
ベイルート:レバノンが壊滅的な金融危機に襲われる前、ファラジ・ファラジさんは、大学進学によってベイルートの貧困地域にある窮屈な実家から抜け出し、経済的に自立する道が開かれると思っていた。
しかし、高騰する生活費のために、19歳のファラジさんはちょうど1年前、2年生を終える前に退学を余儀なくされた。レバノンでは彼と同じような若者が増えている。
「最後まで学業を続けるのを助けることができる家族もいないし、仕事もない」とファラジさんは言い、公立の学校に通っていたにもかかわらず、交通費を負担するのが難しくなったと付け加えた。
1月に公表された国連の調査では、レバノンの15歳から24歳の若者の30%が学校を中途退学していることが明らかになった。食事を抜いたり、医療費を切り詰めたりする若者が増えていることも示された。
ファラジさんと両親、無職の2人の兄、まだ学校に通っている2人の妹は、ベイルートのボルジ・ハムードにある小さなアパートの2つの部屋で寝ている。この地区の道路は狭くて混雑しており、2020年に市内の港で起きた大爆発で被害を受けた。
コロナウイルスの大流行と、ベイルートの臨海地帯に今も傷跡を残す港の爆発事故は、世界銀行が19世紀半ば以降で最悪の経済崩壊のひとつと評する同国の危機をさらに深刻にした。
ドル建てで給料をもらっているエリートたちは、今でも高級住宅地区のバーやカフェに群がっているが、貧困率は80%に達し、多くの人が食事や薬を買うのに苦労している。
「昔は困難なことがあっても物を買うことができた」と、ファラジさんは言う。「今は危機の影響が大きく、買えるのは食べ物と飲み物だけです」
ファラジさんは、国連の児童機関ユニセフが支援するプログラムで、美容師になるための訓練を受けている。このプログラムは、失業率の高騰に直面し、仕事を見つけることができたとしても賃金が1日2ドル程度というレバノンの若者の支援を目的とする。
「13、14、15歳で学校を中退した若者を再び学校に戻すのは本当に難しく、教育やスキルが著しく不足したまま、非常に不安定な労働市場に入ってしまいます」と、レバノンにおけるユニセフの青少年部門責任者、アレクサンドル・シャイン氏は述べる。
「このような事態が暗示するのは、レバノンの再建と危機からの脱出に必要なスキルが、この国に存在しなくなるということです」
国連や政府のデータでは、教育への支出や15歳未満の子どもの就学率が低下し、児童労働が増加していることも示されている。
私立学校から公立学校へ転校した家庭もあるが、それらの公立学校はパンデミック発生時に遠隔教育の提供に苦慮し、再開後も教師の低賃金をめぐる休校やストライキに見舞われた。
また、学校や大学の教職員の多くが離職し、頭脳流出がさらに加速している。
この問題は国のより広い政治的・経済的危機と結びついていると、アッバス・エル・ハラビ教育相は述べる。
「レバノンの若者は、レバノンに住み続けることへの信頼を徐々に失いつつある」と、同教育相はロイターに語った。
「退学する者や学業を放棄する者、学校から遠ざかっている者が出ているのは事実だ。教育を重要と考えなくなった家庭も多いが、教育は子供たちに与えることができる唯一の武器であるため、一部のレバノン人からは大きな関心が向けられている」
ロイター