
アラブニュース
ロンドン:ダーイシュの奴隷となっていた5人のヤジディの女性が国連に、オーストラリア政府に圧力をかけてシドニー出身のダーイシュの戦闘員により自分たちが受けた扱いに対する賠償金の支払いをさせるよう求めた。ガーディアン紙が報じた。
女性たちは2014年、イラクでハリド・シャルーフ容疑者を含むダーイシュの戦闘員の一団に捕らえられた。シャルーフ容疑者はこれまでにもテロ容疑で告発されていたが、オーストラリアを出国してダーイシュに加わっていた。
ニューサウスウェールズ州被害者の権利と支援法は拷問の被害者に1万ドルの補償を認めているが、オーストラリアの裁判所は当局がシャルーフ容疑者の出国とダーイシュに戦闘員として参加することを阻止できなかったにもかかわらず、女性たちへのいかなる金銭的解決も認めなかった。
ヤジディの女性たちは国連拷問禁止委員会に対し、オーストラリア政府に圧力をかけて拷問の被害者に賠償金を支払わせるよう訴えを起こす予定である。
5人を担当する弁護士は、シャルーフ容疑者の犯した罪には普遍的管轄権が適用されるため、オーストラリア政府は国外で起きた事件の場合も国連の拷問等禁止条約に則って行動する必要があると主張する見通しである。
担当弁護士のヤスミン・ワルジェー氏は次のように述べた。「世界が糾弾する恐ろしい運動によって、性暴力と暴力にさらされた女性たちがいるというのに、彼女たちは何の救済策もないまま放置されています。
衝撃的なことです。彼女たちはPTSDや自殺衝動といった、あらゆる種類の長期にわたるすさまじい影響に苦しんでいるのです」
ワルジェー氏は続けて、拷問の被害者は医療や住居など、長期的な必要を満たすだけの財力を持たないと説明した。
「この勇気ある女性たちの経験が広く認知され、記録され、記憶されることが重要なのです」
「私たちがこの問題を明らかにしなければ、状況の改善は決して望めません。
世界はこの運動(ダーイシュ)を糾弾し、今も非難し続けていますが、その被害者を支援するために動こうとはしないのです」
この件を担当するもう1人の弁護人、フィリップ・サンズ勅撰弁護士は以下のように話した。「完全に違法な状況です。西側政府は拷問の根絶を誓いながら、その誓いを実行に移すための制度的・財政的枠組みを提供するという責任を果たす気はないようです。
法的空白があり、それを埋めない限りは罪を犯しても罰せられず、さらなる無法状態が生じます。現行の法的枠組みだけでは状況を変えられないため、このような法の適用によって空白を埋め、オーストラリアを始めとする国家の責任を周知し、被害者に正義がもたらされるよう努めます」