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ポンペオの西岸入植地訪問、パレスチナ人を激怒

イスラエルが併合したゴラン高原のベンタル山に関する安全保障のブリーフィング後、マイク・ポンペオ米国務長官と会話を交わすイスラエルのガビ・アシュケナージ外相(左)。(AFP)
イスラエルが併合したゴラン高原のベンタル山に関する安全保障のブリーフィング後、マイク・ポンペオ米国務長官と会話を交わすイスラエルのガビ・アシュケナージ外相(左)。(AFP)
緊密な同盟国であるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(中央)と会談後、ポンペオ(左)は、「今日はゴラン高原を訪問する機会を得た」と発表。 (AFP)
緊密な同盟国であるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(中央)と会談後、ポンペオ(左)は、「今日はゴラン高原を訪問する機会を得た」と発表。 (AFP)
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20 Nov 2020 10:11:41 GMT9
20 Nov 2020 10:11:41 GMT9
  • ポンペオ、占領下のゴラン高原も訪れる
  • 米国務長官、親パレスチナのBDS運動を「癌」呼ばわり

エルサレム:米国務長官マイク・ポンペオは木曜日、占領下のヨルダン川西岸にあるイスラエル入植地を訪れた最初の米国外交官となった。訪問先では、国務省としてこれまでの政策の大転換を行い、入植地の製品に「イスラエル製」のラベルを付けることを認める発表を行った。

この2つの動きは、トランプ政権がイスラエル入植地を正式に認めたことを反映しており、パレスチナ人及び国際社会の大半では、明らかな国際法違反であり、平和への大きな障害となると考えている。

ポンペオはまた、米国は今後、パレスチナ主導の国際的なイスラエルボイコット運動を「反ユダヤ主義」として認証し、参加するグループが政府資金を受け取ることを禁じると発表した。 この発表により、どのグループが具体的に影響を受けるかは現段階では明らかになっていない。

ポンペオの発表はほぼ象徴的な意味合いしか持たず、イスラエルとパレスチナ人による、より公平なアプローチを約束した次期大統領のジョー・バイデン政権によってまた元に戻される可能性がある。それでも、ポンペオをはじめ、退任するトランプ政権は、やはり強硬路線を取るイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との間の深いつながりを誇示している。

ポンペオはツイッターの投稿で、エルサレム近くの集落にあるプサゴットワイナリーを訪問した事を認めている。このワイナリーは、入植地に対する彼の姿勢に感謝して、昨年、国務長官にちなんで「ポンぺオ」と名付けた赤のブレンドワインを発売している。記者は彼に同行することを許されなかった。

「今日は風光明媚なプサゴットワイナリーでランチを楽しんだ」と、ポンペオはツイートしている。「残念ながら、プサゴットやその他イスラエルの入植地の企業は、イスラエル企業のボイコットを声高に要求する悪質なEUのラベリングの取り組みの標的にされてきた。米国はイスラエルを支持しており、いかなる形式の非合法的活動を容認しない」

EUは、世界の他の国々同様、イスラエルの入植地に反対しており、そうした占領地からの輸入品には、ヨルダン川西岸からの輸入品としてラベルを付けることを求めている。

ネタニヤフもポンペオも米国の大統領選挙結果については言及しなかった。トランプのように、ポンペオもまた、まだバイデンの勝利を認めていない。ネタニヤフは今週初めにバイデンを祝福し、公式声明では彼を次期大統領として認めている。

ポンペオは入植地を後にしてから、1967年の中東戦争でシリアから奪い、後にイスラエルに併合した戦略的な土地、ゴラン高原を訪れている。国際社会の他の国々とは分断し、トランプ政権は昨年、入植地をイスラエルの一部として認めている。

ポンペオのゴラン高原訪問には、1973年の中東戦争時に、シリアの戦車侵攻に対抗してイスラエル軍を率いて闘ったことで名を馳せ、叙勲されたイスラエルの退役将校であるガビ・アシュケナージ外相とアビグドル・カハラニが付き添っている。

「以前の大統領の多くが避けてきたことを、トランプ大統領は認めた。だからこそ、ここに立って国境の向こうの現実を見据えることができる」と、ポンペオは語った。「ゴラン高原はイスラエルの一部であり、イスラエルの中心部でもある」

ポンペオはゴラン高原を訪れる前に、米国はパレスチナ主導のボイコット運動を「反ユダヤ主義」と見なし、同運動に賛同する組織に対する政府の支援を遮断することを発表した。これは、パレスチナ人および国際人権団体への資金提供を拒否する可能性がある措置である。

「我々は、世界的な反イスラエルBDS運動を反ユダヤ主義と見なす」と、ポンペオはボイコット、投資撤収、制裁運動を名指しで非難している。

ポンペオは、「我々は、不愉快なBDSの行為に従っている組織を特定し、そのようなグループに対する米国政府の支援を撤回するための措置を直ちに講じる」と述べると共に、すべての国が「BDS運動は癌そのものであることを認めるべきである」と主張した。

BDSの主催者は、南アフリカのアパルトヘイトを終わらせるのに役立った運動をモデルに、パレスチナ人に対するイスラエルの政策に抗議する非暴力的な方法として現在の運動に取り組んでいる。この運動は、これまでに大学のキャンパスや芸術家や芸能人の間では成功をおさめているが、広がりに欠け、イスラエル経済に影響を与えるまでには至っていない。

イスラエルはBDSの存在そのものをイスラエルへの攻撃と見なしており、BDSの主催者団体は否定しているが、反ユダヤ主義を非難するため、一部支持者の声明を押収している。

押収した声明の中では、BDS運動は「反ユダヤ主義を含むあらゆる形態の人種差別」の拒絶をうたい、パレスチナ人の権利の擁護を沈黙させようとしたとして、米国とイスラエルを非難している。

「パレスチナの自由、正義、平等を求めるBDS運動は、より威厳のある、公正で美しい世界を求めて奮闘しているすべての人々を支持している」とも主張されている。「私たちは、多くのパートナーと共に、パレスチナ人、イスラエル人、そして国際的な人権擁護家を脅迫し、イスラエルのアパルトヘイトと入植地植民地主義を運命として受け入れるよう強いるマッカーシズムの試みに断固として抵抗する」

どの組織が米国の資金を失うリスクがあるのかは、現段階では不明である。イスラエルは、ヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルのような国際的な人権団体がBDSを支持していると非難するが、そうした団体は嫌疑を否定している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのイスラエル駐在理事は、過去の声明でBDSを支持したとされ、昨年イスラエルから強制送還されているが、イスラエルをボイコットすることまでは求めていなかったが、人権侵害に加担することになるとして、企業に西岸の入植地でのビジネスを避けるよう促している。アムネスティもまた、イスラエルのボイコット運動を支持する立場をとっていない。

「トランプ政権は、反ユダヤ主義の惨劇に対する普遍的な戦いを、ボイコットという平和的な支援運動と同一視することで、逆に弱体化させている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東および北アフリカ局長代理のエリック・ゴールドスタインは述べている。

アムネスティ・インターナショナルUSAの暫定事務局長であるボブ・グッドフェローは、米国の決定を、「世界中の人権のために立ち上がっている人々を沈黙させ、嫌がらせをし、脅迫し、抑圧しようとする人々への贈り物」だとしている。

イスラエルは、イスラエルまたはその入植地の経済的ボイコットを呼びかけた外国人の入国を禁止する法律を2017年に可決している。米国下院は昨年、ボイコット運動に反対する決議を可決し、米国の州の中には、反BDS法を制定したところもある。

アメリカ自由人権協会のシニア法律顧問であるケイト・ルアンは、イスラエルを批判するグループへの資金拠出を阻止すると脅迫することは「明らかに違憲」であると述べた。

EUの元外交政策責任者であるフェデリカ・モゲリーニは、在任中、BDS運動そのものには反対したが、言論の自由として、ボイコットを求める運動の権利は支持すると述べた。

事実上すべてのパレスチナ市民社会グループはボイコット運動を支持している。ドナルド・トランプ大統領の下で、米国はすでにパレスチナ人へのほぼすべての形態の援助を断ち切っている。バイデンは、和平プロセスを復活させる一環として、援助を再開することを約束している。

ポンペオはネタニヤフとの記者会見で、トランプ政権下でイスラエルと米国の同盟は「前例が無いほど深まった」と、語った。

ネタニヤフは、トランプ政権に対し、米国大使館を論争があったエルサレムに移転し、イスラエルの入植地が国際法に反するというそれまでの米国の立場を放棄し、イスラエルのゴラン高原の併合を認め、イランに対して強硬な態度をとったことを感謝した。

イスラエルは1967年の戦争で東エルサレムと西岸を占領している。パレスチナ人は両方の土地での主権を主張するが、広大な入植地でのネットワークの広がりは、国家として独立の希望をほとんど奪っていると主張する。

パレスチナのマフムード・アッバース大統領のスポークスマン、ナビル・アブ・ルデネは、ポンペオが入植地を讃えたことに苦情を述べると共に、米国政府が「パレスチナの土地の占領に積極的に加わっている」ことを非難した。

ポンペオが火曜日、世界のキリスト教正教徒の指導者と会談しながら、政権の指導者との会談は素通りし、当局者を怒らせたトルコは、入植地訪問は国連決議に違反し、「イスラエルの違法行為を合法化する、重大な一歩」であると述べた。

圧倒的にイスラエルを支持し、パレスチナ人に拒絶されているトランプの中東計画は、イスラエル人約50万人が既に居住している全ての入植地を含む西岸の最大3分の1を併合することを可能にする。

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