国連：国連のイラク特使は2日、同国の新政府に対し、汚職との戦いを続け、切望されている経済、財政、金融改革を迅速に進めるよう促した。

ジャニン・ヘニス・プラスシャート氏は国連安全保障理事会で、人権の保障、クルディスタン地域政府との問題解決、公共サービスの改善、環境問題への取り組み、そしてシリア北東部のキャンプや刑務所から引き続きイラク人を帰還させるなど、他の多くの分野でも政府の緊急の対応が必要だと述べた。

「イラクの新政権確立が、イラク国家と国民が直面している多くの喫緊の課題に組織的に取り組む契機となることを願っています」とヘニス・プラスシャート氏は言う。「イラクの政治家たちにとって急務なのは、与えられたこの絶好のチャンスをつかみ、繰り返される不安定性と脆弱性のサイクルからついに国を救うことです」

1年以上に及んだ政治的停滞は、10月末まで続いた街頭デモの発生によって終わりを迎えた。イラクの下院がムハンマド・シア・アル・スダニ首相率いる新政府と内閣を承認したのだ。

ヘニス・プラスシャート氏は、最初の3ヶ月間でアル・スダニ政権は、蔓延する汚職、貧弱な公共サービス、高い失業率に取り組む姿勢を示したと述べた。

汚職との闘いについては、盗まれた資金回収のための試みや収賄疑惑の調査など、新政府が実施した多くの重要な取り組みを評価した。

「とはいえ、イラク政府には辛抱強く頑張ってもらうしかありません。失う立場にある人々は、間違いなくこうした取り組みを妨げようとするでしょうから」と同氏は述べた。「しかしもしイラクが、癒着のある閉鎖的なコミュニティに資するのではなく、社会のニーズに応える体制を構築するのであれば、あらゆる分野での説明責任を確保することが絶対に必要です」

国連特別代表であるヘニス・プラスシャート氏は、汚職に向き合い、人々の生活に直接影響を与えるサービスを改善するためには、「体制の変化」が不可欠であると述べた。

経済、財政、金融の改革について同氏は、並行市場での為替レートの上昇に対し、「民間人への負担が増している」と懸念を表明した。

「短期的には、連邦予算を迅速に通過させることが不可欠であることは明らかです」とヘニス・プラスシャート氏は言う。「これ以上の遅れは、周知の歳出の制約により、状況を悪化させるだけです」

高い失業率にもかかわらず同氏は、イラクの「すでに極めて膨張した公共部門」を「さらに肥大化」させないように警告している。

また、価格変動の影響を受けやすい石油に全面的に依存することを改め、雇用を生み出す民間部門の育成など、経済の多角化に注力するよう促した。

さらに、2020年10月に国連が仲介し、バグダッドとクルド人自治政府がシンジャール地方を共同管理する「シンジャール合意」を政府が迅速に実施する必要があると述べた。

この地域にはイラクの宗教的少数派であるヤジディ教徒が住んでいる。同協定は、過激派「ダーイシュ」の敗北後、この地域の寄せ集めの武装集団と、対立する当局に対する国家の支配力を回復することを目的としている。

2014年にダーイシュの戦闘員がイラク北部に押し寄せた際、何千人ものヤジディ教徒の男性を虐殺し、戦争の武器としての性暴力をなくすためのキャンペーンでノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラド氏を含む推定7千人の女性を奴隷にした。ムラド氏は今週、女優で活動家のアンジェリーナ・ジョリー氏とともに故郷のシンジャール村に戻り、ダーイシュによる残虐行為の被害者に会い、この地域の再開発の進捗を確認した。

米国のリチャード・ミル副大使は新政府に対し、人権の尊重を推進し、ヤジディ教徒のコミュニティと緊密に協議してシンジャール合意を実施することを約束するよう求めた。

また、米国は、汚職の根絶と公共サービスの改善、特に電力の供給に対するアル・スダニ首相の努力を支持し、「女性の労働参加推進を重視」しつつ、民間部門の発展と雇用の増加を奨励すると述べた。

ミル副大使はまた、バイデン政権は、再生可能エネルギーの利用やガスフレアの削減など、気候の悪影響への対処についてイラク政府との協力を熱望していると述べた。

AP