• 国家の司法組織は国民の権利ではなく国家を擁護する、と専門家はアラブニュースに語る
• HRW : テヘランは、「速やかに適切な補償を支払い、そして透明で公平な調査を行うべきだ」

クリストファー・ハミル・スチュワート (Christopher Hamill-Stewart)

ロンドン : 二発のイランのミサイルによってウクライナ国際航空の航空機が撃墜されてから一年、ヒューマン・ライツ・ウォッチ (HRW) はテヘランに対し、撃墜に関する「透明で信用できる調査」の実施を要請し、公正を要求する家族やその他イラン人に対する締め付けを批判した。

HRW はテヘランに対し、「国際的な組織と協力して真実を明らかにし、犠牲者の家族に対し、公正と適切な救済を提供するよう要請した。

752 便はテヘランを離陸して数分後、イスラム革命防衛隊 (IRGC) の二発のミサイルによって撃墜された。

176 人の乗客および乗員全員が死亡し、その中には国家最高峰の大学のイラン人学生が多数いた。

「墜落したジェット旅客機の 176 人の犠牲者の家族は、愛する者の死に対し誰が責任があるのかについて知る資格があります」、と HRW 中東副責任者、マイケル・ペイジ (Michael Page) は話した。

「イラン政府は、家族に対し速やかに適切な補償を支払い、透明で公平な調査を行い、立場や地位に関係なく適切な起訴を行うべきです。」

テヘランは、調査への参加を許可していないことで、ウクライナ政府から批判を受けている。

カナダ政府は、犠牲者の大部分が同国民であるため、テヘランに対し複数国による調査の許可を繰り返し要求している。

またイギリス政府は金曜日、ウクライナ、カナダ、そしてアフガニスタン政府と共同声明を発表し、その中で「イランに対し、この最悪の航空機墜落事故の原因となった事象と決断についての完全かつ詳細な説明を緊急に要求し」、「イランに対し、公正さをもって説明する」ことを約束させた。

撃墜とそれに続いて IRGC の役割を隠ぺいしたことは、公正を要求するイラン人による全国規模の抗議に火をつけた。

HRW によると、過去 1 年の間、抗議者のうち少なくとも 20 人は、抗議を理由に起訴されているが、航空機撃墜における裁判は未だ誰一人として受けていない。

「当局はすぐに、そして無条件にこの平和的抗議に対する起訴を取り下げ、被害者家族を脅すことを止め、非道行為を行ったものが説明するように努力するべきだ」、とペイジは話した。

司法担当スポークスマンによると、航空機墜落事故に関連して 6 人が逮捕されているが、そのうち 5 人は現在保釈されている。

しかし、この人々が真の公正を目にする機会は存在しない、とペルシア語新聞イラン インターナショナル (Iran International) 編集者サデク・サバ (Sadeq Saba) はアラブニュースに話した。

「イランの司法機関はイランの個人の権利を擁護するためではなく、国家を擁護するためにあるのです」、とサバは話した。彼は 1979 年の革命以前、同国で弁護士として働いていた。

ミサイル攻撃に対する抗議者を有罪とすることは「公正という茶番」であり、まったく驚くことではない。「テヘランでは罪の加害者ではなく犠牲者が起訴されることは普通の事だからです」、と彼は加えた。

撃墜に対する責任があるのが、軍事的そして政治的にイラン最強組織である IRGC の一員であったため、政権は、自身とその体裁を守るために、公正の要求を有罪としたり、真実と解決を求める被害者家族に嫌がらせをするといったことを含め、どんなことでもするだろう、と彼は話した。

イラン政権は、「被害者家族が公正であることを要求することを止めさせるために、脅したり嫌がらせをしてきたのです」、と HRW は話した。

真実を要求する被害者家族は、「助けを必要とする犠牲者」というよりは、「国家の敵」そして「脅威」であるとテヘランは見なしていることがその理由だ、とサバは話した。「イスラム共和国ではずっとこうなのです」、と彼は加えた。