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国連特別大使:「妨害者」らがリビアの選挙を妨害しようとしている

リビア国連特別大使のヤーン・クビシュ氏(写真提供: 国連リビア支援ミッション)
リビア国連特別大使のヤーン・クビシュ氏(写真提供: 国連リビア支援ミッション)
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17 Jul 2021 10:07:43 GMT9
17 Jul 2021 10:07:43 GMT9
  • リビアのアブドゥルハミード・ドベイバ暫定首相は、暫定政府は今年12月24日に予定されている「歴史的」総選挙の実施を目指す決意を改めて表明した。

国連:リビア国連特別大使は12日、分断されたリビアを統一するため今年12月に予定されている重要な選挙を妨害しようとしている「妨害者ら」を非難した。さらに大使は、国連安全保障理事会は選挙に向けた取り組みを妨害しようとするいかなる個人または団体も、国連による制裁を受ける可能性があると警告した。

リビアのヤーン・クビシュ国連特別大使は、国連安全保障理事会の閣僚会議において、直近のリビア訪問で多くの主要人物と会談した際、全員が12月24日に予定されている大統領選挙と議会総選挙実施への決意を改めて表明したが、一方で「多くの人が選挙を実施する準備ができていないのではないかと、私は懸念している」 と述べた。

クビシュ国連大使は、今月初旬に開催された階層を代表する75人の人物から構成される「リビア政治対話フォーラム」で、選挙実施のための法的枠組みに合意できなかったことにより、10年にも及ぶリビア内戦の終結に向けたロードマップが危うくなっていると指摘した。またクビシュ国連大使は、昨年10月の停戦合意に基づき、外国軍や傭兵が90日以内に撤退しなかったことや、停戦合意の重要な条項である東西を結ぶ沿岸道路が再開されなかったことなどについても触れた。

石油資源が豊富なリビアは、2011年に北大西洋条約機構(NATO)軍による軍事介入により、長年独裁政権の指導者であったムアンマル・カダフィ氏が倒され、国連の支援を受けた首都トリポリの暫定政府と、武装グループや外国政府の支援を受けリビア東部に拠点を置く反政府勢力との間で国が分裂して以来、混乱に陥っている。

2019年4月、エジプトやアラブ首長国連邦の支援を受けたハリファ・ハフタル司令官率いる東部拠点の軍事組織の軍が、首都トリポリ制圧を目指し、トリポリに侵攻した。トルコが数百人の軍隊と数千人のシリア人傭兵を投入し、国連が支援する政府への軍事支援を強化したため、1年2カ月に及んだハフタル司令官率いるリビア国民軍による侵攻作戦は失敗に終った。これにより、昨年10月の停戦合意が交わされ、その1ヵ月後にチュニスで採択された暫定政府を含む選挙へのロードマップが実現した。

クビシュ国連特別大使は、「リビア政治対話フォーラム」のメンバーに対し、意見の相違を超えて、代表議会で直ちに採択されるような選挙の憲法原則の提案に合意するよう呼びかけた。

さらにクビシュ国連特別大使は、「利害関係者や妨害者、武装勢力が、リビア国家とリビア政府の正当性、統一性、主権の回復を目指すプロセスを狂わせることがあってはならない」と強調した。

国連安全保障理事会で今回採択された議長声明には、選挙準備のために高等国家選挙委員会が「十分な時間と資源を確保できるように」するための即時行動と法整備を求める、というクビシュ国連特別大使の要請が反映されていた。

リビアのアブドゥルハミード・ドベイバ暫定首相は、12月24日の「歴史的」選挙を実現するという暫定政府の決意を改めて表明し、「今後の最優先される課題は、憲法上の法的インフラと必要な選挙法をできるだけ早期に整備することである」と述べた。

国連安全保障理事会は、国連制裁の実施を監視する安保理の委員会が、個人や団体がリビアの平和、安定、安全を脅かしたり、政治的移行を阻害したりする行為に関与または支援していると判断した場合、当該個人や団体は、財政凍結や渡航禁止の処分を受ける可能性があることを強調した。さらに同理事会は、これには「リビア政治対話フォーラム」のロードマップで計画されている選挙を妨害または阻害する行為も含まれることについても強調した。

さらに、安全保障理事会は、すべての国、リビアの当事者、そして「関連する当事者」に対し、「すべての外国軍と傭兵のリビアからの遅滞ない撤退を含む」停戦合意の完全な履行を再度強く求めた。

クビシュ国連特別大使は、外国軍や傭兵が存在し続けることにより、停戦合意が脅かされていると警告した。

クビシュ大使は、「リビアと国際社会の当事者が、傭兵や外国軍の撤退を開始し、撤退を完了させるための計画に合意することが不可欠である」と述べた。「この目的に向けた最初のきっかけは心強いものですが、具体的なステップと合意が必要です。」

国連安全保障理事会の議長を務めた議長国のフランスのジャン・イヴ・ル・ドリアン・フランス外相は、12月24日の選挙期日を維持することが「必須」であると述べ、「外国の勢力」の排除を着実に進めるための期限を設けることを求めた。

フランスは、2つの陣営のシリア傭兵が「早ければ今後数週間のうちに」撤退することで、この動きを開始することを提案している。

クビシュ大使は、各勢力5名ずつのメンバーで構成される合同軍事委員会が停戦の実施と政治的進展の鍵を握っているとし、「政治的プロセスが停滞したままでは、その重要な役割が崩壊しかねない」と警告した。

またクビシュ大使は、「停戦合意の完全な履行に向け団結力を維持し、リビアの主要政治的事者間の政治的な行き詰まりや膠着状態による影響により、合意履行に向けた前進が妨げられないよう、あらゆる努力をしなければならない」と述べた。

さらにクビシュ大使は、暫定政府と代表議会、暫定政府と東部に拠点を置くハフタル司令官率いるリビア国民軍、12月24日の選挙のスケジュールを尊重したい人々と「選挙の延期を望む人たち」の間の対立を挙げた。

政治的な行き詰まりの影響は、「すでに顕在化し始めている」とクビシュ大使は指摘した。

加えて、暫定政府が提出した予算が代表議会で採択されなかったと、クビシュ大使は語った。ハフタル司令官率いるリビア国民軍は、彼らが支配する地域における暫定政府の権限拡大を認めず、暫定政府と大統領評議会は停戦合意の実施に不可欠な国防相について合意できず、さらに合同軍事委員会は、選挙や傭兵・外国軍の撤退に向けた動きがないことに抗議し、沿岸道路の再開を延期した。

今回の国連安保理会合に先立ち、先月、リビア和平に関する会合がベルリンで開催された。同ベルリン会合でドイツと国連は、停戦合意の履行と選挙へのロードマップの実施を促進するため、17カ国とリビアの暫定政府の指導部を招集した。今回の国連安保理の議長声明は、同会合の結論を歓迎した。

ドイツのハイコ・マース外相は安保理会合で、「この1年間で、リビアは平和と統一に向けて長い道のりを歩んできた」と述べた。

マース外相は国際社会に対し、「利己的な政治的動機で選挙の延期を支持する人々に対し、強い姿勢で臨む」ことを要請し、国連安保理に対し「いかなる妨害も容認しない」ことを再確認した。さらにマース外相は安保理に対し、その姿勢を維持し、リビアにおける進展を 「不可逆的 」なものにするよう求めた。

AP

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