
ゴブラン・モハメド
カイロ:アラブ連合は世界各国に対し、移民の価値を認めたうえで、紛争などの災害から逃れてきた人々を搾取することにつながる問題にも取り組むよう求めている。
毎年12月18日の国際移民デーに合わせ、アラブ連合は声明で、多くの移民がその居住国の経済に積極的に貢献していると述べた。
そしてアラブ連合は、移民や難民をめぐる問題が、この10年間でますます世界の指導者の注目を集めていると付け加えた。こういった話題が、2022年5月に開催された国際移住レビューフォーラムで議論されたが、これは2018年に「安全で秩序ある正規の移住のためのグローバル・コンパクト」に基づく決議が採択されたことに基づいている。
アラブ連合は声明の中で、移民がこの3年間に新型コロナウイルス感染症のパンデミック、ロシア・ウクライナ戦争、そして人種などによる差別や外国人排斥やイスラム嫌悪の増加など、いくつかの大きな課題に直面してきたことを強調した。
移民はこういったリスクに直面しているだけでなく、国境や海上で長期間拘束されるような人身売買の被害にも遭いやすい。
アラブ連合は、2022年11月の第31回アラブ連盟首脳会合で発表されたアルジェ宣言の重要性を強調した。そこでは、加盟国はイスラム嫌悪に取り組み、寛容と尊重を促進することが宣言されている。
地中海で移民が救助船に取り残される事件が繰り返し発生していることについてアラブ連合は、保護者のいない子どもや女性であるかどうかなど、いくつかの基準に基づいてこれらの事件に対処する必要があると述べた。
アラブ連合は、すべての国が国連の国際人権条約を尊重する必要があり、それは、取り残された人々を救助し、十分な食料と避難所を提供することを意味すると述べた。
アラブ連合の事務総長補佐であり社会問題部門の責任者であるハイファ・アブ・ガザレ氏は、人命を救い、あらゆる形態の差別に対抗するためには、連携して組織的な行動をとることが緊急に必要であると述べた。
国連によると、移民や避難民は、自国や受け入れ国の繁栄や革新や持続可能な開発の源であることが証明されているものの、社会的にもっとも弱い立場に置かれて疎外された集団のひとつとなっている。
国際移住機関の推計によると、2014年以降、3万5千人以上の移民が死亡または失踪している。このうち強制失踪の割合に関する正確な数字はないが、入手可能な情報によると、その多くは拘留中や強制送還中に、あるいは密航した結果、失踪している。
2022年10月25日に国連のウェブサイトで公開された情報によると、国際移住機関では2021年初頭以来、欧州への移住ルートおよび欧州内の移住ルートで少なくとも5,684人が死亡したことを記録しており、欧州などの国々に対し、移民の命を救い移住の道中における死亡者を減らすための迅速かつ具体的な措置をとるよう求めている。