
モハメド・ナジブ
ラマッラー:ハンストによる抗議を行うパレスチナ人の拘禁者、ハリル・アル・アワウデ氏が投稿した写真とビデオメッセージは、パレスチナ世論とEUを揺るがし、イスラエルが裁判なしで同氏を拘束し続けていることへの批判が噴出している。
アワウデ氏のメッセージは、イスラエルの刑務所などに収容されている4,600人のパレスチナ人拘禁者が、劣悪な収容環境に抗議して公開ハンガーストライキを開始する3日前に公表された。
ヨルダン川西岸の各都市では今週、イスラエルの刑務所に収容されているパレスチナ人拘禁者への支援が行われており、パレスチナ人は現地の赤十字国際委員会(ICRC)本部前で座り込みを行なっている。
アワウデ氏の妻であるダラル・アル・アワウデさんは、国際組織とパレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領に対し、夫を即座に解放するための介入を行うよう訴えた。
アワウデ氏は170日以上拘束されており、ビデオメッセージで次のように繰り返し述べた。「行政拘禁に反対する。行政拘禁に反対する」
「私たちは正義を訴える。たとえ肉と皮が溶けて骨が消滅しようとも、そして命が失われようとも、行政拘禁に反対し続ける」。同氏はこう述べた。
「どんなに高い代償を払っても、私たちが正当な権利保有者であり、その大義は公正であると確信する」
ダラル・アル・アワウデさんは、夫が集中治療を受けているイスラエルのアサフ・ハロフェ病院内からアラブニュースに語った。
ダラルさんは、アワウデ氏が「その痩せ細った体で、(イスラエルの)犯罪的な占領について暴露し、告訴も裁判もなく逮捕された拘禁者として、ただ自由を求めていることを世界に伝えるために、叫んでいる」と述べた。
アワウデ氏は2021年12月27日、Facebookを通じた扇動の容疑で逮捕された。
イスラエル軍事裁判所は、アワウデ氏に対する容疑が立証されなかったとして、2022年1月5日に同氏を釈放した。しかし、その後イスラエル軍検察が介入し、同氏を行政拘禁に移行させるよう要求した。
イスラエル軍当局は10月2日にアル・アワデさんを釈放する見込みだ。しかし、行政拘禁が延長されないという保証はないため、釈放が確認されるまでハンストを続けることを決めた。
最近のイスラエルのガザ地区に対する軍事作戦は、アワウデ氏の緊急解放と引き換えにしようとしたエジプトの外交的努力により停止された。
しかし、イスラエル当局はこの合意の履行を遅らせ、アワウデ氏の拘束を一時的に停止して医療を受けさせるにとどめた。
パレスチナの政治家ムスタファ・バルグーティ氏はアラブニュースに対し、アワウダ氏の写真を見た人は誰もが、その劣悪な状態に唖然とするだろう、と語った。
バルグーティ氏は、拘禁者の健康が危険にさらされていると述べ、アワウダ氏がイスラエルの刑務所で死亡した場合、パレスチナ自治区が危険な状況に陥ると警告した。
「イスラエルは、帰還の意欲をそぐことで、拘禁者たちの意志を打ち砕こうとしている。しかし、これはパレスチナ人全体の戦いであり、アワウデ氏だけの戦いではないと私は言っている」。バルグーティ氏はこのように述べた。
イスラエルでは現在、治安拘禁者として4,600人のパレスチナ人が、23ヵ所の刑務所と拘置所に収監されている。
この中には、シンベット(イスラエル総保安庁)が検察とイスラエル軍判事に提出した秘密ファイルに基づく、裁判なしで拘束された730人の行政拘禁者が含まれている。また、子供175人、女性32人、患者600人のほか、高齢の被拘禁者が含まれており、最高齢は82歳のフアド・アル・ショバキさんとなっている。
イスラエルに20年以上拘束されている拘禁者は現在250人に上る。
パレスチナ解放機構(PLO)とイスラエルとの間で結ばれたオスロ協定の調印以前に拘束された拘禁者は25人。その中で最も重要な人物は、42年間も拘禁されてきたカリム・ユーニスさんとマヘル・ユーニスさんだ。
今月29日には、138万5千人のパレスチナ人の生徒が自分たちの学校の教室に行った一方、175人の子どもたちが、イスラエルの刑務所に拘束されていたために学校に行けなかった。