
エルサレム:イスラエルのメディアは、最も厳重な警備が敷かれる刑務所を今週脱獄した6人のパレスチナ人のうち、さらに2人が土曜日の明け方に逮捕され、逃亡中の囚人は2人になったと報じた。
逮捕された囚人の中には、2000年代初頭に起きた第2次インティファーダで有名な過激派リーダー、ザカリア・ズベイディ氏も含まれている。写真には、目隠しと手錠をされて地面に座っているズベイディ氏と氏名不詳の男1人が写っていた。後ろには平服を着て武装したイスラエル兵がポーズをとっている。
今回逮捕された2人の脱獄犯がどこで捕まったのか、現時点で詳しいことはわかっていない。ズベイディ氏らが逮捕されたのは、イスラエルの警察が6人のパレスチナ人のうち2人を逮捕したと発表してから数時間後のことだった。今回の大胆な脱獄はイスラエル中の関心を集めている。
その直後、ガザ地区のパレスチナ過激派組織がイスラエルに向けてロケット弾を発射したが、イスラエル軍はこれを防空システムが迎撃したと発表した。ロケット攻撃で犯行を主張するパレスチナの組織はなかったが、ロケット攻撃は脱獄犯の逮捕と関連があると考えられている。
金曜日の夜、警察は6人のうち最初の2人をアラブ系住民が多数を占めるイスラエル北部の都市ナザレスで逮捕したと発表した。逮捕された2人は、イスラム過激派組織「イスラム聖戦」のメンバーで、終身刑で服役していたマフムード・アラデ氏とヤクブ・カダリ氏だと発表された。2人は何の抵抗も示さなかった。イスラエルのメディアは、2人の不審人物がいると市民から警察に通報があったと報じた。
ソーシャルメディアで広まっている動画には、イスラエルの警察が容疑者の足鎖を警察車両の後部座席につなぎ、名前を尋ねる様子が映っている。ジーンズと緑のTシャツを着たこの男は、落ち着いた様子でカダリと名乗り、脱獄犯の1人かという質問に「はい」と答えている。カダリ氏は、殺人未遂と爆弾設置の罪で2つの終身刑を受けていた。
6人のパレスチナ人は月曜日にギルボア刑務所からトンネルを掘って脱獄し、イスラエルとヨルダン川西岸地区で大規模な捜索が始まった。
パレスチナ人にとって、脱獄犯たちは複数の終身刑から逃れることに成功した「英雄」だ。イスラエルと戦い、イスラエル軍に対する攻撃に参加することや、民間人に対する攻撃に参加することすらも、多くのパレスチナ人にとって誇りの源となっている。
ガザ地区やヨルダン川西岸地区では、パレスチナ人が脱獄を祝うために座り込みや喜びの集会を行っていた。
脱獄犯の中には、ズベイディ氏と同じ様に終身刑で服役していた過激派組織「イスラム聖戦」のメンバー4人も含まれる。脱獄犯たちは全員、ヨルダン川西岸地区のジェニン近郊出身だ。
2人の脱獄犯が逮捕されたというニュースが金曜日に事実だと確認されるやいなや、パレスチナのソーシャルメディアでは失望と衝撃を表す否定的な投稿が相次いだ。パレスチナ自治政府は現時点で反応を見せていない。しかし、ガザ地区を実効支配するハマスのアブデルタイフ・アル・カノウ報道官は、脱獄犯たちは再び逮捕されたにもかかわらず、「勝利を収め、イスラエルの警備システムの威信を傷つけた」と述べた。
今回の脱獄劇で、イスラエルの刑務所の重大な欠陥が露呈し、怒りに満ちた批判と責任追及が何日も続いている。また、脱獄によりイスラエルとパレスチナ人の間の緊張も高まっている。
金曜日、ハマスは投獄されているパレスチナ人に対するイスラエルの弾圧に抗議するために「怒りの日」の抗議活動を呼びかけたが、同日中に大きな対立は起きなかった。しかし、エルサレムでは、旧市街で警官を刺そうとしたパレスチナ人容疑者がイスラエル警察の銃撃を受け、負傷した直後に死亡したと伝えられている。
AP