

エルサレム:4月27日(火)、国際人権監視機関は、イスラエルがパレスチナ人およびアラブ系少数派に対するアパルトヘイトと迫害にあたる政策を推進しており、それは人権に対する犯罪に相当するとしてイスラエルを非難した。
ニューヨークを拠点とする人権監視機関ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が213ページにわたる報告書を発表した。それによると、イスラエルをアパルトヘイト時代の南アフリカ共和国に例えるつもりはないが、その「具体的行動または政策」が国際法に定義されているアパルトヘイトに相当するとみなされるという。
イスラエル外務省はその訴えを「実に不条理で誤った」ものとして拒絶し、HRWはいつまでも「反イスラエル的問題」を嗅ぎ回っており、「何年間もイスラエル排斥運動を推進しようとしてきた」と発言した。
パレスチナのマフムード・アッバース大統領はその報告書を歓迎している。
ちょうど数週間前、国際刑事裁判所(ICC)は、イスラエルが占領しているウェストバンクとガザ地区における戦争犯罪の調査を実施すると発表し、イスラエル軍ならびにハマスなどのパレスチナ武装グループを加害者候補として名指ししている。
HRWはその報告書の中で、イスラエルによるパレスチナ人の動きに対する規制や、1967年の中東戦争で占拠された領土のうちパレスチナの所有地をユダヤ人居留地区として奪取していることを指摘している。
「イスラエル全土(およびパレスチナ領土)にわたって、イスラエル当局はユダヤ系イスラエル人の利益の為に土地と人口構成を管理統制し、パレスチナ人民に対する支配を維持しようとしている」とその報告書に書かれている。
1973年のアパルトヘイト条約および1998年のローマ規定の定義されている通り、「これらのことに基づいて、本報告書はイスラエル高官らがアパルトヘイトおよび迫害という人権に対する犯罪を犯したと結論づけるものとする」
アッバース大統領の声明は以下の通り:「国際コミュニティは、自国とその組織および企業が、戦争犯罪やパレスチナの人権に対する犯罪につながりうるいかなる方法にも、決して加担させないよう介入することが急務である」
ボイコット非難
イスラエル高官らはアパルトヘイトという非難に対し、激しく反発している。
「このでっち上げの報告書の目的は人権とは何の関係もなく、ユダヤ人民の国家としてのイスラエル国の生存権を侵害しようとするHRW の継続的試みだ」とマイケル・ビトン戦略担当相は言う。
イスラエル外務省は、HRW のイスラエルプログラムは「よく知られた(BDS)支持者が中心となっており、当地の事実や現実とはなんの関係もない」と述べ、パレスチナ支援の「ボイコット、投資撤収、制裁(BDS)」運動に言及している。
この報告書の著者はHRWのイスラエル・パレスチナ部長オマール・シャキール氏で、2019年にBDS支援のかどでイスラエルから追放されている。
シャキール氏は、自分のHRWでの仕事と、2016年にHRWの役職に任命される前に彼が発したパレスチナ寄りの声明が、BDS支持のものであるということを否定する。
シャキール氏はロイターに対し、HRWはその報告書をICCの検察庁へ送付すると述べ、「これは、ICCの管轄にあたる犯罪行為だという結論に達した場合に、HRWが通常行っていることだ」とした。
シャキール氏によると、HRWはアッバース政権のパレスチナ当局とイスラム教過激派グループのハマスによる人権犯罪と疑われる行為についても、ICCへ 2018年の報告書を送付したという。
ICC の調査
国際刑事裁判所の検察官が3月に、パレスチナ領土における戦争犯罪を正式に調査開始すると述べた。その問題について、ICC の判事らが同裁判所の管轄にあたると裁決を出したことを受けたものだ。
パレスチナ当局はその裁決を歓迎したが、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相はその裁決を反ユダヤ主義だと糾弾し、イスラエルはICC の権限を認めないと言っている。
HRWはその ICC検察官に、アパルトヘイトと迫害について「 確実に関与した個人を捜査および訴追する」よう求めている。
HRWはイスラエルの2018年の「nation state(国民国家)」法はユダヤ人だけが国の中で民族自決権を有すると宣言しており、「ユダヤ系イスラエル人を、国民の21%を占めるアラブ系少数派に対して優遇させる政策の推進に法的根拠を与えている」とも述べている。アラブ系少数派は何度となくこの差別に不満を表明している。パレスチナ側は将来的な国家のために、1967年に奪取されたウェストバンク、ガザ、東エルサレム地区の奪回を求めている。
イスラエルとの暫定和平合意のもとで、パレスチナはウェストバンクにおける自治が制限されており、ハマスがガザ地区を治めている。
ロイター