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アラブ系フランス人の生活から希望を奪う疎外 : 調査

質問を受けた半数が、人種、出自や宗教は、フランス社会への帰属感に何の影響もない、と考えている。(シャッターストック、Shutterstock)
質問を受けた半数が、人種、出自や宗教は、フランス社会への帰属感に何の影響もない、と考えている。(シャッターストック、Shutterstock)
シャンゼリゼを見下ろす凱旋門、パリにて。(シャッターストック、Shutterstock)
シャンゼリゼを見下ろす凱旋門、パリにて。(シャッターストック、Shutterstock)
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30 Nov 2020 09:11:33 GMT9
30 Nov 2020 09:11:33 GMT9
  • フランス語版アラブニュース、YouGov によると、フランスにおける最大少数集団は、社会からの受容不足のみならず汚名すら受けることに苦しんでいることが示唆される。
  • 半数を超える回答者は、彼らは世俗主義を支持しており、これはアラブ世界における問題を軽減する一助となると信じている、と話した。

フランス語版アラブニュース

ドバイ : イスラム過激派に触発された暴力の連鎖がフランスの都市と文化全体を揺るがし、不安と恐怖の念を起こして、イスラム恐怖症が生まれつつある。イスラム主義はイスラムではないが、知識がなければ両者は混同しやすい。

フランスのイスラム教徒を、ユダヤ人やキリスト教徒と同様に見なすことは、誤った色眼鏡による見方だ。フランス国立統計経済研究所 (INSEE) によると、2019 年までに、一世二世を合わせた移民の 55 パーセントがアラブ諸国からやって来た。彼らはフランスにおける最大少数集団であり、それゆえ少数の過激派にとっては、彼らは自分たちの代表ではない。

フランスで初めて、アラブ系フランス人を対象に調査が行われた。フランス語版アラブニュースは、業界首位のオンライン調査会社 YouGov に委託し、フランスでの生活をどのように感じているか、そして世俗主義にに直面する彼らの立場に関する調査を実施した。

アラブニュース調査研究部は YouGov と提携し調査を行った。調査は 9 月 8 日から 14 日の間に実施され、アラブ諸国からやって来て、フランスで生活する 958 人のフランス人からの典型例抽出に基づいていた。

調査により、彼らには、民主的で宗教とは関係のないフランスに属したいという願望があることが明らかとなる。これにより浮かび上がったことは、ヒアリングを受けたイスラム教徒やユダヤ人といったアラブ系フランス人の心情から示唆されるように、フランス社会では宗教がすべて平等に捉えられているわけではない、ということだ。

世間一般に考えられていることと異なり、ヒアリングをした大半の人は、教育があり職を持っており、そしてアラブ系フランス人はフランスのシステムや歴史に概ね通じており、フランス共和国の根本的な価値観を支持している。

アラブ系フランス人は、フランスの生活様式に十分適応してきたが、受け入れられているとは感じておらず、多くが汚名を受けていると表明している。宗教と国家の出自は、フランス社会への帰属感に何の影響も及ぼしていない。しかし、名前の響きは、彼らの職業に影響を及ぼす。

質問を受けた半数は、人種、出自や宗教は、フランス社会への帰属感や職歴に関し何の影響もない、と感じている。しかし、彼らの返答からは疎外感を覚えていることが明らかとなっている。疎外感は、51 パーセントの人にとって皮膚の色とは関係ないが、名前という民族的出自とは関係があり (36 パーセント)、職業の将来像にも悪影響がある。

疎外感は女性の間で顕著である。女性は、出身国 (男性が 33 パーセントに対し 46 パーセント) は宗教 (男性が 52 パーセントに対し 66 パーセント) 同様、同国人の間に否定的な受け取られ方がある、と感じている。

アラブ系フランス人は、世俗主義のようなフランス的価値観を明らかに尊重しており、世俗主義というシステムは、出身国にとっても有益であるだろう、と信じている。多くの人が、出身国でこのモデルをいつでも擁護するとさえ主張する。

実際、54 パーセントの人が世俗主義を支持しており、彼らにとっては、アラブ世界の問題に対する解決策であるのだ。質問を受けた人は、政治において宗教とは不本意ながら関わっており、それゆえフランスで採用される世俗主義システムを評価し、出身国では隠すことなくこれを擁護する。

その上、大半は宗教的服装に関する規制を好ましく思っておらず、45 パーセントの男性、フランスの地方在住の回答者の 48 パーセント、そして 55 歳を超える人の 50 パーセントは規制する法律を支持し、この決定を好ましく思っており、ヒアリングを受けた最年少層 (18 から 24 歳) の 29 パーセントとは対照的である。

最高齢層は、フランスに生まれた最年少層よりもより一体感を持っている。若年齢層は国の仕組みにそれほど熱心ではなく、両親の出身に立ち返るようで、それゆえ他者意識が増長される。

調査が強調するのは、世代間の隔たりが拡大しており、これまでのところ、18 から 24 歳のアラブ系フランス人の若者は、自分たちの宗教を肯定的に捉えており (53 パーセント)、規則を尊重したり、国の代表サッカーチームのような仕組みに参加しようとはそれほど考えていないように見える。それゆえ、58 パーセントの若者は、フランスに対抗して出身国のサッカーチームを支持するだろう。35 から 44 歳の男性の 58 パーセント、55 歳を超える男性の72 パーセントがフランスのチームを支持するであろうこととは対照的である。

この最後の事実が映し出しているのは、世代間における隔たりと世代間の摩擦であり、これは将来における主要な課題である。回答者の実に 49 パーセント、そして 18 から 34 歳の 52 パーセントが、教育水準がキャリアアップには最も重要な要因であり、しかし苗字はキャリアに悪影響を及ぼす、と考えている。彼らが向上する能力を持ち、そうするだけの手段を手にするという事実にもかかわらず、である。

フランスにおける過激主義とイスラム化政策に勝利するためには、アラブ系フランス人についてより良く知ること、平和的で、自由と世俗主義的価値に関連するより深い知識が不可欠である。

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