ベイルート:ロイター通信社が見たある手紙によると、レバノンの裁判官はこう着状態にあるベイルート港爆発事故調査に第二の裁判官を任命することを希望しており、220人以上が死亡した悲劇を解明するために役人を確保するというこれまで以上に複雑な試みとなる。
タレク・ビタール裁判官による、港で保管されていた数百トンの硝酸アンモニウムが爆発し町一帯が平板化してしまった2020年の爆発事故の調査は、ビタール裁判官が尋問を求めていた高齢の政治家たちが起こした訴訟によって2021年後半以来中断されてきた。
これによって裁判官は容疑者の召喚や起訴を行えなくなり、また爆発事故後に拘束されたが容疑は晴れた個人が拘留されたままとなっている。
月曜の日付となっている手紙のなかでヘンリー・クーリー法相は「ベイルート港爆発事故に関する裁判における緊急かつ必要な問題に取り組む」ための司法調査員任命に関する話し合いを高等法務協議会に求めた。
ロイター通信社が見た手紙のコピーによると、第二の裁判官は「公開要求を含め、当初の調査員が任務を遂行できない限り」就任した状態を維持する。
ある司法高官からの情報によると、法務協議会はこの計画に同意し、クーリー法相はあと一人またはそれ以上の候補者を提案する予定だ。また情報によると新しい裁判官は発令する権限を持たない。
クーリー法相はコメントを求められたが返答はなかった。
レバノンの裁判官は支配層のエリートからの影響下にあることが多いが、このエリート層には派閥に沿って権力を分断するという慣習があり、そのために国の政治と経済は危機状態へと落ち込んだ。
ビタール裁判官はこの動きに驚いていると別の司法官は述べた。この司法官によるとビタール裁判官はこの動きを「違法」だとし、自分の任務から身を引くことはなく、再び完全な調査に取り組むことを強く望んでいる。
声明によると数人の無所属議員は裁判の過程を「過度に妨害する行為」だとこの動きを非難し、ビタール裁判官の任務に対する「最終的な打撃」として意図的になされていると語った。
ミシェル・アウン大統領が創設したキリスト教の第一党である自由愛国運動党に属する2人の国会議員は火曜日、爆発事故に加担していないとすでに判断された拘留者を開放するべきだと公に要求した。
手紙のなかではクーリー法相の要求を推す理由として何人かの健康状態の悪化が挙げられている。
ロイター