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イスラエルがガザに死の雨を降らせた後、ハマスのロケット弾がイスラエルの町を襲う

イスラエル軍の空爆が終わり倒壊したビルに集まる人々、ガザ市、2021年5月11日。(AFP)
イスラエル軍の空爆が終わり倒壊したビルに集まる人々、ガザ市、2021年5月11日。(AFP)
11日のイスラエル空爆後、ガザ地区で巨大な煙が上がる様子。アルアクサ・モスクでイスラエル治安当局が礼拝者を暴力的に取り締まった後、紛争が拡大した。(AFP)
11日のイスラエル空爆後、ガザ地区で巨大な煙が上がる様子。アルアクサ・モスクでイスラエル治安当局が礼拝者を暴力的に取り締まった後、紛争が拡大した。(AFP)
ハマスによる燃料用パイプラインを狙ったロケット弾攻撃の現場付近で起きた大火災、イスラエル・アシュケロン近郊、2021年5月11日。(ロイター)
ハマスによる燃料用パイプラインを狙ったロケット弾攻撃の現場付近で起きた大火災、イスラエル・アシュケロン近郊、2021年5月11日。(ロイター)
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13 May 2021 12:05:26 GMT9
13 May 2021 12:05:26 GMT9
  • イスラエル空港庁は「領空を守るため」テルアビブのベングリオン国際空港を閉鎖
  • これまでにガザ地区では少なくとも28名、イスラエルで2名が死亡

ハゼム・バルーシャ&モハメッド・アブザイド

ガザ市/カイロ: イスラエル軍が24時間連続でガザ地区に空爆を実施し、パレスチナ人少なくとも28名が死亡した。ハマスのロケット弾攻撃により、イスラエル南部の町アシュケロンでは女性2名が死亡した。イスラエルとハマスの戦闘は2014年以来最悪の状態となった。

死者数が増えているが、イスラエルは戦闘停止に向けた協議を仲介するとのエジプトの申し出を退けた。

「エジプトは、イスラエルやその他関係諸国と広範囲に連絡を取り、事態の悪化を防ぐために最大限の努力を払うよう要請した」とエジプトのサーミフ・シュクリー外相は述べた。「しかし、エジプトが求めた反応は得られなかった」それどころか、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザ地区にさらなる死の雨を降らせると明言した。

「空爆の強さ、頻度を上げる」と首相は述べた。さらにイスラエル軍の報道官を務めるジョナサン・コンリカス中佐は、ガザ境界線沿いに展開する部隊を増強していると述べた。

アメリカ国務省は当事者双方に自制を要請した。

アラブ連盟のアフマド・アブール・ゲイト事務局長は、ガザ空爆が「子供たちを犠牲にする粗野な武力の誇示」であり、祝祭日「イード」前夜の「イスラエルによる挑発行為」はイスラム教徒に対する侮辱だと述べた。

イスラム協力機構はジェッダで緊急会議を開き「占領下のエルサレムにおけるパレスチナ人の意志の強さを称賛した」

11日に燃え上がる車の消火活動をするイスラエルの消防士、ハマスがガザ地区からイスラエル南部のアシュケロンにロケット弾を発射した後。(AFP)

占領下の東エルサレムで何日も抗議活動が続き、イスラエル治安部隊は閃光弾・催涙ガス・ゴム弾を使い激しく鎮圧した。このためイスラム教第3の聖地「アルアクサ・モスク」で祈りをささげていた礼拝者を含む、パレスチナ人数百名が負傷した。その後紛争の舞台はガザ地区にまで拡大した。

5月10日と11日に、ガザの住民は昼夜を問わず空爆の恐怖に耐えることとなった。愛する人を失ったり、家を失ったりした人がいる。

ガザ市西部のアルシャティ難民キャンプにある高層マンション「ティバ・ビル」の6階に住むラシャド・アルサイードさん(57歳)は、夜明けの祈りを終え眠ろうとしたとき、天井が崩壊して家族に降りかかったと語った。

ガザのアルシファ病院のベッドで、アルサイードさんはアラブニュースの取材に応じた。「騒がしい夜で、私たちは眠れませんでした。ようやく眠ろうとした時、天井が降ってきたのです。イスラエルの軍用機が私の家の上にある7階の区画を攻撃したのです」

アルサイードさんは軽傷だったが、長男のアーメドさん(23歳)は重傷で同じ病院の集中治療室にいる。

焼け焦げた車。テルアビブ近郊のホロンの町、ハマスがガザ地区からイスラエルに向けてロケット弾を発射した後。(AFP)

目撃者がアラブニュースに寄せた情報によると、夜明けの祈りをしていた午前4時30分頃、イスラエル軍戦闘機が高層マンションの7階にある区画にミサイルを4発発射したという。建物のほぼ全体に被害が出て、下の方の階に住んでいた女性と障害を抱える19歳の息子、さらに別な男性が亡くなった。

白昼ガザ市中心部に空爆があり、恐怖にかられた住民たちが表に飛び出した。その中には女性やはだしの子供たちもいた。過激派組織「イスラム聖戦」は、空爆により司令官3名が死亡したと発表した。

ガザ地区にある13階建ての高層マンションは、12日夜に空爆を受け崩壊した。マンションからは濃い煙が3つ上がり、当初上層階は無傷だったが、やがて建物全体が崩壊した。マンションにはハマス政治部門の幹部が使う事務所があった。

ガザ地区保健省によると、10日以降子ども・女性10名を含む28名が亡くなり、152名が負傷したという。保健省のアシュラフ・アルキドラ報道官は、イスラエルの「絶え間ない空爆」により新型コロナですでに疲弊している医療体制に多大な損害が出ていると述べた。

周辺地域は停電し、住民たちは懐中電灯を使っていた。

イスラエルの空爆を受けて炎が激しく上がる様子。ハマスが実効支配するガザ地区南部のラファ、2021年5月11日。(AFP)

空爆を受けた直後、ハマスとイスラム聖戦はイスラエルの経済中心地テルアビブに向けてロケット弾を発射し報復すると発表した。

空襲警報と爆発音がテルアビブ市全体に鳴り響き、突入するロケット弾に向けておびただしい数の迎撃ミサイルが発射され、その光で空は赤く燃え上がった。

歩行者は避難所を求めて走りレストランで食事をしていた人々は外に飛び出したが、空襲警報が鳴ると歩道に身を伏せた人もいた。

イスラエルのテレビ各局は、テルアビブ近郊のホロンで3名が負傷したと報じた。

イスラエル空港庁は「イスラエルの領空を守るため」テルアビブのベングリオン空港を閉鎖したと発表した。

「今我々は約束を果たしている」とハマス軍事部門「カッサム旅団」は声明で述べた。「カッサム旅団は、敵が高層マンションを狙ったことに対する報復として、テルアビブとその近郊に対しロケット弾130発を使った最大規模の攻撃を開始する」

ハマスによる声明の数時間前、イスラエルはガザ空爆のためジェット戦闘機80機を派遣しガザとの境界線沿いに戦車部隊を集結させていた。イスラエル各地に対するロケット弾攻撃が2日目となったからだ。戦闘は激化し、ガザ地区で少なくとも28名、イスラエルでは2名が死亡した。

目撃者情報によると、13階建て高層マンションと近隣で暮らす住民はイスラエル軍による空爆開始の約1時間前に避難勧告を受けており、マンション崩壊から2時間後の時点で死傷者が出たという情報はなかったという。

11日にエルサレムのアルアクサ・モスクでパレスチナ人デモ隊とイスラエル警察が衝突したことが引き金となり、イスラエルとハマス軍事部門の間で2019年以降最も激しい戦闘が開始した。

ユダヤ教徒・イスラム教徒・キリスト教徒共通の聖地エルサレムでは、イスラム教徒の断食月「ラマダン」期間中で緊張が続いている。ユダヤ人入植者が所有権を主張する家からパレスチナ人を立ち退かせる判決が裁判所から出され、摩擦がさらに激しくなっている。

ベンジャミン・ネタニヤフ首相は、ロケット弾攻撃に対する報復として200万人が暮らすガザ地区への空爆を強化すると述べた。

「空爆の強さ、頻度を上げる」とネタニヤフ首相はビデオメッセージで声明を出した。

声明から1時間以内に、イスラエル政府はガザ市とその周辺のロケット弾発射基地を爆撃するためジェット戦闘機を配備したと発表した。

ハマスによるロケット弾攻撃を受けた石油施設から巨大な煙が上がる様子、イスラエル南部の都市アシュケロン、2021年5月11日。(AFP)

イスラエル当局によるとすでにガザとの境界線沿いに集結した戦車部隊を増強するため、歩兵隊と装甲車両が派遣されるという。前回の2014年に、ロケット弾攻撃を阻止するためイスラエル軍がガザ地区に地上部隊を派遣した時のことを彷彿させる。

ガザ保健省によると、その後7週間戦闘が続き、ガザ住民2100名以上とイスラエル人73名が死亡し、何千もの家屋が壊滅したという。

12日に13階建て高層マンションが崩壊する以前の段階で、ガザ保健省は子供10名を含む少なくとも28名のパレスチナ人が死亡し152名が負傷したと発表していた。11日に2014年以降初めてハマスがロケット弾をエルサレム方面に発射したため、報復措置としてイスラエルが空爆を実施した。

イスラエル全国救急車サービスによると、南部の都市アシュケロンへのロケット弾攻撃で女性2名が死亡したという。

赤十字国際委員会は、全当事者に攻撃中止を要請し、民間人に犠牲が出ないよう努力することを義務付けた国際法の規定を忘れぬよう求めた。

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