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パレスチナには国連に正式加盟する「自然かつ合法的な権利」がある:リヤド・マンスール国連大使

国連安保理の会合に出席するパレスチナのリヤド・マンスール国連大使。2018年。(AFPファイル)
国連安保理の会合に出席するパレスチナのリヤド・マンスール国連大使。2018年。(AFPファイル)
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21 Nov 2022 07:11:56 GMT9
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  • 同大使は、米国が拒否権を行使して反対しなければパレスチナはとっくに加盟国となっていたと語った
  • アラブ諸国、特にサウジアラビアが国連で連帯してパレスチナを支持し続けていることに感謝を表明した

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:パレスチナを国連の正式加盟国にすることは、二国間解決の維持およびイスラエルとパレスチナの和平プロセスの再活性化につながる「現実的な」措置だと、パレスチナのリヤド・マンスール国連大使が語った。

マンスール大使は今年、国連安全保障理事会理事国との協議を開始し、パレスチナを現在の国連オブザーバー国家の地位から昇格させ正式な加盟国として認める決議に向けて働きかけている。

正式な肩書は「パレスチナ国・国際連合常駐オブザーバー」である同大使は、ニューヨークの国連本部でアラブニュースの独占インタビューに応え、自分の取り組みはパレスチナの「国連正式加盟国になる自然かつ合法的な権利」に支えられていると語った。

独立したパレスチナ国家を実現できる合理的な解決策の可能性を、イスラエルが「一国という現実だけでなくアパルトヘイトという現実を作り出すこと」によって一方的に毀損しようとしている中、国家を求めることはいっそう喫緊の課題となっている同大使は言う。

同大使は、国連総会でパレスチナの正式加盟を勧告することについてはアイルランド、アルバニア、ノルウェーを含む安保理理事国からの支持を十分に得ていると語った。

国連総会議長報道官のパウリナ・クビアク・グリア氏は、アラブニュースに対し次のように説明した。

「国連憲章第4条には、加盟国となることの承認は安全保障理事会の勧告に基づいて総会の決定によって行われると明記されている。総会は安保理からの勧告なしで加盟を決定することはできない」

国連総会議長報道官のパウリナ・クビアク・グリア氏。(写真:国連)

パレスチナを正式加盟国とすることは、二国間解決の実現のための「現実的な措置」を求める米国の現政権の立場と一致するが、米政府は「この案に乗り気ではない」とマンスール大使は言う。

「私はリンダ(・トマス=グリーンフィールド米国連大使)に、我々の案を気に入らないなら二国間解決を守るための現実的な代案を提示して欲しいと何度か伝えた。我々の案は気に入らないが代案も示さないというのは受け入れられない」

国連安保理の会合で発言するリンダ・トマス=グリーンフィールド米国連大使。(AFPファイル)

マンスール大使は、米国の消極的な姿勢は「交渉を通した二国間解決」を支持していることと関係していると見る。

パレスチナもそのような道をずっと支持しているという。

パレスチナは「イスラエル側を含む誰との交渉にも異存はない。

国際法や、アラブ和平イニシアティブを含む世界的コンセンサスに基づいて(交渉が行われるのであれば)。イスラエル側にその気があればだが」

アラブ和平イニシアティブはアラブとイスラエルの紛争終結のためにサウジが発案したもので、2002年にアラブ連盟によって承認された。

占領領土からのイスラエルの完全撤退、パレスチナ難民問題の「公正な解決」、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家樹立を条件としたアラブ諸国とイスラエルの国交正常化の提案などが含まれている。

マンスール大使は、アラブ諸国が国連で連帯してパレスチナを支持し続けており、必ず支持票を投じていることに感謝を表明した。特に、サウジアラビアが果たしている役割を強調した。

第77回国連総会に合わせて行われたアラブ和平イニシアティブ委員会のメンバーたち。2022年9月21日、ニューヨーク。(SPAファイル写真)

「サウジアラビアの立場は非常に重要かつ強力なものだ」と同大使は言う。「サウジアラビアがパレスチナ人の権利をぶれずに支持してくれることに感謝している。同国が20年前にベイルートのアラブ首脳会議で立ち上げたアラブ和平イニシアティブもぶれずに尊重してくれている」

「またサウジアラビアがジェッダサミットの際にジョー・バイデン大統領の面前で、パレスチナ問題はアラブ諸国にとって中心的問題でありアラブ和平イニシアティブは依然として尊重されていると非常に明確かつ勇気を持って発言してくれたことにも感謝している」

「これらは我々にとってアラブの立場の本質を成しており、譲ることができないものだ」

パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領は最近、国連正式加盟を求める姿勢を強めている。

夏以降、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ヨルダンのアブドッラー2世国王、7月にベツレヘムを訪問した米国のバイデン大統領に対し、この問題を提起している。

第77回国連総会でのスピーチの際に写真を見せるパレスチナのマフムード・アッバース大統領。2022年9月23日、ニューヨーク。(Getty Images、AFP経由/ファイル)

この時、アッバース大統領はバイデン大統領に対し、「我々の地域における平和と安定のカギはパレスチナ国家を認めることから始まる」と伝えた。

パレスチナ自治政府は2011年に初めて国連正式加盟の申請を行った。

その際、国連が1947年にパレスチナ人の土地を二国間で分割する決議181号を採択したことについて、事実上「イスラエルの出生証明書」を与える行為だったと主張した。

また、現在の国連には同様の出生証明書をパレスチナに発行することで和平の可能性を救う「道徳的・歴史的義務」があると述べた。

この問題は加盟審査委員会に付託され検討されたが、米国のバラク・オバマ大統領(当時)の政権が反対したため、全会一致で安保理に勧告を出すことができなかった。

2012年、パレスチナの地位を単なる「組織」からオブザーバー国家に昇格させることについて、国連総会の大多数が賛成票を投じた(賛成138、反対9、棄権41)。この地位はバチカンにも与えられているものである。

国連総会でパレスチナの非加盟オブザーバー国家への昇格についての採決を前に演説するパレスチナのマフムード・アッバース大統領(上)と、拍手する代表ら。2012年11月29日、ニューヨーク。(Getty Images/AFP)

オブザーバー国家は国連総会決議に投票できないため、この投票の意義は主に象徴的なものだったが、パレスチナは100以上の国際条約や協定に締約国として参加することになった。

これによりパレスチナ人は、世界で場所を占めその関心を共有する「人類の一部」になることができたとマンスール大使は言う。

米国当局はパレスチナに対し、国連正式加入の努力を続けないように説得しようとして、イスラエルとの適切な和平交渉を回避することになるだけだという同じ主張を繰り返してきた。

ある米政府関係者はアラブニュースに対し、「国連正式加盟を求めるパレスチナの努力に対して、米国は明確に反対の立場を取ってきた」と語った。

「当事者間の直接交渉以外にパレスチナ国家への近道はない」

「米国は、二つの民族、二つの国家が平和と安全の中で共存するという目標を追求するために、パレスチナとイスラエルを近づけようとすることに重点を置いている。米国は二国間解決に引き続きコミットしている。バイデン大統領が7月にアッバース大統領と共に言ったように、『パレスチナの人々は、独立した、主権を持った、存続可能な、連続的な、彼ら自身の国家を持つに値する』」

歓迎式典でパレスチナのフムード・アッバース大統領(右)に迎えられる米国のジョー・バイデン大統領(左)。2022年7月15日、ヨルダン川西岸地区のベツレヘム。(AFPファイル)

「この紛争を永久に終わらせる包括的・永続的な和平への唯一の現実的な道は、当事者間の直接交渉だ。これまでのところ、直接交渉のための条件は揃っていない。とは言うものの、米国はそのような条件を整えるために努力している」

これは、世界の舞台でのパレスチナの立場を高めるための措置を国連が採用した際に、米国がこれまでにも行ってきたお馴染みの主張だ。米国は、パレスチナにオブザーバー国家の地位を与えた2012年の決議について、「残念かつ逆効果」であり「大々的な発表だがすぐに消える」と述べた。

同じ調子で、パレスチナの旗をニューヨークの国連本部に掲げることを認めた2015年の決定にも反対した。

また、パレスチナが国連教育科学文化機関(ユネスコ)への加盟を認められた際にも、米連邦議会は同機関への分担金の支払いを全て停止した。

ドナルド・トランプ前大統領は2019年、反イスラエルに偏向しているとしてユネスコから完全に脱退するにまで至った。

イスラエルの残虐行為を止めることを求めるデモを行うパレスチナ人たち。2018年5月16日、ガザ市のユネスコ本部の前。(AFPファイル)

最近、民主党が多数の連邦議会が米国のユネスコ復帰を承認したものの、パレスチナの他の国連機関への加盟を認めないことが条件とされた。

連邦議会は、パレスチナを加盟国として認める国連機関に対する資金拠出を禁止する法案さえ可決した。

マンスール大使は次のように語った。

「このような攻撃的な反応があるということは、パレスチナ人が中東和平イニシアティブで行おうとしている小さな動きでさえ(…)米国がこのイニシアティブを恐れているとは言いたくないが、深刻に捉えているということだ」

トランプ政権による疎外の年月を経験したマンスール大使は、バイデン政権が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への人道資金を復活させ、和平実現に向けた「現実的な措置」を講じていることに感謝を表明した。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)から月に一回の食料配給を受け取るパレスチナ人たち。同機関への2022年6月14日、ガザ地区のハーン・ユーニス。ドナルド・トランプ前大統領の任期中には同期間への資金拠出が停止されていたが、ジョー・バイデン大統領は就任後に支援を復活させた。(AFP)

しかし同大使は、バイデン大統領はこの問題の政治的次元への対処に消極的だと嘆いた。

東エルサレムの米領事館やパレスチナ解放機構のワシントン事務所の再開などの多くの約束がまだ果たされていないのだ。

同大使は次のように述べた。

「経済的・人道的支援には感謝するが、この占領の終結(に向けて)前進し、二国間解決をめぐる世界的コンセンサスを実現するための政治的プロセスが必要だ」

「この問題に関しては進展が見られず、米国は待てと言い続けている。ナクバ以来75年近く、1967年の占領以来約55年間待ち続けているというのに。あとどれくらい待てばいいのか」

「(米国が)拒否権を行使して反対しなければパレスチナはとっくに加盟国となっていた」

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