
ロンドン:ドナルド・トランプ大統領が、任期最終日の国内向け演説の中で中東における実績を強調した。
近く退任する大統領は、4年間の任期中に米国の中東政策を転換させた出来事として、イスラエルとアラブ諸国との関係を回復させた協定やISILの壊滅を取り上げた。
トランプが2015年の核合意から脱退した後、米国が「最大限の圧力」をかけ続けたことでイラン経済が疲弊し、多数の高官や団体がブラックリストに入った。
ジョー・バイデン次期大統領が就任する前日の19日に公開された演説は、イラン政府に対するトランプの厳しい姿勢に言及していた。
「われわれは圧政を敷くイラン政府に立ち向かい、世界No.1のテロリストだったイランの殺戮者ガーセム・ソレイマニを倒した」とトランプは語った。
ソレイマニ司令官は民兵の訓練や武器密輸など、イランの海外での活動を指揮していた。司令官は1年前、米軍がバグダッドの空港を空爆した際に死亡した。
大統領はまた、ISIL指導者アブ・バクル・アル=バグダディにも言及した。バグダディはシリア北部で発見された後、2019年10月に米軍特殊部隊によって殺害された。
「われわれは ISIS(ISIL)の本拠地を壊滅させ、その設立者にして指導者だったアル=バグダディの哀れな人生を終わらせた」
だが、トランプ大統領が中東政策の一番の実績だと考えているのはおそらく、UAE、バーレーン、スーダンなどのアラブ諸国とイスラエルとの間で結ばれたアブラハム合意だろう。
トランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都に認定し、パレスチナ人の大きな怒りを買った後、アブラハム合意が成立した。
この合意もまたパレスチナ人を怒らせた。さらにトランプは、数十年に渡って中東を荒廃させてきた対立の解消方法を探ろうと、義理の息子のジャレッド・クシュナー大統領上級補佐官の主導の下行動したが、火に油を注ぐ結果となった。
「われわれの勇気ある外交と原則に基づく現実主義の結果、中東において一連の歴史的な和平協定が実現した。誰もが実現不可能だと思っていた。アブラハム合意は暴力と流血ではなく、平和と調和をもたらす未来の扉を開いた。新たな中東の夜明けを告げるもので、米兵も帰国の途についている」とトランプは述べた。