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米国の報告書が、イラン政権による信教の自由の侵害を糾弾

イラン・テヘラン全景。(AP)
イラン・テヘラン全景。(AP)
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15 Jul 2022 03:07:40 GMT9
15 Jul 2022 03:07:40 GMT9
  • 米国の国際宗教自由委員会によって発行されたこの報告書は、バハイ教徒、キリスト教改宗者、スンニ派、ゴナバディ・スーフィー教徒などが対象となった、広範囲にわたる宗教弾圧の詳細を述べている
  • この報告書は、スウェーデンの裁判所が、1988年のイラン反体制派大量虐殺に関与したとして、イラン人のハミド・ヌーリ被告に終身刑を言い渡した日に発表された

レイ・ハナニア

シカゴ:米国際宗教自由委員会(USCIRF)は木曜日、イラン政権が宗教の自由に対して続けている攻撃について糾弾する、詳細な報告書を発表した。

この報告書は、スウェーデンの裁判所が、1988年のイラン反体制派大量虐殺に関与したとして、イラン人のハミド・ヌーリ被告に終身刑を言い渡した日に発表された。

連邦政府機関であるUSCIRFの関係者によると、報告書はイランにおける広範な宗教弾圧について詳述している。その対象はバハイ教徒、キリスト教改宗者、スンニ派、ゴナバディ・スーフィー教徒などで、彼らは「宗教、または信仰の自由に対する継続的な侵害行為に直面し続けている」と言う。

4ページの報告書は、イランが宗教の自由に対する「甚だしい侵害」を行っているという非難から始まっている。そして、イランが宗教の自由に対する継続的かつ組織的な攻撃を行っているとして、米国国務省に対し、イランを「特に懸念すべき国(CPC)」に指定するよう要請している。

「イラン政府は、バハイ教徒の逮捕や財産の差し押さえなど、バハイ教に対する弾圧をエスカレートさせ続けている」と報告書には記されている。「イランのキリスト教徒、特にイスラム教からの改宗者も、逮捕や過度の実刑判決を受けている。イランはゾロアスター教徒、マンダ教徒、ヤルサン教徒など、より小さな宗教団体も迫害している」

「政府はスンニ派イスラム教徒も逮捕・拘束し続けている。イランから逃れた宗教的少数派は、イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)から身の危険を脅かされ続けている。また、イランは中東の他の政府に対して、宗教的少数派を迫害するよう影響を与える試みを続けている。イラン政府はまた、宗教を口実にした女性への弾圧を続け、女性個人の信仰や宗教の自由を否定し、いわゆる「名誉殺人」の加害者に対しては宗教上の理由で寛大な態度を示している」

また、報告書は性自認や性的嗜好に基づく、イラン政権による弾圧や迫害についても詳述しており「イラン政府は、イスラム教シーア派のジャアファル法学派の特異な解釈を用いて信仰の自由を制限していることを正当化している」としている。

米国国務省によると、1998年に可決された国際宗教自由法に基づき、大統領は毎年各国の宗教の自由の状況を検討し、国家当局が「宗教の自由に対する特に深刻な侵害」に関与または容認している国を「特に懸念すべき国」として指定することが義務付けられている。この法律では侵害行為について「組織的、継続的、深刻な信教の自由に対する侵害」と定義しており、これには拷問、告訴なしの長期拘留、強制失踪、その他生命、自由、安全に対する著しい否定が含まれる。

大統領はまた、2016年に成立した「フランク・R・ウルフ国際信教の自由法」に基づき、「前年度に“宗教の自由に対する深刻な侵害”に関与または容認したが、『特に懸念すべき国』としての指定基準をすべて満たしていない各国」を特別監視リストに指定することが義務付けられている。

この報告書は、イランが国際的な圧力の高まりに直面している中で発表された。今週、中東を公式訪問中のジョー・バイデン米大統領は、イスラエルやサウジアラビアなどの指導者と会談し、イランの核兵器開発を阻止する戦略などを追求する予定だ。

1988年のイラン反体制派大量虐殺への関与で有罪判決を受けたイラン人元政府高官、ハミド・ヌーリ被告のスウェーデンでの裁判は、テヘランへの圧力に拍車をかけている。

テヘラン政権に反対するイラン国民抵抗評議会(NCRI)の次期議長マリアム・ラジャヴィ氏は、ヌーリ被告の有罪判決を歓迎し、これを完全な正義への道のりの第一歩と位置づけた。

彼女は、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師やイブラヒム・ライシ大統領をはじめとする主犯格が、自由なイランの法廷や国際法廷で裁判にかけられたとき、包括的な正義が達成されると述べた。

ラジャヴィ氏は、「92回の審理で、スウェーデンの裁判所は、虐殺が行われた100以上の刑務所のうち、たった1つの刑務所(ゴハルダシュト)における数々の出来事のみを扱った」と述べた。

「エヴィン刑務所での虐殺、100以上の都市で行われた巨大な犯罪、そして1988年の虐殺における反体制派、イラン人民ムジャヒディン機構(PMOI/MEK)に属する女性たちの英雄的行動と、彼女達に対する死刑執行人の犯罪に関する書類を開くべきである」

今週、虐殺当時テヘランで「死の委員会」の長を務めていたホセイン・アリ・ナエリ氏がインタビューの中で、もしこの虐殺が実行されていなかったら「政権は全く存続していなかったかもしれない」と発言した。

この発言に対して、ラジャヴィ氏は、この宗教独裁政権はPMOI/MEKを自らの存亡に対する危機とみなしていることを示していると述べた。

彼女は、政権の宗教ファシズムに協力せず、その犯罪に参加しないMEKのメンバーやシンパをすべて虐殺するためにホメイニ師が出したファトワ(イスラム教高位の宗教指導者の宗教的見解)について、これは反対勢力を物理的、政治的、思想的に排除することが常に同政権の優先事項の上位にあることを示している、と付け加えた。

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