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コロナのロックダウンが週4日制の導入に拍車を掛けるかもしれない

週4日制労働というコンセプトは、現在進行中のパンデミックの間に企業世界を管理する方法として世界で注目を集めている。(AFP)
週4日制労働というコンセプトは、現在進行中のパンデミックの間に企業世界を管理する方法として世界で注目を集めている。(AFP)
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29 May 2020 10:05:10 GMT9
29 May 2020 10:05:10 GMT9

今年初めに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界中に広まり始めたとき、伝染力の強いウイルスの感染率を抑えるために数多くの従業員がリモート勤務を促された。ここUAEでは、連邦政府が、公共部門と民間部門の両方の従業員を守るためにリモート勤務の方針を打ち出した。比較的短期間のうちに、私たちは、家族のために正常感を維持しつつ、自宅に自分の小さなオフィススペースを再現し、テレビ会議を主催し、生産的でなければならなかった。しかし、これは、通勤や他の気を散らすものへの時間を節約しつつ、自分の生産性を高め、優れた成果をもたらすやり方で、自由に自分の労働時間を最も適切なように設計できるということでもある。このことに私は考えさせられた。従業員のライフスタイルを補完しながら業績目標を達成するために、労働時間を変えられる方法を考えられないだろうか。

週4日制労働のコンセプトは、旅行制限、ロックダウン、ソーシャル・ディスタンシングが実施されている、現在進行中のパンデミックの中で企業世界を管理する方法として世界で注目を集めている。最近、ニュージーランドのジャシンダ・アーダン首相はフェイスブック・ライブの動画を通して国民に語り掛け、COVID-19による停滞の後に経済を再建するために、雇用主が週4日制労働や他の柔軟な勤務オプションを採用することを提案した。観光部門は同国の国内総生産の6%を占めており、この施策は経済の再生と国内観光の促進を助けるかもしれない。さらに、新しいワーク・ライフ・バランスによって、従業員は幸福感を高める活動に取り組み、家族の面倒を見るといった重要な個人的な責務を果たすための時間を得ることができるだろう。

特にパンデミックが世界中で景気後退を招いた後に、給与をカットせずに労働時間を減らすことは、経済学者はばかげていると思うかもしれない。しかし、疫学者たちは、感染と死の第2波を避けるためのソーシャル・ディスタンシングの重要性を人々に警告し続けている。従業員のリモート勤務、または最大週4日勤務を可能にすることで、私たちの生活の他の面を改善するのに加え、命を救うことができる。健康的なワーク・ライフ・バランスは、ストレスレベルと燃え尽きを減らすのを助け、結果的に慢性疾患の減少、関係満足度の向上、幸福感の改善につながる。労働時間が減ることで、主に世話をする人が子供や高齢の家族の世話をすることも可能になる。

シリコンバレーのコンサルタントでスタンフォード大学客員研究員のアレックス・スジョン-キム・パン氏は最近、『 Shorter: Work Better, Smarter, and Less — Here’s How』という本を出版した。パン氏は、週4日制労働または6時間労働の日を実施している、オーストラリア、カナダ、日本、韓国、英国、米国、スカンジナビア諸国のさまざまな業界の企業を調査した。同氏は、これらの企業はより生産性が高く、世界で活躍する人材にとってより魅力的だと結論付けた。また、これらの企業は効果的な生産性向上ツールを採用し、好調を維持している。

昨年8月、日本マイクロソフトは「ワークライフ チョイスチャレンジ 2019夏」を実施し、同月の金曜日は休業日とし、従業員2300人に毎週、1日の特別休暇を与えた。この試みの結果から、従業員がより幸福になったただけでなく、(従業員1人当たりの売り上げで測定される)生産性が40%向上し、電気代が23%低下し、従業員の休暇日数が減少したという結論に達した。試験後の調査では、従業員の92%が4日の週を好むことが示された。

ファストカジュアルレストランチェーンのシェイク・シャックは、米国店舗の3割で管理職の週労働日数を4日に短縮した。この柔軟な労働形態により、特に女性の採用が急増している。実際、求職者の約3分の2が、週労働日数の短縮が申し込みの原動力になっていると答えている。休暇が増えれば、親は特に保育料を節約できる。

しかし、週4日制労働の経済的メリットの称賛はさておき、もう一つの重要な問題が目の前にある。それは、人生を精一杯生きるための時間を持つことだ。こうすることにより、新しい趣味を取り入れたり、旅行をしたり、運動をしたり、社会的活動に参加したり、新しい経験を試したりするなど、より多くの実験ができるようになる。これは、フロリダ州立大学の心理学者、K. アンダーズ・エリクソン氏が行った研究と関連している。同氏は、アスリートや作家、ミュージシャンといった一流のパフォーマーがどのようにしてさまざまな分野で成功してきたかを30年以上にわたり研究している。同氏の研究で、一流のパフォーマーは平均して毎日4時間を計画的訓練に費やし、その後は休息をたっぷり取り、余暇を過ごしていることが明らかになった。

従業員のリモート勤務、または最大週4日勤務を可能にすることで、私たちの生活の他の面を改善することに加え、命を救うことができるだろう。

サラ・アル=ムッラ

歴史上の著名人の中から、短時間集中して働き、その日の残りの時間を余暇や休息に費やすと主張した人々を選ぶことができる。例えば、作家のチャールズ・ディケンズは、毎日の創造的な執筆のエネルギーを午前9時から午後2時までの5時間に注ぎ、その後は長い散歩に出掛けていた。英国の政治家、ウィンストン・チャーチルは、喜びの源と、ストレスの多い仕事の息抜きとして絵を描くことを楽しみ、著書『Painting as a Pastime』の中で、本職以外の分野への進出を愛情を込めて記録した。米国の思想家、ヘンリー・デイヴィッド・ソローは、森の中で自己発見の旅に2年を費やし、その後、有名な本『ウォールデン』を執筆した。

多面的なニーズを理解することで、私たちは生産性向上のために仕事の時間を調整しながら、人生に大きな意味を与える楽しい活動を追求する時間を見つけることができる。

サラ・アル=ムッラは人間開発政策と児童文学に関心を持つアラブ首長国連邦の公務員。

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