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イスラエルの人権団体、ヨルダン川西岸地区の入植が拡大していると指摘

2022年6月24日、ヨルダン川西岸地区のナブルス南にあるパキスタン人の村カリユトで、入植地エリの入植者らが湧き水の支配権を握ろうとする中、イスラエル治安部隊が配置される。(AFP)
2022年6月24日、ヨルダン川西岸地区のナブルス南にあるパキスタン人の村カリユトで、入植地エリの入植者らが湧き水の支配権を握ろうとする中、イスラエル治安部隊が配置される。(AFP)
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26 Jun 2022 12:06:14 GMT9
26 Jun 2022 12:06:14 GMT9
  • 平和運動組織「ピース・ナウ」によると、新たな住宅の建設はネタニヤフ時代に比べて62%増加している

モハメド・ナジブ

ラマッラー:つい最近解散を発表した連立政権下で、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治区におけるイスラエル人入植地の建設が急増していたことが、イスラエルの人権団体による報告書で明らかになった。

イスラエルの平和運動組織「ピース・ナウ」は、6月25日に公開した調査報告書で、2021年6月に現政権が発足して以降、エルサレムを含むヨルダン川西岸地区における新たな入植者の住宅建設が、ベンヤミン・ネタニヤフ前政権時代に比べて62%増加したと発表した。

ベネット首相とヤイール・ラピード外相は6月20日、議会を解散し、ラピード氏を暫定政府の首相に就任させ、早期に総選挙を行うことで合意したと発表した。

この決定は、「連立政権を安定させる試みを尽くした」結果であると両者は共同声明で述べた。

ピース・ナウの報告書を見ると、政府は占領に関する現状維持を約束したにも関わらず、政権発足後1年が経過した現在、前政権の政策が継続されているばかりか、入植計画はさらに推し進められ、パレスチナ人への弾圧も強化されていることがわかった。

報告書によると、ネタニヤフ政権時には年平均5784戸であった入植地の住宅建設計画は、26%増の7292戸になった。

政府の承認案件の中には、新たな前哨基地6ヵ所と、40年ぶりとなるヘブロン内の新たな入植地1ヵ所も含まれていた。

ベネット‐ラピード政府は、パレスチナ人を排除して彼らをA地区とB地区の窮屈な居留区に押し込める政策をさらに進めた。

6月6日現在でイスラエル民生局は、C 地区でパレスチナ人所有の建造物639棟を取り壊し、その結果として604人が住む家を失った。

東エルサレムでは189棟が取り壊され、パレスチナ人450人がホームレスになった。

ピース・ナウの報告書によると、イスラエル人入植地では2021年後半に1448戸、通年で2526戸の住宅の建設が開始されたが、パレスチナ人に許可された建築はわずか10棟であったという。

ベネット‐ラピード政権下ではヨルダン川西岸地区だけで86人のパレスチナ人がイスラエル治安部隊に殺害されたのに対し、ネタニヤフ政権下では41人であった。

入植地問題の専門家であり、エルサレムにあるアラブ研究協会の地図部門長を務めるパレスチナ人のハリル・アル・タフカジ氏は、アラブニュースに次のように語った。「イスラエルの右派は、ヨルダン川西岸地区での入植、そして東エルサレムでの入植という2つの事柄に関して同意しています。そして、両自治体の間でどちらが入植の増加を加速させるかという激しい競争がありました」

イスラエル政府は、2025年までにヨルダン川西岸地区と東エルサレムの入植者数を100万人に増やすという目標を掲げており、パレスチナ領土におけるイスラエル人入植計画は、どのイスラエル行政からも「ゴーサイン」が出ているとアル・タフカジ氏は言う。

「イスラエルの政党はすべて例外なく、パレスチナ人に国家を与えようなどとはしておらず、パレスチナ人は全周囲をイスラエル人の入植地とその通りに囲まれた居留区で暮らせばいいと考えているのです」と彼は述べた。

「入植者らは今や、数が増えて絶対的な力を握ったとの思いがあり、ヨルダン川西岸地区で、パレスチナ人やその財産に対する物理的な攻撃によるインティファーダ(一掃運動)を起こしています」

ベネット‐ラピード政府は、エリコの南に位置するナハル・オグにある面積2万2000ドゥナムの土地を自然保護区として宣言した。「神殿の丘(アル・アクサモスクが建つ場所)」をめぐる現行を変更し、現状をなし崩しにするネタニヤフ政権のやり方を引き継いだのだ。

イスラエル政府内の二国間解決支持派は、こうした動きを止めることができず、占領関連の政策は入植計画支持派に委ねられることになった。

ヨルダン川西岸地区一帯の入植活動は、国際法では違法とみなされており、二国間解決を脅かすものであるにも関わらず、ドナルド・トランプ氏が米国大統領であった時代に活発化した。

パレスチナ人たちはこれを、1967年の国境に基づくパレスチナ独立国家の樹立に立ちはだかる大きな障害のひとつと捉えている。

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