ドバイ:ライトセーバーの微かな起動音ではない。アウターリム末端の惑星でもない。そして、愛らしいロズ・キャットでもないのだ。
登場人物たち、そして数十年にわたって紡がれる物語こそが、ファンたちが自らが生れる前から続いているシリーズ物に回帰し続ける理由である。そして、「アソーカ」の製作者たちにはそれがよく分かっている。
スターウォーズの世界からの最新作では、アニメシリーズの「クローンウォーズ」や「反乱者たち」の人気キャラクター「アソーカ・タノ」が独立した主役として活躍する。
「マンダロリアン」の物語の後、ダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーのパダワンでもあった元ジェダイの騎士であるアソーカは、新たな平和を守り、今はもう存在しない帝国の残党を追討することに全力を挙げている。その一つは、長きにわたって追放されていたスローン大提督(演 ラース・ミケルセン)を探し出すことだ。他方、帝国の支持者たちもスローン大提督を見つけ出そうとしている。
しかし、アソーカのスローン捜索にはもう一つ別の動機がある。それは、アソーカと他の反乱者たちを救うために自らを犠牲にした若いジェダイ騎士であるエズラ・ブリッジャー(演 エマン・エスファンディ)を探し出すことだ。スローンを見つければエズラも見つけられる、アソーカはそう信じている。
「アソーカ」では、ライトセーバーを用いた闘いや宇宙船、帝国のドロイドも丹念に作り込まれているが、登場人物を掘り下げたことでこのシリーズがその真価を発揮している。再登場キャラクターとして、アソーカとは別に、頑固なマンダロリアンであるサビーヌ・レン(演 ナターシャ・リュー・ボルディッツォ)についても、この作品では、観客が思い出せるように丁寧な手間がかけられている。サビーヌ・レンは、かつての反乱軍の仲間だったエズラ・ブリッジャーを失ったことを未だに悲しんでいる。
さらに、反乱軍の指導者でゴーストのパイロットであるヘラ・シンドゥーラ将軍(演 メアリー・エリザベス・ウィンステッド)も、不機嫌ながら信頼できるドロイドのチョッパーと共に実写版デビューする。
長年スターウォーズのクリエーターを務めてきたデイブ・フィローニが制作チームを率い、撮影監督にはキエン・トランとエリック・スティールバーグが配され、音楽はケビン・カイナーが担当する「アソーカ」は、いずれの長編映画よりも洗練された作品であるように見受けられる。制作チームは、見慣れたロータルの風景に生命を吹き込むために時間も労力も惜しまなかった。
現在の所、唯一の難点は、アニメ版のシリーズを見終わっていない人々にはこの作品の全てが響かないかもしれない点である。「アソーカ」が、最高の登場人物やストーリーラインの一部を「クローンウォーズ」や「反乱者たち」から引き継いでいることを考慮すると、これは残念なことだ。
しかし、全体的に見ると、「アソーカ」は、まだ6エピソードが残っているものの、昨年の「アンドー」とは異なり、拡張されたスターウォーズ世界へのラブレターであり、ファンにとって素晴らしく楽しみな作品なのだ。