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レバノンの政治経済危機が続くなかヒズボラが非難の砲火を浴びる

国連のパトロール車両が、イスラエル・レバノン国境のレバノン側にあるヒズボラの旗の前を通り過ぎる。(AP写真)
国連のパトロール車両が、イスラエル・レバノン国境のレバノン側にあるヒズボラの旗の前を通り過ぎる。(AP写真)
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10 Aug 2021 07:08:40 GMT9
10 Aug 2021 07:08:40 GMT9
  • イランからの医薬品と燃料の輸入に関するヒズボラの姿勢は「プロパガンダ」とアーメド・ファットファット元国会議員 
  • 政治経済危機のさなかヒズボラとその書記長の最近のパフォーマンスが非難を受ける

ナジャ・フーサリ

ベイルート:8月9日、レバノン危機に関して、ヒズボラが市井の人々や政治階級から厳しい批判を浴びた。 

怒れる住民が経済危機に抗議していくつかの道路を封鎖した。レバノンポンドの価値急落に伴って、レバノンは深刻な医薬品不足に陥っている。

首相候補に指名されたナジーブ・ミカティ氏による組閣プロセスは、ゆっくりと暗礁に乗り上げようとしている。 

その一方で、ヒズボラは、イスラエルと変わらない立場とっているとして、マロン派のビシャーラ・ブトロス・アル・ライ総主教を激しく非難した。

日曜日に行われた説教でアル・ライ総主教は「戦争か平和かの決定権は国家の手にのみ委ねられるべきだ」と強調し、「1949年の休戦協定の遵守とレバノンの中立」を求めた。

アル・ライ総主教を非難するヒズボラのキャンペーンは、さまざまな政治家や多数のキリスト教の宗教・政治団体からの反発を招いた。

ドルーズ派指導者ワリード・ジュンブラート氏は8月9日に次のようにツイートした。「アル・ライ総主教は休戦協定に言及したことで、どのような犯罪を犯したのか?あの反対派の言説に沿わない議論はすべて禁じられるかのようだ」。そして、「ピカイチの民主的な様相」と皮肉った。

国会議員を辞職したマルワン・ハマデ氏は、ヒズボラがイスラエルとの南部国境での緊張を高めたことを非難し、ベイルート港の爆発で犯罪捜査を行っているタレク・ビター判事に対するヒズボラの攻撃についても酷評した。

ハマデ氏はヒズボラ書記長のハッサン・ナスララ氏に次のような言葉を投げかけた。「あなたの慈悲のおかげで私たちは50年前に後戻りした」

「ヒズボラが唱える均衡抑止は、レバノンを支配するための口実だ」

セイダ・アル・ジャバル教会は、「(アル・ライ総主教に対する)このキャンペーンを直ちにやめないなら、いくつかの都市で行動を起こす」と警告を発した。

元国会議員のアーメド・ファットファット氏は、「レバノンという国は、国家内国家すなわちヒズボラ国のための崩壊しようとしている。現在レバノンはイラクのシナリオを経験しているようだ。いや、それ以上にひどいものだ」と、アラブニュースに語った。

「ヒズボラは、自分たちには国家に取って代わる実力が備わっている、と示唆している。だが、実際には、これまでのところヒズボラはそれに成功していない。ヒズボラの支持者たちも全レバノン国民と同じように、ヒズボラによる国家破壊で災難を被っている」

そして、こう付け加えた。「イランとアメリカの交渉が行われているかぎり、イランはレバノンの組閣成立を許可しないだろう」

「ナスララ氏は、レバノンにおける抵抗にはコンセンサスが存在していないことを初めて認めた」

「これはヒズボラが名声と支持者を失い、もはや脅迫政策が住民に通用していないことを意味している」

「その最大の証拠となるは、ベイルート港事件の犠牲者の家族が8月4日に『イラン、出ていけ』という横断幕を掲げたことだ。人々の優先順位が変わってしまった」

ファットファット氏は、イランからの医薬品と燃料の輸入に関するヒズボラの姿勢はプロパガンダに過ぎないと述べた。

「イランは以前にベネズエラで同じことを行った。だが、金と引き換えだった。今度はレバノン中央銀行に保管されている金を手に入れたいのか?」

別のところで、ヒズボラに所属する暫定保健相のハマド・ハッサン氏が「金融と政治の意思決定者」への批判を行った。

ハッサン氏は8日のインタビューで、「中央銀行と医薬品輸入企業は、レバノンの保険システムをたいへん危険な状態にさらしかねない事態に責任を負っている」と発言した。

ハッサン大臣はイランからの医薬品輸入を擁護した。

「中央銀行と輸入企業はすべての不足している医薬品に責任を負う」

「不足している医薬品を登録し、緊急輸入することを決定した。規格と条件を満たすすべての医薬品が輸入対象となる」

9日、ヒズボラの国会議員ハッサン・ファドララ氏も、中央銀行に圧力をかけようとした。中央銀行は「石油製品と医薬品への補助金を中止する決定を左右しようとしている」と述べた。

ファドララ氏は、ヒズボラは「イランからの燃料輸入を推進しようと努めている」と述べた。

9日、ディーゼル燃料をできるだけ早く確保しようとうする需要が高まるなかで、ベイルートとトリポリに次ぐレバノン第三の海岸沿いの大都市シドンは真っ暗闇に包まれた。

電力会社レバノン電力(Electricite du Liban)による厳格な電力割り当てのために、発電機を所有する民間事業者が燃料が足らないと発表し、レバノンの都市は暗闇に包まれたままだ。

中央銀行が国家の電力用燃料を購入するのに必要な外貨の大半を使い果たしてしまい、レバノン国民が供給される燃料は平均で1日当たり1時間分となっている。

レバノンには民間部門が所有する発電機が3500台以上あり、その電力を購入する契約者が支払う料金は月額150万レバノンポンド(992ドル)以上に高騰している。

9日、国会議員のミシェル・ダヘル氏は不満を明らかにした。「不足している医薬品を必要とする患者が毎日何百人も訪ねてくる。輸入業者に問い合わせると、こういう回答が返ってきた。補助金のつかない医薬品の価格に関して、保健省は1ドル1万2千レバノンポンドという為替レートを設定した。このレートは闇市場レートに見られる実質的な価値の半分だ。だから、輸入を停止せざるを得ない」

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