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10代の「ガザのニュートン」、家族のテントを照らすシステムを作る

10代のフッサム・アル・アッターさんは、イスラエルのガザへの攻撃により避難してから自分と家族が暮らしているテントを照らすための、自前の電力源を作った。(ロイター)
10代のフッサム・アル・アッターさんは、イスラエルのガザへの攻撃により避難してから自分と家族が暮らしているテントを照らすための、自前の電力源を作った。(ロイター)
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08 Feb 2024 01:02:43 GMT9
08 Feb 2024 01:02:43 GMT9
  • 彼の発明の才能を称えて、周囲のテントキャンプにいる人々がフッサム・アル・アッターさんに付けたニックネームは「ガザのニュートン」

ラファ、ガザ地区:スクラップ市場で手に入れた2つのファンを利用し、ケーブルをつなげて、フッサム・アル・アッターさんは、イスラエルのガザへの攻撃により避難してから自分と家族が暮らしているテントを照らすための、自前の電力源を作った。

彼の発明の才能を称えて、周囲のテントキャンプにいる人々が彼に付けたニックネームは、「ガザのニュートン」だ。
「僕とニュートンが似ているから、みんなは僕をガザのニュートンと呼び始めたんだ」と、15歳にしては見た目も声も幼いアル・アッターさんは述べた。

「ニュートンは、リンゴの木の下に座っていた時にリンゴが頭に落ちてきて、重力を発見した。そしてここにいる僕たちは、暗闇と悲劇の中で暮らしていて、ロケット弾が僕たちのところに落ちてくるから、僕は照明を作ろうと思い立って、作ったんだ」

17世紀後半から18世紀初頭にかけて、物理学、数学、天文学に多大な進歩をもたらした英国の科学者アイザック・ニュートンは、リンゴの逸話のおかげで一般的なイメージの点で際立っている。

ガザで暮らす230万人の半数以上が現在、ガザとエジプトを隔てるフェンスに近い、ガザ地区南端のラファに押し込められている。

アル・アッターさんの一家は、平屋の家の脇にテントを張っているため、彼は屋根に上って2つのファンを上下に設置し、バッテリーを充電できる小さな風車として機能させた。

それから、ファンを家の中を通るケーブルにつなぎ、スイッチ、電球、テント内まで伸びる薄い合板を使って、家族のために特製の照明システムを作り出した。

最初の2回の試みは失敗し、システムの改良にしばらく時間を要したあと、3回目の挑戦で機能するようになったという。

「僕はさらに改良して、少しづつ、ついにケーブルを部屋を通して僕たちが暮らすテントまで伸ばせたから、テントに照明が付くよ」と、彼は語った。

「これを作れたことがとても嬉しかった。家族、母、病気の父、兄弟の幼い子供たち、そしてこの戦争中の生活環境に苦しむここにいるみんなの苦難を和らげたんだから」

この戦争の口火を切ったパレスチナのイスラム主義組織ハマスの戦闘員は、10月7日にイスラエル南部へ攻め入り、イスラエルによると、1,200人を殺害し、253人を拉致した。

ハマスの根絶と人質解放を誓うイスラエルは、ガザに対する徹底的な軍事攻撃で応戦した。現地の保健関係者によると、この攻撃で27,000人以上が死亡しており、大規模な避難と飢餓が引き起こされている。

絶望の只中で、アル・アッターさんはなおも夢と野心を持ち続けている。

「このキャンプの人たちが僕をガザのニュートンと呼ぶのがとても嬉しい。ニュートンのような科学者になって、ガザ地区の人たちだけでなく、全世界の為になる発明をするという夢を叶えたいと思っているから」

ロイター

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