ロンドン:昨年はゲーム史上もっとも豊作の年という声もある通り、超大作が目白押しだった。そのため、有名タイトルの影に隠れた小さな宝石のような作品は、きらびやかに輝くメジャー作品ほど注目を浴びていない。
「Little Goody Two Shoes」は、幻想的なホラー仕立てのRPGと紹介されるが、多くの人々はこの説明に困惑するだろう。
見た目にだまされてはいけない。全フォーマットでプレー可能なこのゲームは、一見したところカートゥーンをプレーしているようだし、キャラクターは日本の漫画のように大きな目が特徴的だ。だが、ストーリーラインはすぐに暗転し、プレーヤーのメカニクスはどんどん複雑になっていく。
この作品は18世紀の童話を下敷きにしており、主人公のエリーゼは「赤ずきん」と同じように、のどかなドイツの農村からそう遠くない森の中にひとりで住んでいる。だが、おとぎ話のように完璧に見える世界に、やがて魔女や奇妙な不幸にまつわる謎めいた噂の暗雲がたちこめる。
ゲームメカニクスに関しては、セクションに分かれた1日のリズムが心地よく、リソース管理コンポーネントで人間関係、仕事、そして何より重要な餓死しないための食事に投資するようになっている。グラフィックはカートゥーン的だが、時に現れる奇妙でなぜか中毒性のあるミニゲームも創造的だ。
魔法の靴とひと続きの夢が道を示し、エリーゼはやがて閉鎖的な村の暮らしを逃れ、ずっと思い描いてきた運命を生きる冒険に出る。だが、そのためにはクエストを完遂し、お伴のもふもふヤギのフローケとともに、彼女がよそ者を匿っているのではないかと疑う村人たちとの付き合いをうまく切り抜けなくてはならない。
秀逸なサウンドトラックと優れた会話表示が冒険を引き立てる。ストーリーも魅力的だが、このゲームの唯一の難点は、時にナビゲーションがぎこちなく、美しい風景が動き回るのにはあまり向いていないことだ。加えて、キーアイテムを見つけるために、風景のなかのインタラクティブではなさそうな部分を繰り返しチェックしなくてはいけないことが少なくない。これにより、このゲームの発見、悪夢のようなホラー要素、絶え間ないリソース管理というバランスが崩れてしまうのが惜しい。
典型的なRPGと同様、ストーリーの選択と行動次第で、さまざまなエンディングに行き着くことになる。子どもっぽい筋書きとキャラクターに反して、このゲームには驚くほど深みがあり、現代ゲームの世界にはメインストリーム作品のほかにも、奇妙ですばらしい作品があふれていることを思い出させてくれる。