ベイルート:世界銀行は23日、深刻な経済危機にあるレバノンの公立学校教師たちを支援するため、3700万ドルを振り向けることで同行のパートナー達と合意したと発表した。
世界銀行と英国外務省(外務・英連邦・開発省)は、シリア難民を受け入れているレバノンのコミュニティを支援することを目的としたレバノン・シリア危機信託基金から資金を転用すると、同行は声明で明らかにしている。
この資金は、「レバノンの深刻な経済・金融危機に苦しめられている公立学校の教師たちに、通勤に必要な燃料費を確保するための経済的インセンティブを提供する」目的で用いられる、と声明は付け加えている。
今回の支援は2021-2022年度のみ有効な例外的措置で、レバノン政府の要請によるものだと世界銀行は述べている。
レバノンは、内戦に苦しむシリアから100万人以上の難民を受け入れているが、現在は世界銀行が「世界が近代に経験した最悪の事態のひとつ」と呼ぶ深刻な経済危機の最中にある。
国民の80%以上が貧困にあえぎ、同国の通貨レバノン・ポンドは闇市場で米ドルに対して90%もの価値を失っている。
2年前の経済危機以前からすでに低賃金だった公立学校の教師たちは、危機により貧困状態に追いやられている。
教師たちの給料はレバノン・ポンド建てのため、通貨の急激な切り下げにより、大幅に目減りしている状態だ。
レバノンでは現在、多くの人々が通勤用の燃料すら購入できていない。政府が補助金の撤廃を進めた一方、炭化水素燃料の価格が数カ月で4倍以上に急騰したためだ。
レバノンで車に乗る人達は現在、例えば中型車に一杯に給油するには最低賃金の月給675,000レバノン・ポンド(25ドル、約)以上を払わなければならないのだ。
AFP