
バグダッド:米国は、バグダッドとイラクにある米国大使館から職員の一部を引き上げており、地域の安全保障上の懸念から、一時的に職員の数を削減している、と米高官らは3日、述べた。
米国のMathew Tueller大使は、今回の削減は大使館の仕事に影響を与えないだろうと述べ 、「しばらくの間」大使館から務めを果たし続けるだろうと付け加えた。
「私は、米外交官や米国のイラク軍担当顧問の中核チームの支援を受けて、そうするつもりだ」と同氏は3日の晩、米大使館のFacebookページに投稿された、動画での声明で述べた。イランと米国の同盟国との緊張が高まり、米国がバグダッドにある大使館の職員の一部を引き上げている、と地元で報道されたことを受けたものだ。
引き上げる職員の人数はすぐには明らかにされず、Tueller氏は理由の説明もしなかった。
しかし、米国の空爆によりイランのガセム・ソレイマニ司令官とイラクの武装グループの幹部らが1月にバグダッドの空港付近で死亡したが、その1年後にイランが報復攻撃を行う可能性があるとの懸念から、今回の決定はなされた、と米高官は述べた。その殺害は怒りに火を付け、数日後にイラク議会は、外国の軍隊をイラクから排除することを要請する、拘束力のない決議を可決した。
政府はその後、そのような脅迫をやめたが、イラクのムスタファ・カディミ首相は依然として、米軍を追い出すよう、イランと提携するグループから圧力を受けている。
その米高官は、記者声明を発表する権限がないため匿名を条件に、先週テヘランで起きた、イランの核科学者モフセン・ファクリザデ氏の殺害に対し、イランが報復する可能性についても懸念を示した。
イランは、今回の暗殺は米国の同盟国イスラエルの仕業だと非難している。イスラエルは、過去10年にわたってイランの核科学者を殺害しているとして長年にわたり疑われてきたが、今回の襲撃についてコメントすることを繰り返し拒否している。
大使館からの一部撤退は、先月、退陣するトランプ政権が発表した、イラク、アフガニスタンに駐留する軍隊の削減が行われる中、行われている。米国は、トランプ氏が官邸を去る前、1月中旬までに、イラクに駐留する軍隊の数を3000人から2500人に減らすことを計画している。
イラク政府は、「予防と安全のための措置」として米大使館から職員の一部を引き上げることを通知された、とイラク政府当局者は述べた。
その当局者によると、ローテーションを終えたスタッフや、休暇を取ったスタッフがいたこともあって、撤退が行われたという。その当局者は規則に従い、匿名を条件に話した。
9月、トランプ政権はイラクに対し、イラク政府が、イランが支援する民兵による、イラク国内の米国と同盟国の国益に対するロケット攻撃やその他の攻撃を止めるために断固たる行動を取らなければ、バグダッドにある大使館を閉鎖すると警告した。
AP