
Menekse Tokyay
アンカラ:装甲車15台と、兵站の物資を積んだトラックを連れたトルコの車両隊が、シリア最後の大規模反政府勢力のとりで、イドリブに配備されたことで、新たな軍事攻撃が懸念されている。
報道によれば、車両隊は、Kafr Losinの国境検問所からシリア領内に入った。トルコの監視所への供給が目的だという。
ハイアト・タハリール・アル・シャーム(HTS)は、イドリブで依然として支配的な反政府組織であるが、最近、過激派聖戦士への圧力を高めることで、この地域における軍事的足跡を強化した。
しかし、シリアはHTSをテロ組織リストに入れているにもかかわらず、HTSは、切り下げられたシリアの通貨の代わりにトルコ・リラを流通させた後、トルコ政府に対し、実際的なアプローチを選択した。
6月初旬に会議を招集した後、シリア・ポンドをトルコ・リラに換えることを決めたのは、HTSが支援する、イドリブの救国政府に関係するシューラ評議会だった。
HTSは、トルコに味方している、とライバルから批判されている。HTSは、トルコとロシアの兵士が定期的にパトロールしている戦略上重要なM4高速道路を封鎖しようとする地元の企てを防ぐようトルコ政府から指示されたと伝えられたからだ。
HTSは、戦闘員30人が死亡した後、停戦し、Huras Al-Din氏が率いる挑戦者グループとのイドリブでの内紛を終わらせた。しかし、代わりに地域を支配する者や、HTS内部からの脱落者に対し、広範囲にわたる取り締まりを依然として続けている。HTSは、謀反と離脱の罪でAbu Malek Al-TaliやAbu Salah Al-Uzbekiといった数人の幹部を拘束した。
トルコ-ロシア関係の専門家であるAydin Sezer氏は、イドリブの現在の状況は時限爆弾のようだと述べた。
「シリア政権軍やトルコ軍を動員するような挑発を含め、どんなことでも、いつでも起こる可能性があります」と同氏はアラブニュースに語った。
アスタナ、ソチ、そして3月5日のロシアとのモスクワでの合意の下、トルコは、HTSを含む、その地域の全てのテロリスト集団を排除することを約束した。
「3月の最近の合意では、ロシア政府はトルコ政府に対し、6カ月以内にテロリストを一掃するよう期限を課したと伝えられています」とSezer氏は付け加えた。
「私たちは既に、この期間の4ヶ月目を迎えました。この期間にバッシャール・アサド大統領政権がトルコ軍に対して攻勢に出るのをロシアが防いだのだと個人的には思います」
Sezer氏によると、最近のHTSと、関連のある集団によるロシアの基地への攻撃は、ロシア政府に対する挑発行為だという。
だが、トルコ政府の優先事項は当面、イドリブからトルコ国境に向かう難民の流入を防ぎ、アルカイダに影響を受けたグループのトルコに対する怒りを避けることだ。
スレイマン・ソイル内相とトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領とその妻のエミン・エルドアン氏は最近、トルコ国境近くのキャンプで避難場所を探している、住む場所がなくなったシリア人にれんが造りの家を数十軒寄贈した。その地域で停戦違反があった場合に彼らをシリア領内に留めるのが狙いだ。
ルンド大学中東研究センターと提携した研究者であるOrwa Ajjoub氏は、HTSはトルコ政府と、ある種の相互依存関係を作ることができたと述べた。
「例えば、2019年1月、HTSの指導者であるアブ・ムハンマド・アル・ジャウラニ氏は、トルコが支援する民族解放戦線に対するHTSの攻撃に関してトルコが沈黙した代わりに、トルコが、PKK(クルド労働者党)を壊滅させるために北東シリアで実行する可能性がある作戦への支持を表明しました」と同氏はアラブニュースに語った。
Ajjoub氏は次のように述べた。最新の動向は、トルコ・リラの導入とともに、トルコへの依存度を高めることによってHTSを追い詰め始めている一方、5月のトルコによる軍事介入の後、勢力図が変化したが、それがなければシリア政権はおそらくイドリブに進出していただろう。
「しかし、これはトルコがもはやHTSを必要としていないことを示してはいません。イドリブで最も勢力のあるグループとして、HTSはイドリブに治安をもたらし、安定させ、統治しています。さらに、過激な聖戦士集団を排除することで、トルコがソチとアスタナでした約束を達成することができます」
しかし、イスタンブールを拠点とするオムラン戦略研究センターの軍事アナリスト、Navar Saban氏は、トルコが今、HTSに対して何らかの作戦を行うならば、現在HTSが提供しているイドリブの行政・保安サービスに対し、「プランB」を提示する必要があると述べた。
「トルコ人は、このようなサービスをイドリブに提供する立場にはありません。それが、トルコがHTSに対して大規模な作戦を行わない主な理由です。HTSは広く受け入れられているグループではないものの、多くの統治の任務を自ら管理しているため、トルコ人は彼らを監視し続けています」と同氏はアラブニュースに語った。
専門家らは、トルコ軍のイドリブでの駐留および相互依存的な地域力学に対してロシアが取り得る反応について懐疑的だった。
「ロシアには、北部でのトルコ軍の増援は見えはしないが、疑いの目で見ていました」とAjjoub氏は述べた。
「それにもかかわらず、トルコ政府が、トルコ人兵士が40人以上殺害された後に結ばれた3月5日の合意を破ることはないと思います」
Ajjoub氏によると、トルコが最近駐留しているのは、今後の協議で有利な立場を得るためだという。
「ロシアとトルコには、もう一つ未解決の戦線、リビアがあることを私たちは忘れてはいけません。シリアで起きていることはリビアで感じられるし、その逆もあります」