サウェ・アル・アトラッシュ(イスラエル):イスラエルの砂漠で政府が支援する植林事業は、これを国家による差別的な不法侵入とみなすベドウィン・アラブ人の激しい抗議を引き起こし、ナフタリ・ベネット首相率いる民族的混成連立政権内に不和が生じた。
ユダヤ教の植樹祭であるトゥ・ビシュバットを数日後に控えるなか、南部ネゲブ砂漠を緑地に変える運動は、イスラエル建国の開拓者の物語を想起させる。
しかし、遊牧民であるベドウィンは、区画整理された国有地の私有権を主張しており、イスラエルの裁判所が権利剥奪運動の一環として土地収用を可能にしていると非難している。多くのベドウィン・コミュニティが、ライフラインのない軽量コンクリートブロック造りの宿営地に閉じ込められることになってしまった。
ベネット氏の連立パートナーでイスラエルの少数派アラブ人のマンスール・アッバス氏が、「ベドウィンの市民に名誉ある暮らしと生計の手段を与える適正な計画に取り組む間」の延期を求めていたにもかかわらず、今年、掘削作業が行われた。
アッバス氏はツイッターに、「木は人間より大切なものではない」と投稿した。
当局は、保全と近代化のためには、砂丘を平坦にして植林するのは必要なことであると主張している。
1月12日、ネゲブ地方のサウェ・アル・アトラッシュ村で、ベドウィンの人たちが機動隊ともみあいになった。当局によると、前夜、デモ隊は道路を封鎖し、運転手に投石し、鉄道線路に岩を積み上げて列車を停止させたという。
連立政権の広報担当者は、マンスール氏の政党である統一アラブリスト(UAL)は国会での投票をボイコットしていると語った。
この状況が続くと、ベネット氏は僅差の過半数を活用できず、野党のユダヤ民族主義者勢力の勢いを強める可能性がある。
UALはどこまでやる気なのかを問われた同党のイマン・ハティーブ・ヤシン議員は、「とことん」と回答した。
ヤシン氏はKANラジオに、「このパートナーシップを結んだのは、この国のアラブ系市民には基本的権利があり、彼らの土地に対する基本的権利に値する存在であることに理解を示してくれるパートナーを見つけることを期待してのことだった」と語った。ただし、連立離脱の脅しをかけることはしなかった。
中道派のヤイール・ラピード外相は、反対の声が上がった植林を停止することを求めた。
歴代政府はネゲブ地方への公平な投資を約束していたが、「ベドウィンの問題は見捨てられていた」と声明で述べている。
宗教右派のベネット氏はコメントしなかった。思想的に近いゼエヴ・エルキン住宅相は、このような呼びかけに注意を払う必要はないと考えている。エルキン氏は103FMラジオに、「あの土地は国有地だ」と語った。
11日夜に、デモ隊の一部は、ベエルシェバ付近の高速道路で自動車に投石し、鉄道を封鎖し、車両を燃やした。警察によると、この暴力で警察官2人が負傷し、地元メディアの報道では、少なくとも18人が逮捕された。
政府は、当日の植林を終わらせ、13日に交渉を開始するという妥協案を発表した。緊張が緩和されたため、当局はこの地域から重機を撤退させた。
ベドウィンはイスラエルの人口の約2割を占める、少数派アラブ人の一部を占めている。
選挙権を含めて市民権を付与されているが、差別を受けている。イスラエルのアラブ系市民は、パレスチナ人との親族関係が深く、その大義に大いに共感を覚えている。
ロイター・AP