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次のイラン国会と、テフランのワシントンとの闘い

イランのハッサン・ロウハニ大統領は、2019年12月8日、イラン国内テフランでの国会で演説を行う。(ロイター)
イランのハッサン・ロウハニ大統領は、2019年12月8日、イラン国内テフランでの国会で演説を行う。(ロイター)

イランにかけられている国内および国外からの圧力は、与党政権にとって政権獲得以来、最も厳しい時期が到来していることを意味している。そして、2020年2月に開かれるイラン国会議員選挙は間もなくやってくる。

候補者たちは、小さく緊密であるイラン政界内で激しい政治的競争を引き起こすことが予想される。そして、彼らは2021年に開かれるイラン大統領選挙といった、より重大な政治イベントの方向性を指し示すだろう。

国会議員選挙は、この神権国家の中枢で最も熱い議論を呼ぶ出来事のひとつである。イランの1979年以来の政治史においては、国会議員選挙が国の政治的アイデンティティを形成し、政策に関わる国民の感情を察知する手段を提供し、そして、来たる新政権を率いる最高指導者の選択において明確な兆候を示唆している。

監督者評議会が候補者を審査する権限を与えられているため、国会議員選挙はしたがってライバル派閥の行く末に大きな影響を与えうる。しかし、政権内および派閥間の緊張が高まるにつれて、監督者評議会は様々な派閥によって操作もしくは利用される可能性がある。その結果、特定の候補者のみが選出される事態となりうる。

過去と比べて現在のイラン政権は、国内で計り知れない支持を享受していることを敵国のみならず体制擁護派に示す必要がある。特にイラクおよびレバノンへの内政干渉、そしてそれを支持する現体制に反対する大規模な反政府デモを考慮しながら。

また、国内では、治安維持部隊が1,000人に上る非武装のデモ参加者を殺害したことによって失われた体制擁護派からの信頼を取り戻す必要がある。

政権は、絶え間ない論争の源である選挙を通じて衰退しつつある政権の求心力を再確立することで、依然民衆からの支持を受けていることを体制擁護派に示し、彼らを納得させることを切望している。また、米国からの経済制裁を受けている間に行われる国会議員選挙において、イラン政権は米国の「最大限の圧力」政策を利用し、自らを「西側帝国主義の犠牲者」と表現して諸国からの同情と支持を得ようとし、また、崩壊しつつある国際社会での地位を固めようともしている。

前述した理由により、来たる国会議員選での投票率は、イラン首脳部にとってこれまでよりも遥かに重大な意味合いを持つ。実際、我々は、これらの選挙における投票率がイラン政権内において進行中の派閥争いおよび国内外における争いに影響を及ぼすと結論付けることができる。

これらの選挙はまた、イラン政権が体制擁護派の間で熱望されていた信頼を再構築することに成功したかどうか、また、国際的な圧力に対する民衆の怒りを発散するため、政治への支持を示すために公的プラットフォームとしての選挙を通じてイラン国民を動員することができたかどうかを明らかにする。

しかし、テフランのイラン首脳部は、その目的を自然に達成することはできず、ごまかしに頼らなければならないことを完全に把握している。そのため、政権は最も強硬な支持者、特にバシジを動員し、想像上の草の根的な支持を受けていることを実証することが期待されている。マフムード・アフマディネジャドが、自らの大規模な談合および不正選挙による非難を浴びる中、二期目の当選を果たした2009年の大統領選挙のように。

選挙を監督する中立ないし公平な機関がイランにない事実を考えると、投票期間中の政権による不正行為に対する国民の疑惑はますます強くなり、政権を弱体化させていくだろう。

ムハンマド・アル=スラミ博士

私の見識からすると、イラン政権は、政権によって完全に操られているメディアが映し出すイメージを通してそれら不正行為を隠そうとするだろう。

さらに、いつものように次のイラン国会が最高指導者の意のままに形成されるとすれば、ハッサン・ロウハニ大統領の政府は、今後2年間でより大きな圧力に直面するだろう。その最中でロウハニは、ガソリン価格の上昇や外貨の乱高下、その他の経済的問題によってここ数週間悪化したイランの社会経済状況の悪化の主犯とみなされるだろう。

イスラム革命防衛隊の行動を予測できないこと、彼らが派閥のいくつかに対して行使する統制の範囲は、次の時代の重大さと曖昧さを殊更に強調している。我々はまた、2020年の米国大統領選挙の助走期間を目の当たりにしている。イラン首脳部も、2015年の核合意から離脱し経済制裁を復活させた米国政権の政策オプションを評価しながら事の成り行きを注意深く観察している。

イランと米国での選挙準備は、9月にイランによるサウジアラビア領内アラムコの石油関連施設に対して行われた攻撃後の、アラビア湾の緊張の高まりを背景に行われている。

テフランの急速に衰退する政権の唯一の希望は、トランプ時代が終わりを告げ、前大統領バラク・オバマのような「ムチ」よりも効果の上がらない「アメ」を追求する新しい米国大統領が権力を握ることだ。イラン政権はしかし長期間、これが起こるのを待っているのかもしれない。

ムハンマド・アル=スラミ博士は、国際イラン研究所(Rasanah)所長。ツイッター:@mohalsulami

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