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シリア人とウクライナ人の間に生まれ、戦争に板挟みにされた女性が直面する不確かな未来

シリアでパレスチナ人の父とウクライナ人の母の間に生まれたヴィクトリア・ナジさん、母イリーナ・ナジさんと共にダマスカスの自宅にて。(ロイター)
シリアでパレスチナ人の父とウクライナ人の母の間に生まれたヴィクトリア・ナジさん、母イリーナ・ナジさんと共にダマスカスの自宅にて。(ロイター)
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16 Mar 2022 06:03:27 GMT9
16 Mar 2022 06:03:27 GMT9

ダマスカス:シリアでパレスチナ人の父とウクライナ人の母の間に生まれたヴィクトリア・ナジ氏は、紛争の影で生きてきた。

24歳でダマスカス在住のナジ氏は、シリア内戦中に成人を迎えた。内戦は火曜日で11年となり、国の大部分が破壊されてきた。

ダマスカス大学で美術を学び、先ごろ卒業した彼女は、母親の故郷であるウクライナに行って機会を見出そうと考えていた。先月戦争が勃発するまでは。

「『将来はウクライナに移住できる』と自分に言い聞かせていました。今や、未来はとても混乱した状態です」と、パレスチナ人でウクライナ人、かつシリア人であるナジ氏は話した。「私は戦争をいたるところで目にしています。私にとって安全な場所はありません」

ナジ氏によると、友人や家族はキエフから安全な地域へと避難を余儀なくされたという。「どうか、これ以上ウクライナに何も起こらないことを祈っています」と、ウクライナを訪れた時の幸せな思い出を振り返りながら彼女は言った。

ナジ氏の両親は1983年に結婚し、ウクライナとシリアを行き来した後、1995年にダマスカスに腰を落ち着けた。母方の祖父は、第二次世界大戦で戦いを経験した。

父方は、1948年にイスラエルが建国され70万人のパレスチナ人が脱出・追放された際、家族でナザレの町から逃れた。一家はシリアで市民権を得た。

「住める国が3つあるのは幸せなはずなのに、そのどの国にも住めないのです」とナジ氏は話した。

シリア内戦の勃発以来、ナジ氏は大きな被害を受けなかったダマスカス郊外の地域で比較的安全に暮らしてきた。そのため彼女の友人の一人は、兄が砲撃で殺された後ここに滞在しに来た、とナジ氏は付け加えて話した。

内戦の主な前線各地は、数年前からほぼ停戦状態にある。しかし、貧困と苦難は、内戦が勃発して以来最悪の状況だ。

内戦が始まった頃について、彼女はこう語った。「問題は、こうしたことが始まった時、私たちは若かったということです。やがて年を取り、慣れてしまいました」

ウクライナ侵攻は、第二次世界大戦以来、ヨーロッパの国家に対する最大の攻撃となる。「私はアーティストです…なぜこんなことが起きているのか理解できないし、理解したくもありません。でも、理解しなければなりません。それが私の運命だから。パレスチナと同じように…もちろんシリアもです」と彼女は言った。

ロイター

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