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イスラエルの新たな空爆を受けたガザでは、1週間で200人以上が死亡

2021年5月17日、明け方のガザシティーで、イスラエルの空爆の間、あるビルの上に煙と炎が立ち上る。(ロイター通信/イブラヒーム・アブ・ムスタファ)
2021年5月17日、明け方のガザシティーで、イスラエルの空爆の間、あるビルの上に煙と炎が立ち上る。(ロイター通信/イブラヒーム・アブ・ムスタファ)
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17 May 2021 06:05:34 GMT9
17 May 2021 06:05:34 GMT9
  • 16日から17日に変わる一晩で、イスラエルは人口が過密しているパレスチナの飛び領土の至る所で、数分間のうちに数十回の空爆を行った
  • このような空爆は広範囲な停電を引き起こし、数百棟のビルを破損させた、と地元当局は述べた

ガザシティー:ユダヤ人国家とイスラム過激派による武力衝突が1週間続いた後、イスラエルが5月10日夜明け前のガザ地区を空爆し、200人以上の死者を出したが、緊張の段階的緩和を求める国際的な呼び掛けは、見過ごされたままだ。

現地にいたAFP通信のジャーナリストによると、イスラエルは16日から17日に変わる一晩で、イスラム原理主義組織、ハマスが実効支配する人口が過密しているパレスチナの飛び領土の至る所で、数分間のうちに数十回の空爆を行った。

このような空爆は広範囲な停電を引き起こし、数百棟のビルを破損させた、と地元当局は述べた。死傷者数については、直ちに発表されなかった。

ガザ地区西部の住人、マッド・アベド・ラボさん(39歳)が、猛攻撃の激しさに「恐怖と不安」を口にしていた。

「このような大規模空襲は、今までありませんでした」と、アベド・ラボさんは語った。

午前2時(グリニッジ標準時の日曜日23時)直前の声明で、イスラエル軍は同軍の戦闘機が「ガザ地区のテロリストの標的を攻撃して」いると述べたていた。

ガザン・マニ・カザートさんが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、我々が市民であり、戦闘員ではないことに気付くべきだと語った。

「自分が死ぬのではないかと感じました」

パレスチナ保健省によると、この新たな空爆が起きたのは、爆撃が始まって以来、ガザ地区で少なくとも子ども8人、医師2人を含む42人のパレスチナ人が死亡し、この飛び領土で1日当たりの死亡者数が最悪となった日の翌日だったという。

武装集団のハマスがロケット弾を発射したことがきっかけで、イスラエルがハマスへの空爆を開始して以降、ガザ地区で合計すると、少なくとも子ども58人を含んで、197人のパレスチナ人が死亡し、1,200人以上が負傷していた。ここ数年のうちで最も激しい武力衝突は、エルサレムでの混乱がもとで火が付いた。

イスラエルでは、ガザの武装集団が発射したロケット弾による攻撃で、子ども1人を含む10人が死亡し、282人が負傷していた。

イスラエル軍が先週の月曜日、10日以降、ガザからイスラエルに向けて発射された約3,000発のロケット弾は、撃ち込まれた数としては史上最高だったと述べたが、ミサイル迎撃システム、アイアンドームが1,000発以上を迎撃したと付け加えた。

ネタニヤフ首相は16日、テレビ演説で、イスラエルの「対テロ組織軍事作戦行動が全軍をあげて続いて」おり、終了するまでには「時間が掛かる」と述べた。

イスラエル軍は、膨大な地下トンネルシステム、兵器の工場・格納庫をはじめとして、ハマスとイスラム聖戦武装集団のインフラを標的にしていると述べていた。

また、イスラエル軍は、ハマスのガザ地区政治部門トップ、ヤヒヤ・シンワール氏の自宅も空爆し、もうもうと立ち上る煙と激しい被害を与えた画像を公表したが、シンワール氏の生死については言及しなかった。

ジャーナリストたちが避難できるように、1時間の猶予を与えた後、イスラエル空軍がアルジャジーラとAP通信が入居しているビルを跡形もなく破壊した15日の午後、火の玉と破片交じりの煙が空中に噴出した。

ネタニヤフ首相は16日、このビルにはパレスチナ系「テロリスト」の諜報部も入居していたと述べた。

「これは完全に合法的な攻撃目標です」と、同首相は述べた。

ハマスとイスラエルの軍事衝突は、2014年以降最悪となっており、当時イスラエルは、ロケット弾攻撃を止めさせ、密輸に使用しているトンネルを破壊するという目的を明言して、ガザ地区に軍事侵攻した。

この紛争により、パレスチナ側で2,251人が死亡し、そのほとんどが民間人だった。一方、イスラエル側では、74人が死亡し、そのほとんどが兵士だった。

16日の新たな空爆に関して、国連安全保障理事会の第1回会合を開催して、アントニオ・グテーレス事務総長は、この軍事衝突を「極めて酷い」と評した。

「これは直ちに停止しなければなりません」と、同事務総長は述べた。

しかし、国連での協議は、イスラエルの同盟国、アメリカ合衆国のおかげで既に進行が遅れており、アメリカ政府が決議に反対しているので、声明採択など行動に移すことがほとんどできていない。

ジョー・バイデン大統領の政権は、同政権が水面下で働き掛けており、国連安保理の声明は逆効果になる恐れがあると主張している。

また、イスラエルもユダヤ人とアラブ系イスラエル人のコミュニティー同士による暴力や、占領しているヨルダン川西岸地区での死亡者が出た衝突を封じ込めようとしている。パレスチナ当局が発表した死亡者数によると、ヨルダン川西岸地区では、10日以降19人のパレスチナ人が死亡したという。

イスラエルに併合された東エルサレムのシェイフ・ヤラ地区で、計画的なパレスチナ人排除に抗議したデモ参加者たちへの取締りに引き続いて、5月7日、イスラム教3大聖地の1つ、アル・アクサ―・モスクの複合施設で、大きな衝突が起こった。

シェイフ・ヤラは衝突再燃の中心地となっており、パレスチナ人とイスラエル治安部隊の衝突が数週間にわたって起きていた。

16日には、シェイフ・ヤラでの車両暴走攻撃で、警官7人が負傷した、と警察が述べ、攻撃した容疑者は殺害されたと付け加えた。

また、警察は16日から17日までの一晩で、別の東エルサレム地区での衝突で、「多数の容疑者」が逮捕されたとも述べていた。

このような軍事衝突を直ちに停止しなければ、広範囲にわたって影響をもたらす可能性がある、とグテーレス事務総長は警鐘を鳴らした。

「このような軍事衝突は、安全保障と人道の面で歯止めの利かぬ危機を引き起こし、占領されたパレスチナ領とイスラエルにおいてだけでなく、この地域全体において、過激思想をさらに育む可能性があります」

AFP通信

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