
アラブニュース
アンカラ:トルコは、東地中海の対立がある海域での地震探査船オルッチ・レイスによる調査活動を、11月14日まで延長した。
先週トルコとギリシャを襲ったマグニチュード7.0の地震を受けて、1999年のように地震に対応する外交を行う期間になると予想されていたが、トルコのこの動きは、地域の緊張に再び火を付けるとみられる。
トルコが発した新しい航行警報(Navtex)は、ギリシャのロードス島から16海里沖とカステロリゾ島から50海里沖の海上調査を対象としている。
ギリシャ外務省はトルコの動きを非難した。
同省は「この行動は、援助の提供や支援と連帯の表明に注目が集まっている不安定な地域にさらなる緊張を生み出すものだ」とプレスリリースで述べている。
「これらの行動は、トルコに対しこれらの行動を止めるよう求めた10月の欧州理事会の結論を含めた国際社会の訴えに背いてトルコが行動し続けていることを改めて示している」と同省は付け加えた。
ギリシャのニコス・デンディアス外相は同盟国や協力国に対して事態の最新の進展を通知する予定。
EU首脳は10月2日、トルコに対する経済制裁を検討する前に、トルコが東地中海での行動を再考するための猶予を12月初旬まで与えることで合意した。
アテネに拠点を置く地政学の専門家、エヴァンゲロス・D・コッキノス氏は、トルコは、ヨーロッパが制裁を課すことができないことを利用するためにNavtexを発したと考えている。
「ほとんどのヨーロッパ諸国はトルコの敵対行為を『非難』すると期待されているが、制裁は不可能だ。トルコがこの地域での調査活動を拡大するのは、国際法とギリシャの主権を無視したもう1つの例だ」と同氏はアラブニュースに語った。
トルコがどのような地域緊張を引き起こすかについて、コッキノス氏は、トルコはすでにほとんどの近隣諸国に深刻な問題を引き起こしているが、ギリシャもトルコもNATO加盟国であるため、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はアテネを挑発して軍事衝突を開始させ、NATOにトルコを支持するよう仕向ける戦略を持っていると考えている。
「このため、地中海冷戦のような緊張状態が続くだろう」と同氏は述べた。
中東報道分析センター(Middle East Center for Reporting and Analysis)の事務局長、セス・J・フランツマン氏は、「挑発的なNavtexの更新は、トルコ政府が押し進めた最も新しい危機だ」と言う。
「トルコは10月初旬にはすでにNavtexを宣言していた。ギリシャやヨーロッパ諸国は、これらの航行通知の使用を非難している」と同氏はアラブニュースに語った。
フランツマン氏は、トルコはギリシャを挑発する方法としてNavtexを使用していて、これはNavtexの考え方を濫用するものだと考えている。
「トルコは過去数か月の間に何度も挑発を行い、その都度、ある危機から別の危機へと移ってきた。トルコはフランスとアルメニアを挑発し、今度は、ギリシャに対する攻撃に取り掛かっている」と同氏は述べ、次のように付け加えた。
「最近の地震でギリシャなどがトルコに援助を申し出たことに対し、トルコ政府が海軍による挑発と脅しで応えたことは、さらに恥ずべきことだ」
海上の対立は、ギリシャとキプロスが管轄を主張する海域にトルコが最初にオルッチ・レイス号を派遣した8月に激化した。トルコ政府は先月、10月2日の欧州連合首脳会議を前に、外交の余地を残すために掘削船を撤退させた。同首脳会議では、キプロスとギリシャがトルコに対する厳しい制裁を要求した。
エネルギーが豊富な地中海地域での権利を主張するトルコは、10月12日に再び船を派遣し、国際社会の反発を引き起こした。この行動は、大陸棚の範囲と地域の炭化水素資源についての主張について論争している2つの隣国間の潜在的な軍事的衝突についての懸念を引き起こした。