
Ephrem Kossaify
ニューヨーク:国連の人権専門家達が火曜日、シリア北東部に位置する悪評高いアル・ホル収容所やロジ収容所にその国民が拘留されている57か国に向けて、国民を「遅滞なく」送還するよう要請した。
そうしないということは国際法の下では拷問を加えているのに等しい可能性があると警告した。
専門家たちは、90,000人以上のシリア人、イラク人、そして「第三国の国民」達が住む人口過密なキャンプでの治安状況の悪化と、人道的状況の劣化について警鐘を鳴らした。そのほとんどがダーシュ兵士と家族関係にある女性や子供達だ。
住民の大半は、ダーシュが本拠地であったデリゾールの東部地方で敗北した2019年の後に移されてきた。だが、数千人はすでに2016年からアル・ホルにいた。
「明確な理由も無く続く収容所での女性や子供達の拘留は重大な懸念事項であり、説明責任、真実、正義への歩みを台無しにしている、」と12人の特別報告者達が共同声明で語った。
特別報告者たちは個々の許容範囲内で、原則自由意思にて国連人権理事会に従事する独立した専門家達である。彼らは国連職員ではなく、その働きに金銭は支払われていない。
彼らは劣悪な条件により未知数の収容者達が既に亡くなっている、収容所での厳しい生活を描写した。頻発する暴力、搾取、虐待、剥奪等の存在を強調し、国民がそのような状況にさらされることを許し続ける国々は、国際法の下で拷問の罪を犯している可能性があると言った。
「知っていながら国民達を法治の保護範囲外に放置している国々は、国際人権法の下での国家の義務に違反する可能性があり、逆生産的である危険性を孕んでいます、」と専門家達は言った。
人権法を専門とするアイルランド人弁護士であるFionnuala Ní Aoláin氏は、テロに反対しながら人権の促進と保護を専門とする特別報告者である。
彼女はアラブニュースに「教育や保健、最も基本的な人権保護さえも無いまま、何千人もの女性や子供達を非人道的な状況で不毛な砂漠に放置すれば、脱する機会の無さを前提に置くと、(特に)収容所の若年者達の急進主義化と暴力を助長する条件を作り上げます、」と伝えた。
「国家がそれを理解するのに、国連の人権専門家達は必要ありません。もし国家が(収容所にいる)国民の事と等しく長期的な安全保障上の利益について考えているのなら、送還するはずです。状況をこのまま放置すれば危険と安全保障上の問題は増える一方です。それは収容所にいる個々人たちだけでなく、更に広い国家自体の安全保障に関わります。」
シリア内の人権問題に関する安全保障理事会の最新の会合で、出席者たちは収容所に拘留されている外国人達について取り組むよう求められた。英国大使のバーバラ・ウッドワード氏は犯罪者とされる者は犯罪が起きたその国で起訴されるべきであるという理由で、英国政府は収容所の国民の送還に反対であると繰り返した。
だがNí Aoláin氏はこう言った。「シリア北東部で公判が行われる可能性は0です。シリアとイラクのどちらにも、今回関係する規模と複雑さの公判を行う能力が無いというのは誰から見ても明らかです。もしそのような公判が正当化されるのであればですが」。
いずれの国家でも公正な公判が行われることについては奥深く深刻な懸念があります。国家ではない参加者達が国家に代わって公判を行う事は想定していないと捉えています。公判は行われないのですから、これ(米国の主張)は架空の主張です」。
これがいくつかの国家で引き起こる事を許してしまうのは、説明責任を果たすフリです。イラクとシリアのテロ被害者たちにとっての唯一本当の説明責任とは、罪を犯したそういった人々を、公判を行う能力がある国に返す事だというのに。
報告者たちは、去年7月のシリア民主主義勢力による女性と子供達の大規模な生態測定情報収集の問題も挙げた。
「収集元となった国々でこの情報が共有された事と、情報の収集や共有に関して対象となった女性や子供達からの同意がない事に、私たちは懸念を抱いています、」とNí Aoláin氏は言った。
「私たちはこの情報収集と共有が個々人達の持つ一定の不可侵の権利、例えば市民権への権利や平等に扱われる権利等の更なる剥奪に使われる事に、深い懸念を抱いているのです」。
専門家たちは収容所に国民がいる57の国家に対して、送還手続きは国際人権法に沿って実施されなければならない事、個々人達が故郷に戻った際に更なる人権侵害に晒されてしまわないよう努める事、そして社会的、精神的な復帰にむけて積極的に支援するよう説いた。
Ní Aoláin氏は国民の送還に失敗した57の国々の一覧は「本当に恥の一覧です。国家による安全保障と人権保護の失敗を物語っています」と語った。
彼女は更に付け加えて「国家はこの一覧に載りたくはないはずです。そして多くの国家はこの(COVID-19流行の)間にも、積極的に一覧から外れられるよう動いています」。
「一部の国家はそういった意味での努力を一切行っていません。ですが最も攻撃を受けやすい国民達を故郷に返す政策で、衒学的な正当化としか言いようのない失敗した安全保障政策と、人権が欠如していて人道的に破綻した失敗の政策に取り組んでいるのです」。