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アラムコへの攻撃に対する一貫した「戦略的対応」が求められる

17 Sep 2019 07:09:07 GMT9
[caption id="attachment_205" align="alignnone" width="485"] アラブニュースのファイサル・J・アッバス編集長は、徳仁天皇の即位式と
同時に日本語オンライン版が立ち上げられると述べた。(AN)[/caption]

 

  • 「東京版ダボス会議」では湾岸の緊張状態や貿易戦争、イノベーション、働く女性などの喫緊の課題が話し合われた

フランク・ケイン

東京の「G1グローバルカンファレンス」ではサウジアラビアへの攻撃が最大の注目を集めたが、東京での終日の会議は、週末のメディアを席巻した劇的な見出しや画像の概観にとどまらなかった。

日本の視点から見た国際情勢やビジネス、文化、社会の大きなテーマについて、世界のリーダーがすべて英語で話し合う会議として、カンファレンスは今年で9年目を迎えた。

主催者の1人は、カンファレンスを「東京版ダボス会議」と呼んだ。数や活気では有名なスイスアルプスの会議には及ばないかもしれないが、9月16日のカンファレンスは議題の幅広さや熱意において、間違いなくダボス会議に肩を並べるものだった。

日本の安倍晋三首相は、冒頭のビデオ演説の中で高いハードルを設定した。映像の中で彼は、欧米などの地域でのポピュリズムの波によって弱体化した、ルールに基づいた透明性の高い国際秩序の再設定において世界を先導していくのは「日本の使命」だと述べた。

G1は「断絶の時代における持続可能なイノベーション」というテーマを掲げ、東京中心部のグロービス経営大学院という機能的な環境において全体会議や個別会議、ワークショップ、交歓会といったおなじみの流れを踏襲した。

アルプスのような輝きは見られなかったものの、1日限りの会議という利便性により、それを補ってなお余りある状態だった。しかし何よりも、週末のニュースが冒頭の全体会議の話題をさらい、終日、部屋の中で大きな存在感を放っていた。

日本の河野太郎防衛大臣は、サウジアラビアの石油施設への攻撃や世界の原油供給への脅威は、今日の世界で「最も懸念されるシナリオ」だと宣言した。

国際戦略研究所(IISS)のジョン・チップマン所長も河野大臣に賛成し、米国および中東などの米国の同盟国が、地域内のイランの勢力拡大に対抗できなかったことを非難した。

「この問題への戦略的対応は適切に考慮されてこなかった。そして今、サウジアラビアの最重要の戦略的資産が攻撃された」と所長は語った。

サウジの石油施設への攻撃は「チャタムハウスルール」の下、後の非公開セッションでも大きな話題となり、サウジアラビアやその同盟国からのしかるべきレベルの対応も含め、安全保障の専門家が攻撃の源や影響について議論した。

チップマン所長はまた、貿易や技術、デジタル戦略を巡る米中間の対立についても率直な意見を述べた。「米国と西側諸国は、中国の戦略的競争に気付いたばかりだ」と彼は語った。

米国をソ連との宇宙競争に駆り立てた1950年代のソビエトによる宇宙活動に言及しながら、所長は以下のように発言した。「中国は多極的世界で一極のアジアを求めている。それはアメリカ人にとって『スプートニク』的瞬間となる」

米国のドナルド・トランプ大統領が、中国の拡大に対抗するためのルールに基づいた効果的な秩序を主導する人物かどうかについては疑義が呈された。

米政府の権力の回廊において長年を過ごした早稲田大学の中林美恵子教授(社会科学)は、「多くの人がトランプは災難だと言うが、多くの支持者もいる。来年の大統領選に勝利する可能性もあり、そうなれば非常に波乱に満ちた4年間が来る」と語った。

会議は東アジアで開かれ、また焦点も東アジアに当てられたため、中国の脅威や、日本・朝鮮半島・東南アジア諸国といった隣国との関係について、1日の内で繰り返し話し合われた。

「Geo-politics: US-China hegemony in Asia(地政学:アジアにおける米中覇権)」と銘打たれたセッションでは、問題の対極に位置する専門家2人が登場。ウィルソン・センターのアジアプログラム責任者のエイブラハム・デンマーク氏(米国人)は、米国が冷戦終結以降、外交政策を巡る最大の議論の真っ只中にあると語った。

最近の世論調査では多数のアメリカ人が依然、貿易や世界情勢における米国の積極的な役割を支持していることが示されているが、他国との関わりにおいて、かつてのルールはもはや十分ではないことも明らかだ。

「私たちは、中国との関わり自体は良いことだと信じていた。現在は競争と協力の均衡をとらなくてはならず、相互にとって利益になる問題のみで協力していくことになる」とデンマーク氏は述べた。

北京大学国際研究学院の査道炯氏はここ数週間、高関税を撤回するような「プラスの機運」が両国に見られるとし、以下のように付け加えた。「中米間の対立とは何なのか? それは世界一を巡る事柄であり、誰かがナンバーワンにならなくてはならない。両国は、自分の体重で浮き沈みしている、2匹の800パウンド(約360kg)のゴリラのようだ」

IISSのリン・クオック氏は、この問題に東南アジアの視点を提供した。「他国にファーウェイ製品の禁止を迫るトランプ氏の姿勢は、米国が『米中どちらかを選ばなければならない』と言っていることを意味するが、それは両国どちらかの選択ではなく、ルールに基づいた秩序とルールなき秩序を巡る選択だろう」

このセッションは米中の代表間の辛辣なやりとりに発展した。「ファーウェイに技術提供するなら、最終的に人民解放軍に渡ることを想定しなくてはならない」。デンマーク氏はそう発言し、中国政府からの企業への助成金についても不満を漏らした。査道炯氏はそれに対し、ボーイングやロッキード・マーティンといったアメリカの防衛メーカーへの助成金に関する主張を展開した。

「国家があるところには、それに関係する企業が存在する」と彼は述べた。そして米国の財政政策を標的に、「マイナス金利はあまり資本主義的とは言えない」と語った。

G1で話し合われたのは地政学的な重要課題だけではなかった。大きなテーマの1つが、環境・社会的責任・企業統治における国連の持続可能な開発目標を目指す進展だ。

男女の平等も大きな議題となった。「Womenomics and Gender Equality in Entrepreneurship(起業家精神におけるウーマノミクスと男女平等)」と名付けられたセッションにおいて、ゴールドマン・サックスのチーフ日本株ストラテジストのキャシー松井氏は、経済成長と世界の労働市場への女性の参画拡大の間の直接的な関連を示す最近の研究を提示した。

「男女差が縮まれば、世界のGDPを5兆ドル程度押し上げられると私は考えています」と彼女は述べた。今回の東京会議ではさらに、日本に世界の注目を集め、観光を盛り上げるようなイベントにも焦点が当たった。

来週にはラグビーワールドカップが始まり、日本は2020年にオリンピックを開催する。

「How to evolve into a unique and sustainable tourism super-power(持続可能な独自の観光超大国へと進化する方法)」というセッションでは、海外の訪問者数を増やし、休暇中にさらに消費してもらおうという日本の野心的な計画について専門家が議論した。日本政府は来年、4000万人の訪問者を目標としている。

海外から日本に来る観光客の約75%がアジアの4つの国(中国、韓国、台湾、香港)の人々だ。政府は、滞在期間が長く、消費額が多い傾向にあるアメリカ人やヨーロッパ人、オーストラリア人をさらに呼び込みたいと考えている。

第二次大戦までさかのぼる出来事が引き金となった貿易摩擦で日本と韓国が対峙する中、韓国の観光客数は今年30%落ち込むと想定されている。

 

 数字で見るデータ

75

日本への外国人観光客のうち、中国・韓国・台湾・香港のアジア4か国が占める割合。

 

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