
トリポリ:リビアのアブドルハミド・ドベイバ首相は、リビア大統領評議会がナジュラ・エル・マングーシュ外務大臣を停職処分にしたと発表した翌日、同外相を擁護した。
ドベイバ首相の首相官邸は、今年設立された大統領評議会には閣僚を停職させる権限はないと主張し、エル・マングーシュ外務大臣に職務の継続を指示し、彼女の働きに「感謝」の意を改めて表明した。
この問題により、2011年に独裁者カダフィ氏が失脚した後、10年間にわたる戦争と混乱を経て、リビアにおいて選挙の実施を実現させることが求められている脆弱な政権内の権力闘争を浮き彫りとなった。
ドベイバ氏は発表した声明の中で、「行政府閣僚の指名、解任、停職、起訴は、首相の独占的な権限の下にある」と述べた。
パリで開催される主要な国際会議を数日後に控え、ムハマド・マンフィー議長が率いる大統領評議会は土曜日、エル・マングーシュ外務大臣の職務を停止し、渡航を禁止したと発表した。
リビアのメディアは、エル・マングーシュ氏が『BBC』によるインタビューで、1988年に起きたロッカビー事件の犯人の引き渡しについて、リビアは米国と協力する用意があると述べたことについて、同外相の停職処分と関連づけて報じている。
大統領評議会はマングーシュ氏による「行政違反」の疑いに対する調査を開始した、とナジュラ・ウェヘバ報道官がリビアパノラマテレビチャンネルに語った。
ドベイバ政権はリビアの各機関に対し、「手続きを尊重する」「利益相反を避ける」ことを求め、このような「重要」な局面で政府の職務を妨害してはならないとしている。
リビア国内の3つの地域を代表する3人の評議員で構成され、ムハマド・マンフィー氏を議長とする大統領評議会が2月に発足した。
大統領評議会は、国連が主導する政治プロセスの一環として、ドベイバ政権下の新政府とともに、今年12月に行われる大統領選挙および議会選挙の実施に向けて設立された。
専門家らによると、土曜日に行われたエル・マングーシュ氏の職務停止処分は、12月に行われる選挙を前にドベイバ首相とマンフィー議長との間で緊張が高まっていることを反映しているという。
欧州評議会のシニア・ポリシー・フェローであるタレク・メゲリシ氏は、「昨夜、リビアの大統領府議長のマンフィー―氏(#Libya’s President Manfi)とドベイバ首相の間で高まっていた軋轢が再燃し、大統領評議会はマングーシュ外相を停職させようと、非常に薄っぺらい口実に飛びついた」とツイートした。
リビアの各派閥間の対立を解消するための政治プロセスが頓挫しかねない緊張感が漂う中、議会は先日、議会選挙を1月に延期することを発表した。
しかし日曜日、リビアの選挙管理委員会は、12月24日に予定されている大統領選挙と議会選挙の候補者は、月曜日に登録を開始できると発表した。
来週パリで開催される世界各国の首脳が参加するリビアに関する会議を前に、エル・マングーシュ氏を停職させる動きが出てきた。
『BBC』によると、エル・マングーシュ氏は、カダフィ大佐のために爆発物を製造する高位の爆弾職人であったアブアジラ・ムハンマド・マスード氏について言及した。マスード氏はロッカビー事件の犯人として米国で指名手配され、リビアに収監されている。
1988年、スコットランドの町ロッカビーの上空を飛行中のパンアメリカン航空機が爆破され、合計270人が死亡した。
リビアの専門家で、ジュネーブに拠点を置くグローバル・イニシアチブのアナリストであるエマデッディン・バディ氏は、今回のエル・マングーシュ氏の停職処分の動きを、同氏のBBCへの発言と関連づけている。
バディー氏はAFPに対し、「米国の立場が非常に重要であるため、今回の騒動は、バイデン政権のご機嫌取りと、誰が手柄を立てるかということが密かに目的となっている」と語った。
リビア外務省が発表した声明によると、エル・マングーシュ氏は、マスード氏について具体的に言及したことを否定し、「これらの質問は検察の責任である」と述べた。
AFP