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パレスチナの刑務所の移送は「家族への嫌がらせ」を目的としたイスラエルの戦術である

2012年1月25日、エルサレム治安判事裁判所での評議に出席する、受刑中のファタハ指導者マルワン・バルグーティ氏。(ロイター)
2012年1月25日、エルサレム治安判事裁判所での評議に出席する、受刑中のファタハ指導者マルワン・バルグーティ氏。(ロイター)
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11 Jan 2023 02:01:51 GMT9
11 Jan 2023 02:01:51 GMT9
  • 多くのイスラエルの刑務所では面会日を同日に設定しているため、今回の移送により、異なる刑務所にいる受刑者への家族の面会が不可能となる
  • 大学教育を受け、獄中で他の受刑者らに非公式に講義を行っていた受刑者らを移送したた点も怒りを呼んでいる

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:刑務所の権利を担当するある高官がアラブニュースに対し、イスラエルの「懲罰的」計画で2000人のパレスチナ人受刑者が新たな刑務所に移送されることにより、国内の刑務所システムの不安定さが増大し、ヨルダン川西岸地区の緊張が高まることになるだろうと語った。

今回の動きは「受刑者の権力の中心を破壊」することを目的とするものであり、第一次および第二次インティファーダにおいて重要な役割を果たしたマルワン・アル・バルグーティ氏などの年配の受刑者が移送される。

9日月曜日、アル・バルグーティ氏は他の約70人の受刑者とともにナファ砂漠刑務所に移送された。

先週木曜日にはイスラエルのイタマル・ベングビール国家安全保障大臣がナファを視察する挑発的行動をとり、パレスチナ人受刑者の怒りをかった。

受刑者権利団体によれば、イスラエルの刑務所には4,760人のパレスチナ人受刑者が収容されている。

情報筋は、今回の動きへの対応として受刑者らが刑務所内の状況を激化させる可能性があるとアラブニュースに語った。さらに、ヨルダン川西岸地区において、受刑者と連帯する大規模な抗議行動が起こる可能性もあるという。

パレスチナ人囚人協会代表カトゥラ・ファレス氏はアラブニュースに対し、ベングビール大臣が命じた今回の措置によってイスラエルの刑務所内の不安定さが増大することになるだろうと語った。

ファレス氏はアラブニュースに対し、「受刑者に対するベングビール氏の脅しは深刻であり、しかも徐々に実行されつつあります。受刑者らは、このような懲罰的措置に反応することでしょう」と語った。

イスラエルの刑務所では長年、受刑者は家族単位で管理されることとなっている。

これは、家族の面会に際しての移動の負担を軽減するための非公式な政策である。

しかし、多くのイスラエルの刑務所では面会日を同日に設定しているため、今回の措置により、異なる刑務所にいる受刑者への家族の面会が不可能となる。

また、大学教育を受け、獄中で他の受刑者らに非公式に講義を行っていた受刑者らを移送したた点も怒りを呼んでいる。

アル・バルグーティ氏の弟であるムクビル氏は、アラブニュースに対して次のように語った。「今回の懲罰的措置によって受刑者らは害を被ることになりますが、以前からギラード・エルダン前公共安全大臣による措置や脅しを受けていましたから、今回の脅しは彼らにとって目新しいものではありません」

「受刑者らは団結してベングビール氏による懲罰的措置を拒否しており、パレスチナ市民も受刑者らを放っておかないでしょう」

一方、イスラエル議会がヨルダン川西岸地区の入植地に関する緊急的規制の延長を承認したことについては広く非難されている。

パレスチナ外務省は、この「アパルトヘイト法」は、イスラエルが占領地ヨルダン川西岸地区への入植を正当化しようとするものだと指摘する。

パレスチナ解放機構(PLO)の反アパルトヘイト部門は、クネセト(イスラエル立法府)が、1967年に初めて通過し、更新はきっかり5年ごとに行われるべきこの法律を承認したことを非難した。

PLOは、同規制を入植者に市民と同等の権利を与える「人種差別の植民地法」であるとしている。

さらに、同規則は1990年代まで南アフリカで利用されていた歴史的なアパルトヘイト法と類似していると付言した。

パレスチナ情報筋は、同法律はヨルダン川西岸地区の段階的併合を正当化するものであって国際法違反であると語り、イスラエルによる占領を終わらせるべく人権機関の国際的な法的連携を確立する必要性を強調した。

アラブリスト連合の元イスラエル国会議員で法学教授であるユセフ・ジャバリン氏は、アラブニュースに対し、同規則は「ヨルダン川西岸地区のイスラエル軍司令が入植者をイスラエル国民として扱いイスラエルの規則を適用することを事実上認めるものです」と述べた。

さらに、同法によりイスラエル国内の占領地にいるパレスチナ人を逮捕できるようになると付け加えた。

ジャバリン氏は、ナフタリ・ベネット氏率いるイスラエル前政権は、この法律を成立させられなかったことが政権崩壊の中心的要因となったと語った。

これとは別に、権利団体は、イスラエル国内でのパレスチナ国旗の掲揚および旗振りを妨害するイタマール・ベングビール大臣の決定を非難している。

アムネスティ・インターナショナルは、この動きを「卑怯」な「民族のアイデンティティを抹殺しようとする想定された企て」であると評し、国連憲章および人権に違反するものであると警告した。

ジャバリン氏は、パレスチナ国旗の掲揚を禁止できる既存のイスラエル法は存在しないと述べた。

しかしイスラエルの警察は、公共の安全を理由に旗の使用を阻止する権限を与えられている。

イスラエル警察はこの権限を悪用して、東エルサレムのシェイク・ジャラー地区などでデモを妨害してきた。

「1993年にPLOとイスラエル間にオスロ協定が締結された後も、イスラエルはPLOをテロ組織とみなしています」とジャバリン氏は述べた。

「イスラエル警察がパレスチナ国旗の掲揚を阻止しようとする全ての行為は、法的根拠を持たないものです。なぜならパレスチナ国旗は民族の旗であり、特定の集団や組織のものではないからです」

「それは民族のアイデンティティを表すものであり、表現の自由の一部であると考えられています」

さらに、ベングビール大臣が旗を禁止しようと試みたのは「報復的動機」に基づくものであると付言した。

 

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