• ロシア国防省の声明「クラマトルスクの建物への攻撃は報復」
• 兵士が建物で生活していた明白な痕跡はなく、遺体や血痕もなし

ウクライナ・クラマトルスク：ウクライナの都市クラマトルスクへのロケット弾による攻撃では被害が出ているが、建物は無事で犠牲者もいないようだとロイターの記者が8日に語った。ロシアは攻撃で600人のウクライナ兵が死亡したと発表している。

記者は、夜通しの攻撃の際にウクライナ兵の一時的な住居として使用されていたとロシア側が主張する、前線に近い大学の2つの寮を訪問した。だが、いずれの建物にもミサイルが直撃したり大きく損傷している様子はなかった。そこに兵士が住んでいたような明白な痕跡も見られず、遺体や血痕も見つからなかった。

地面に大きな穴が開いた中庭の隣に建つ「ホステルNo. 47」では、窓が一部壊れていた。

国防省が名前を挙げたもう1つの建物「ホステルNo. 28」はまったく無傷だった。ミサイルが着弾したと思われる穴はそこから50m離れており、その付近には車庫がある。

今回の攻撃や数百人が死亡したというロシア側の主張に対し、キーウ当局はすぐにコメントを出すことはしなかった。クラマトルスクの市長はすでに、犠牲者はいないと述べている。

ロシア国防省はクラマトルスクの建物への攻撃は、先週ウクライナが行った攻撃への報復作戦だとの声明を出した。先週、ロシア側が支配するドネツク地域のマケエフカにある兵舎が攻撃され、少なくとも89人の兵士が死亡した。

声明は、「信頼性の高い情報」に基づいてウクライナの部隊を標的にしたと述べている。1つのホステルには700人以上のウクライナ兵がおり、もう一方には600人以上がいたという。

「これらのウクライナ軍部隊の一時的な展開地点への大規模なミサイル攻撃の結果、600人以上のウクライナ兵が粉砕された」と国防省は述べている。

これが真実であれば、昨年2月24日のロシア侵攻以降で最大のウクライナ兵の犠牲者数ということになる。11か月目に入った過酷な戦争において、両軍とも通常は犠牲者数を明かすことはない。ドネツク州のパブロ・キリレンコ知事は、ロシアがクラマトルスクに7発のミサイルを撃ち込んだと述べていた。

クラマトルスクのオレクサンドル・ホンチャレンコ市長は8日早く、攻撃によって2つの教育施設と8つの共同住宅や車庫が被害を受けたが、犠牲者はいなかったと述べた。

昨年3月に国土西側の基地がロシアのミサイル攻撃を受けて数十人が死亡した後、ウクライナ側は兵士を1つの施設にまとめて駐留させるのをやめたとされている。

また、今月ウクライナが実施したマケエフカへの攻撃の際も、一箇所に兵士を集めるやり方が注目された。この時、部隊を分散させていなかったことでロシア軍の司令官が国内で厳しい非難を受けた。

同じドネツク地域にあるクラマトルスクをロシアは繰り返し砲撃している。ドネツクはロシア政府が正式に編入したと主張している4つの地域の1つだが、ウクライナや大部分の西側諸国はそれを認めていない。

クラマトルスクは小都市バハムートの北西数キロのところにある。ロシア側は5か月以上もバハムートを奪取しようとしており、ここ数週間で最も過酷な戦いの舞台となっている。

ウクライナ側の発表では、一方的なロシア正教のクリスマスの停戦期間が終了した後、ロシアの夜通しの攻撃で少なくとも2人が死亡した。

ハルキウ州の北東部では50歳の男性が死亡した、とオレグ・シネフボウ知事がテレグラムに投稿した。

地元当局によると、夜通しの攻撃によってバハムートに近いドネツク地域内のソレダルでも1人が死亡したという。

ロイターはこれらの情報について未確認である。

ロイター