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リビアの選挙実施には、日程の強制よりも基盤作りへの支援を 国連安保理会合で指摘

アントニオ・グテーレス国連事務総長のリビア担当特別顧問、ステファニー・ウィリアムズ氏は最近にも、選挙を「可能な限り短い期間で」実現することが重要だと改めて強調している。(ファイル写真:ロイター)
アントニオ・グテーレス国連事務総長のリビア担当特別顧問、ステファニー・ウィリアムズ氏は最近にも、選挙を「可能な限り短い期間で」実現することが重要だと改めて強調している。(ファイル写真:ロイター)
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25 Jan 2022 11:01:38 GMT9
25 Jan 2022 11:01:38 GMT9
  • 弁護士・活動家のエルハム・サウジ氏は、汚職や人道に対する罪に関与した候補者が立候補を許可された「甘すぎる」候補者審査を非難した
  • 米国の特使は、同国の人権状況の悪化と、移民、亡命希望者、難民を標的とした暴力や虐待の継続的な報告に対する懸念を強調した

エフレム・コサイファイ

ニューヨーク:リビア情勢の調停に関与する当事者たちは、過去2年間に得られた教訓を考慮して、同国の政治的移行のためには、関連するステップを日程通りに進めることにこだわるよりも、「マイルストーンの設定」に焦点を当てるべきだとする見方を、「リビアの正義のための弁護士団(Lawyers for Justice in Libya)」のエルハム・サウジ共同設立者兼代表が提示している。

この「マイルストーン(節目となる進展)」には、選挙法、選挙実施のための規約、「(選挙による民主政治への)移行を効果的に達成するためのより広範なロードマップに従い、大統領選挙と立法府選挙を適切に実現する」しっかりとした憲法上の根拠、などが含まれるという。

24日に開催された国連安全保障理事会のリビア情勢に関する定例会合でサウジ代表は演説し、これらのマイルストーンを実現していけば、リビアの選挙は自然に行われるようになり、「管理、脅威からの保護、そして成功させることがはるかに容易になるでしょう」と訴えた。

一方、アントニオ・グテーレス国連事務総長のリビア担当特別顧問、ステファニー・ウィリアムズ氏は今月に入ってからも、「(リビアで)6月末までに選挙を行うことは可能であり、必要です」と発言し、選挙を「可能な限り短い期間で」実現することが重要であるという従来の主張を繰り返している。

しかし、サウジ氏は次のように警鐘を鳴らす。「選挙実現に向けた明確なプロセスではなく、選挙の時期に重点を置くことは、いわゆる政治的便宜のためにデュープロセスに妥協を生じてしまう危険性があります。」

昨年12月24日に予定されていた選挙が延期されたのは、選挙の法的枠組みの不備、立候補者に対する裁判所の矛盾した判決、選挙高等委員会が指摘した政治的・安全保障上の懸念など、国内の政治勢力間の対立が激化および選挙プロセスの重要な側面をめぐる論争が原因であった。

サウジ氏は、安全保障理事会のメンバー各国の代表に対し、「説明責任は、政治的進歩の前提となる条件です。にもかかわらず、選挙に応募する候補者に適用された審査基準は定義は曖昧かつ根拠も脆弱なもので、ICC(国際刑事裁判所)で起訴された人物を含む、汚職や人道に対する犯罪もしくは人権侵害に関与した人物が候補者として受け入れられてしまっていました。」

リビアの代表議会は、12月の投票延期を受けて、国政選挙に向けた新たな道筋を策定する「ロードマップ委員会」を設置した。同委員会は、25日にトリポリで最初の報告書を発表し、議論を行うことになっている。

ローズマリー・ディカルロ国連事務次長(政治・平和構築担当)は、リビア大統領府が国内の和解に向けて新たな努力をしていることを歓迎する一方で、選挙の準備段階での政治的不確実性を嘆いている。「(過度の政治的な不確実性は)トリポリを含む全体的な治安状況に悪影響を及ぼし、異なる大統領候補を支援する武装グループ間の同盟関係に変化を生じさせている」と事務次長は指摘している。

リビアの人権状況についてもディカルロ事務次長は懸念を表明し、「選挙に関連した暴力事件や政治的所属を理由とする攻撃、選挙候補者の適格性の審査手続きに携わる司法関係者、ジャーナリスト、活動家、政治的見解を表明する個人に対する脅迫や暴力」などの問題を挙げている。

「こうした深刻な問題の発生は、自由で公正、平和で信頼できる選挙のための環境づくりの障害となっています」と事務次長は訴えた。

リビアのタヘル・エル・ソンニ国連常任代表は安全保障理事会で、選挙の延期には驚く人もいたけれども、多くの人々はそれを予期してもいたと語った。

ソンニ国連常任代表は以下のように訴えた。「現在のリビアは、信頼は揺らぎ、国のための憲法も、ほとんどの政治勢力が今提唱している合意による憲法に基づく法制度も存在しない状態です。このような状態では、計画していた選挙を成功させることは非常に困難だったと言わざるを得ません。なぜなら、選挙とは強制的な支配や排除の手段ではなく、国民の政治参加の手段、安定を支える手段であって、新たな紛争への道を開くような、実施自体を目的とするようなものではないはずだからです。」

同代表はまた国連に対し、選挙のプロセスをより「真剣かつ効果的」に支援し、現場からの要請を評価するチームを派遣するよう求めた。

「こうした支援を得られれば、選挙やその結果に疑問を抱くことなく、誰もが憧れる選挙を実現するための国際社会の真剣さを示す明確なメッセージとなるでしょう」とソンニ代表は述べた。

また、安全保障理事会に対してソンニ代表は、リビアにおける国民和解と正義に基づく政治的移行のプロセスに「積極的に関与していく」よう呼びかけた。「(和解と公正な移行は)国に安定をもたらす政治的解決策の成功に欠かせない重要な基盤です。にもかかわらず、この互いに結びついたかけがえのない2筋の光は、残念ながら過去数年間には見失われてしまっていたのです。」

ソンニ国連常任代表はまた、アフリカ連合(AU)に対しても、選挙実施に向けたリビアの努力を支援するよう改めて求めた。

米国国連代表部の特別政治問題担当上級顧問であるジェフリー・デローレンティス国連次席大使は、投票登録をした何百万人ものリビア国民の意思が尊重されるべき時が来たとコメントしている。

「リビアの人々は、自分たちの未来を決める用意ができているのです」デローレンティス次席大使は言う。

「リビアの指導者になろうとしている人たちは、リビアの人々は選挙によって権限を与えられたリーダーシップだけを受け入れるだろうこと、また選挙の遅れを受け入れるのももう限界であろうことを理解する必要があります。」と述べています。

会合に出席した他の多くの国々の代表たちと同様、デローレンティス次席大使は、移民危機や、リビアの移民、庇護希望者、難民に向けられた暴力や虐待の報告についても言及した。

「リビア当局は、不法な収容所を閉鎖し、恣意的な拘束をやめ、被害を受けている人々への人道的支援のための妨げのないアクセスを認めなければなりません」とデローレンティス次席大使は強調した。

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