
メネクセ・トクヤイ (Menekse Tokyay)
アンカラ : 米国主導の反ダーシュ同盟は、テロ組織の残党を排除するため、トルコ – シリア国境沿いに新たに軍事基地を設立する予定だ。これは、アメリカ大統領ジョー・バイデンの政権が掲げる、重要な中東政策における優先事項である。
基地は、シリア北東部ハサカ県のアイン・デワール地区に配置予定である。
先月、ロシアの軍事警察が、デリク (Derik) 市北部のアイン・デワール村で米国が使用していた高速道路近くに展開した。イラクにある同国の基地に向け、後方支援や軍事増援物資を輸送するためである。
シリア人権監視団は先週、50 台を超える車両やトラックが、同盟の新たな車両集団としてシリア領土内に到着したことを確認した。
軍の車両集団は、武装車両、後方支援機器、そして武器を輸送しており、伝えられるところによると、イラク北部のクルド地域政府の統治地帯からシリア北東部に越境しているところが目撃された。
ダーシュとの戦闘において、シリアのクルド人民防衛隊 (YPG) と地元で協力する場合には、アンカラの怒りを買うことが予想される。アンカラは同隊のことを、クルディスタン労働者党 (PKK) とつながりがあるという理由で、テロ組織と考えているからだ。
2014 年 9 月、米国は、ダーシュを倒すための広範にわたる国際的な同盟の編成を発表した。翌年トルコは、同国南部のインジルリク空軍基地を同盟軍に開放し、同盟に参加し始めた。
米国が、シリア北東部に長期にわたって駐屯するつもりであるのならば、アイン・デワールに新たな基地を設けることは理に適っている、とワシントンに拠点を置く「戦争研究所 (Institute for the Study of War)」の対政府関係ディレクター、ニコラス・ヘラス (Nicholas Heras) は話した。
「基地は、イラクのクルド人自治区からシリア北東部への最も重要な入口のそばに配置されるでしょう。ここは、ダーシュに対抗する軍事作戦の補給増援のほとんどが、通過してシリアへ入る地上の場所です」、と彼はアラブニュースに話した。
また、アメリカ人は、この基地からドローンのような空中兵器を展開することもでき、残っているダーシュの最高幹部を偵察、標的とすることにも有益であろう、とヘラスは指摘した。
「しかし、アイン・デワールは前進作戦基地であって、規模や設備を備え、インジルリクに永続する基地ではありません」、と彼は加えた。
「インジルリクは、半世紀を超えて NATO の計画の重要な一翼を担っている主要施設です。インジルリクの目的は戦略で、強力な競争相手、特にロシアに対する NATO の軍事作戦を支援することです。」
アイン・デワール基地の意義は、特定の戦域における特定の軍事活動、ダーシュに対抗するシリア北東部での反テロ活動だ、とヘラスは指摘した。
「アイン・デワールの増援は、インジルリクの義務というわけではありません。アルビール空軍基地から増援する可能性が高いでしょう」、と彼は話した。
新たな基地は、この地域の米国の戦略にとって不可欠なものだ、と、イスタンブールに拠点を置くオムラン戦略問題研究所 (Omran Center for Strategic Studies) の軍事アナリスト、ナバール・サバン (Navvar Saban) はアラブニュースに話した。
「複数のアメリカ軍隊が撤退した後、イランを支持する市民軍やダーシュは攻撃を行い、米国の存在に挑戦を挑んできました。それゆえ、テロ集団の攻撃からこの地域の安全を保障することが戦略だったのです」、と彼は話した。