Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • COP27サミットに向けての、使い捨てプラスチック廃棄物に対するエジプトの取り組み

COP27サミットに向けての、使い捨てプラスチック廃棄物に対するエジプトの取り組み

クリーンアップキャンペーンの一環として、ナイル川からプラスチックを収集するカイロのボランティア(AFP)
クリーンアップキャンペーンの一環として、ナイル川からプラスチックを収集するカイロのボランティア(AFP)
Short Url:
24 Oct 2022 12:10:57 GMT9
24 Oct 2022 12:10:57 GMT9

ナーダ・シェイカー

  • 毎年何百万トンものプラスチック廃棄物がナイル川に投げ込まれ、漁業の場が破壊されています。
  • エジプトのリゾート地であるシャルム・エル・シェイクは、11月に第27回国連気候変動会議を主催する。

カイロ:何千年もの間、ナイル川は豊富な真水、沈泥、魚介類、そして移動と交易の手段をもたらし、エジプトの偉大な文明に貢献してきた。しかし今日、ナイル川には決して望ましくないものが漂っている-それはプラスチック廃棄物である。

エジプト人権機構によると、年間約450万トンの廃棄物がナイル川に流れ込んでいる。

ヘルムホルツ環境研究センターはまた、ナイル川が、世界の海に流入するプラスチック廃棄物の90%を占める10の河川のうちの1つであると明らかにした。2021年にスカイニュースが行った別の調査では、ナイル川の魚の75%にマイクロプラスチックが含まれていることが判明した。

今回、川を浮遊するゴミの山が引き起こす環境への害と醜さに注目を集めるため、環境保護団体とボランティアが力を合わせて、近くのギザ高原のピラミッドをモデルにして、廃棄されたプラスチックからできた巨大なピラミッドを建設した。

9月17日のクリーンアップデーに合わせて建設されたこのピラミッドは、45日間かけて60人の漁師のチームによって作られた。その材料は、ナイル川から集められた約250,000本のアップサイクルされたボトルから得た7500kg以上のプラスチックである。

廃棄物のピラミッドは、問題の深刻さを強調する。(提供)

ワールドクリーンアップデーは、何百万人ものボランティアが集まり、世界中のビーチ、川、森林、街路からゴミやその他の管理されない廃棄物を取り除く世界的な運動である。

5 年前に設立されたVeryNile・エコ・イニシアティブによって設計および構築されたこのピラミッドは、重量約45kgのブロックが170個集まり構成されている。

これらのブロックをピラミッドの形と大きさに組み立てることで、主催者はプラスチック廃棄物問題の深刻さを実証し、リサイクルと責任ある廃棄物管理を奨励し、使い捨て材料の削減を促進したいと考えた。

さらに、主催者は、エジプトの最も有名なモニュメントを模倣することで、醜いプラスチック廃棄物が国の美しさと歴史的遺産を傷つけていると示すことを意図している。

ワールドクリーンアップデーを記念して、主催者は「世界最大のプラスチック製ピラミッドで遊ぶ」というイベントを開催した。ボランティア、インフルエンサー、著名人がカヤックでクリーンアップに参加し、アートを作成し、廃棄された使い捨てビニール袋を使用してリサイクルワークショップを開催した。

ピラミッドは最終的に分解されて地元の工場に送られ、そこでプラスチックを利用して車のシートのひもやカバーが作られる。

ワールドクリーンアップデーは、何百万人ものボランティアが集まり、世界のビーチ、川、森林、街路からゴミやその他の管理されない廃棄物を取り除く世界的な運動である。(提供)

VeryNileを後援するエジプトの社会的企業であるBassitaのプロジェクト・マネージャーであるハナ・ファルーク氏は「私たちは、エジプトのナイル川の隅々まで、プラスチック廃棄物を撤去することを目指しています。プラスチック廃棄物は海洋生物に多大な害を及ぼしており、漁師が魚を見つけられないこともあるのです。」 とアラブニュースに語った。

「過去数年間の成功は、地元の漁師と有能な女性たちの素晴らしいチームの協力がなければ、達成できなかったでしょう。」

今日も、漁師は川に依存して生計を立てている。しかしプラスチック廃棄物は、ナイル川のかつて豊富だった魚資源を枯渇させている。そのためVeryNileは、カイロのクルサヤ島で40人の地元の漁師をナイル大使に任命し、漁業の回復に取り組んでいる。

ナイル川の中心にあるクルサヤ島には、現在、いくつかのリサイクルワークショップと、リサイクルされた使い捨てビニール袋を使ってかぎ針編みアクセサリー、帽子、バッグ、ラップトップケース、その他の製品を生産する地元の女性のためのワークスペースがある。

VeryNileはこれらのコミュニティに経済的支援を提供し、漁師が収集するペットボトル1本ごとに10EGP(約50セント)を支払う。このプロジェクトではまた、工場でのリサイクルと再活用の前にこれらのボトルを選別して圧縮する仕事を提供し、漁師を雇っている。

VeryNileは、さまざまな企業、銀行、その他の団体からボランティアを集めて、カイロ内外の川岸の様々な場所で行われるクリーンアップイベントを通じて、環境意識を高めている。

これらのイベントは、カヤックや、週に500kgの固形廃棄物を収集できるアフリカ初のクリーニングボートを使って行われる。

中東および北アフリカ地域は、プラスチック廃棄物の蓄積に立ち向かう上で、多くの課題に直面している。世界銀行によると、毎年570,000トンを超えるプラスチックが地中海に投棄されており、漁業から観光まで、海に依存する産業に大打撃を与えている。

さらに、湾岸諸国での広範な消費主義により、大量の使い捨てプラスチックが廃棄されており、湾岸協力会議の 5 つの加盟国 (バーレーン、サウジアラビア、UAE、カタール、クウェート)が、人口1人あたりの固形廃棄物の産出量でトップ10にランクされている。サウジアラビアでは、年間1500万トンの廃棄物が発生しているが、リサイクルされるのはわずか5%だ。

プラスチック廃棄物問題に取り組んでいるのはエジプトだけではない。レバノン、モロッコ、ヨルダン、オマーン、バーレーン、アラブ首長国連邦、チュニジアはすべて、使い捨てビニール袋の輸入と使用を制限する地方および国の法令を施行している。シャルジャ、ドバイ、アブダビはいずれもビニール袋の有料化を実施し、2024年までに禁止するとしている。

クウェート、エジプト、カタール、サウジアラビアは、使い捨てのビニール袋を禁止するか、生分解性のものに置き換えるための法律について協議しているか、政策提言を行っている。

サウジアラビアはビジョン2030改革戦略に沿って、2035年までにリサイクルに60億ドル以上を投資することを計画している。サウジアラビアの市民団体も、人々にリサイクルを奨励している。Mawakeb Alajerグループは、古紙から不要な家具や衣類まで、あらゆるものを引き取るリサイクル施設を設立した。

サウジ・インベストメント・リサイクリング社は、国のリサイクル能力を発展させるために2017年に設立され、循環型経済、つまり原材料と最終製品が可能な限り再利用、修理、リサイクルされる経済を創出し、ビジョン2030の目標を達成することを計画している。

2022年9月29日に撮影された、カイロのナイル川のほとりに浮かぶプラスチックとごみの写真。 (AFP)

昨年3月、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、グリーン・サウジ・イニシアティブとグリーン・ミドルイースト・イニシアティブを発表した。彼らは主に二酸化炭素排出量の削減に焦点を当てているが、自然の生息地の保存と回復が優先度の高い目標です。

皇太子はその後、王国の環境規制違反を監視する政府機関の設立を発表し、環境を汚染した者に責任を負わせることを宣約した。

エジプトは、健康、環境、経済、社会に対するプラスチックの悪影響を排除することを目的とした国家戦略を通じて、今後数年間でプラスチックの消費を削減することに取り組んでいる。この国では、レジ袋の消費量を2025年までに1人あたり100枚、2030年までに1人あたり50袋まで削減することを目指している。

プラスチックの使い捨ての禁止は地域ごとに始まっており、エジプトの紅海地区では2019年6月に、レストラン、コーヒーショップ、スーパーマーケット、食料品店、肉屋、魚屋、薬局、そしてサファリやボートツアーなどで使用されるビニール袋およびプラスチック製カトラリーの使い捨てを禁止した。

紅海地区の措置に続いて、南シナイのダハブは、2021年7月に市全体でビニール袋の使用を禁止すると発表した。

女性たちは、 VeryNile・エコ・イニシアティブの一環として、使い捨てプラスチックをファッション アイテムやその他の製品にリサイクルしている。 (提供)

VeryNileのピラミッドプロジェクトは、11月の第2週にエジプトのシャルム・エル・ シェイクで開催される国連気候変動会議COP27の直前に行われる。

昨年グラスゴーで開催されたCOP26では、何百もの国々が、世界で最も貧しい国々のエネルギー転換と気候変動の緩和を支援することを約束した。これらの国々は、炭素排出と汚染にほとんど寄与していないにも関わらず、気候変動の影響を最も大きく受けている。

5月に、COP27でエジプトを代表するWael Aboulmagd特別代表は、発展途上国が気候変動に適応するのを支援することが次の会議の優先事項になるだろうと述べたが、富裕国は目標に対して定められた年間1000億ドルの提供を行わないと宣言した。

9 月末、エジプトは、COP27に参加するすべての国に対し、政治的な相違は別問題として脇に置くよう求めた。ボンで開催された国連気候変動会議にロシアが出席したことに抗議するため、一部の国が6月に脱会したからである。

90カ国の代表が会議に出席することを表明したが、コロナウイルス後の回復への取り組みとウクライナでの紛争によってもたらされた世界的な経済的負荷により、環境への取り組みが後回しになる可能性が懸念されている。

 

特に人気
オススメ

return to top