
エルサレム:米国務省はイスラエル政府に対し、占領下のヨルダン川西岸地区で木曜日、イスラエル兵が自宅に来た直後に倒れて死亡した7歳のパレスチナ人少年の謎の死について「徹底的な」調査をするよう求めている。
親族は、ラヤン・スレイマン君に健康上の問題はなく、軍が子供を脅し、死なせたと非難している。軍は少年の死を悲劇と呼び、兵士に責任はないと述べた。
この事件は、イスラエル軍がこの数カ月間連日、たびたび死に至る暴力に発展している取り締まりを行っているヨルダン川西岸地区の緊張の高まりに拍車をかけた。
同日午前、パレスチナの村の少年たちが、パレスチナの都市ベツレヘムに近いイスラエル人入植地テコア近くで、高速道路を走る車に向かって投石するのが目撃されている。その後親族によると、兵士がドアを叩き、投石の容疑で少年の兄たちを逮捕しようとしたという。
22歳の従兄弟、モハメド・スレイマンさんによると、ラヤン君は兵士の姿を見て恐怖で叫び声を上げ、両親は彼を落ち着かせるために「こっちへ来い」と大声で言ったという。兵士が去った後、少年は倒れたと彼は述べた。ラヤン君は健康だったという。
少年の父親であるヤセル・スレイマンさんによると、兵士が兄弟たちを逮捕すると言ったとき、ラヤン君は逃げようとし、一時は兵士に追いかけられたという。ラヤン君は倒れた後、車の中で血を吐き、病院で死亡が確認されたと父親は述べた。
父親は「彼らへの恐怖のために死んだのです」とパレスチナTVに語った。
軍報道官のリチャード・ヘクト中佐によると、現場に居合わせた1人の上官がバルコニーに投石者の一人を発見した後、その家に行き、自動車に石を投げるのをやめさせるよう父親に言ったという。上官は「とても穏やかに」話し、立ち去ったという。
「暴力はなかったし、家にも入らなかった」とヘクト中佐はいう。
ワシントンでは、国務省のヴェーダント・パテル副報道官が、米国は「罪のないパレスチナの子どもの死を知り、心を痛めている」と述べた。
パテル副報道官は、「我々は、子どもの死を取り巻く状況を徹底的かつ直ちに調査することを支持する」と述べた。
ヘクト中佐は、調査は継続中であると述べた。
パレスチナ人や人権団体によると、軍は兵士の非行を調査することができず、兵士が罪に問われることはほとんどないという。
パレスチナのソーシャルメディアは、エルサレムの黄金の岩のドームの上にラヤン君の姿を重ねた写真で溢れ、パレスチナ人は彼を「殉教者」と呼び、その死についてイスラエルを非難している。パレスチナの公式通信社WAFAは、そのリポートに「子供が追いかけられて死亡」というの見出しをつけ、事実上イスラエルに死の責任を負わせた。
少年は、パレスチナのデモ隊とイスラエル兵がしばしば衝突する金曜日に埋葬される予定だった。
葬儀は、ヨルダン川西岸地区で暴力が増加している時期と重なった。
水曜日、ヨルダン川西岸地区北部の町ジェニンでイスラエル軍の攻撃を受けたパレスチナ人4人が死亡、44人が負傷した。今年初めにイスラエルが取り締まりを開始して以来、最も死者の多い事件となった。
イスラエルは、昨年春にイスラエルで発生し死者が出ている、パレスチナ人による一連の攻撃以来、ヨルダン川西岸地区北部を中心に夜間の取り締まりを実施している。数10名のパレスチナ人が死亡し、占領地では2015年以来、最も死者の多い年となっている。
死者の多くは、銃を発射した指名手配中の過激派か、近所に立ち入った兵士に発火物や石を投げつけた若者たちだ。しかし、何ら暴力に関与していない数名の一般市民も死亡している。
イスラエルは1967年の中東戦争でヨルダン川西岸地区を占領した。パレスチナ人は、現在約50万人のイスラエル人入植者が住むこの地域を、将来の独立国家の中心地とすることを望んでいる。
AP