アラブニュース
エルサレム/ジェッダ:イスラエルの陸軍長官は金曜日の退官に際して、極右過激派勢力に同国の主導権を引き渡したとして、ベンヤミン・ネタニヤフ首相を激しく批判した。
イスラエルでも有数の強硬な入植推進派と連立合意の樹立を余儀なくされたことに対して批判が噴出しているが、アビブ・コチャビ中将もこうした批判に賛同した形となる。
政権入りを果たした入植推進派の1人であるイタマル・ベングビール新国家安全保障相は、パレスチナ人に対するヘイトスピーチやユダヤ民族主義的テロ集団の支援の前科を有している。
イスラエルの中道・穏健派の政治家は、ネタニヤフ首相が汚職容疑で裁判を受けている間は首相との協力を拒否している。
そのためネタニヤフ首相は、イスラエルの歴史の中で最も極右的な政権を担うことを余儀なくされている。
コチャビ中将は金曜日、占領下のヨルダン川西岸地区でのイスラエルの支配を確立し、国防省を再編し、準軍事的な警察特別部隊を監督下に置くといった入植推進派による計画を批判した。
これらの計画は、イランに立ち向かうというイスラエルの主要な軍事的課題から目をそらすものだと同氏は指摘した。「これらの計画は人々に悪影響を及ぼすものであり、戦争に備えた準備態勢に悪影響を及ぼす可能性がある」とコチャビ中将は述べた。
中将は、占領下のヨルダン川西岸地区に3つの独立した権力者を設けるという連合の計画について、特に懸念を表明した。
ネタニヤフ首相は、イスラエルの入植地計画や、イスラエルが民間人への支配を維持するヨルダン川西岸の一部において、パレスチナ人による建設を規制するイスラエル軍の機関の管理を、右派のベザレル・スモトリッチ財務相に任せることにしている。
スモトリッチ大臣は、ヨルダン川西岸のほぼ全域を併合することを望む超国家主義者であり、イスラエルの産科病棟では母親を宗教別に隔離すべきと考えており、イスラエルの建国者がより多くのアラブ人を追放しなかったのは「間違いだった」と述べている。
コチャビ中将は、スモトリッチ大臣を事実上「ヨルダン川西岸地域の首相」に任命ことは賢明でないと述べた。
「ヨルダン川西岸地区に指揮権を持つ者が二人いてはならない」と同氏は述べた。「我々の間の分断は望ましくないし、人々に悪影響を与え、すべての住民の状況を悪化させることになるかもしれない」
さらにコチャビ中将が懸念するのは、ネタニヤフ首相がベングビール国家安全保障相と合意したことによる動きである。
ベングビール大臣はそのあまりに過激な意見から、軍での強制兵役への参加を禁じられた経歴を持つ。
国家安全保障相として、ベングビール大臣は現在、これまで占領下のヨルダン川西岸地区でイスラエル軍の指揮下に置かれていた準軍事的な国境警察の監督を任されている。
「国境警備隊の仕事は非常によく働いており、現状を維持することが望ましいと考える。指揮系統を維持することが重要である」とコチャビ中将は述べた。
4年近く参謀長を務めたコチャビ中将は、来週ヘルジ・ハレヴィ少将に代わられる予定である。
コチャビ中将によるネタニヤフ首相への批判は、司法当局への政治的影響力を強めようとする政府の計画に対して、数百人の弁護士がテルアビブで抗議した翌日に行われた。
ネタニヤフ首相は、極右閣僚が行ういかなる変更に対しても拒否権を発動できるとして、国民およびアメリカやヨーロッパ、アラブの同盟国を安心させようとしてきた。
しかし、政権に批判的な者たちは、首相は今のところ連立相手を抑制できていないと言う。
イスラエルは1967年にヨルダン川西岸地区をガザ地区、東エルサレムとともに占領したが、これはパレスチナ人が将来の国家建設のために求めている領土である。
イスラエルは数十のユダヤ人入植地を建設し、約50万人のイスラエル人が約250万人のパレスチナ人とともに暮らしている。
国際社会の大部分は、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの入植地は違法であり、パレスチナ人との和平の妨げになっているとしている。
(協力:AP通信)