避難を命じた南部の都市ラファをパレスチナの他の地域から分断することを示唆した。
ネタニヤフ首相は、新たな安全地帯を「モラグ回廊」と呼び、かつてラファとハーン・ユーニスの中間にあったユダヤ人入植地の名称を使用し、この2つの南部の都市の間を通ることを示唆した。彼は、この新しい回廊を「第2のフィラデルフィ回廊」と呼び、さらに南のエジプトとの国境沿いのガザ地区を指している。この地区は、昨年5月以来イスラエルの支配下にある。
イスラエルは、かつての入植地にちなんで名付けられたネツァリム回廊の支配を再主張した。この回廊は、ガザ市のほかガザ地区の北部3分の1を、狭い沿岸地帯の残りの部分から分断している。既存の2つの回廊は、いずれもイスラエルの国境から地中海まで伸びている。
「我々は細長い地帯を切り開き、段階的に圧力を強め、人質を解放させるつもりだ」とネタニヤフは述べた。
ハマスのライバルが率いる、欧米が支援するパレスチナ自治政府は、計画中の通路について「完全拒否」の姿勢を示した。声明では、ハマスに対して、最近では珍しく抗議活動が起きているガザ地区での権力を放棄するよう求めた。
ネタニヤフ首相の発表は、イスラエル・カッツ国防大臣が、イスラエルがガザ地区の広大な地域を占領し、いわゆる「安全地帯」に追加する、と述べた後に発表された。同大臣は、ガザ地区の全周に沿って存在する緩衝地帯を指していると思われるが、ガザ地区の住民に対して「ハマスを追い出して、すべての人質を解放せよ」と呼びかけ、「これが戦争を終わらせる唯一の方法だ」と述べた。
ハマスは、生存しているとみられる24人を含む残る59人の人質を解放する条件として、より多くのパレスチナ人囚人の釈放、恒久的な停戦、イスラエルの撤退を求めている。ハマスは、武装解除やガザ地区からの撤退を求める要求を拒否している。
AP通信