
ドイツ・ラムシュタイン:国際原子力機関(IAEA)が厳しい内容の報告書を公表したのを受け、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は8日、イランが核合意に復帰するための猶予がなくなってきていると警告を発した。
「特定の期限を設定するわけではないが、包括的共同行動計画の順守への厳格な回帰が、合意で得られる恩恵を生み出さないという地点に私たちは近づいている」。国務長官は核合意に触れながら、ドイツで記者団にそう語った。
IAEAは7日に厳しい内容の報告書を出した。イランの核開発に関するIAEAの調査を同国の政府が一部中断させたため、国内での監視活動に「深刻な影響が生じている」との内容だ。
停滞している合意を復活させるための対話が2、3か月再開される見込みがない、とイラン政府が示唆していることに対し、ドイツ政府も「長過ぎる」と感じているとマース独外相は述べた。
マース氏はイランの新外相と電話で会談し、「交渉の場に早く戻るように」説得したと語った。
また、イラン新政権がこれまでの交渉の結果を尊重し続けることをドイツ政府は信じているとも述べた。
イランでは8月はじめ、2015年の核合意でイラン側の立役者となった穏健派のハッサン・ロウハニ氏に代わり、超保守派のイブラヒム・ライシ氏が大統領となった。
2015年合意では、国連の監視下での核開発の厳格な管理と引き換えに、欧米による制裁が緩和されていた。
だが、トランプ前大統領が3年前に合意を破棄して厳しい制裁を課したことを受け、イランは合意で規定された義務の大部分を事実上放棄している。
トランプの跡を継いだジョー・バイデン大統領は、米政府が合意に復帰することを望んでいる。
AFP