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サウジアラビアのKSrelief、トルコ・シリア震災救援を呼びかけ寄付数百万ドルを調達

大地震発生後に瓦礫の中から救出された人。2023年2月8日、トルコのアドゥヤマンのイェニ・マハレ地区。(IHH/ロイター配布写真)
大地震発生後に瓦礫の中から救出された人。2023年2月8日、トルコのアドゥヤマンのイェニ・マハレ地区。(IHH/ロイター配布写真)
2月6日のトルコ・シリア大地震で倒壊した建物。2023年2月8日、トルコ南部のアンタキヤ。(写真:AP)
2月6日のトルコ・シリア大地震で倒壊した建物。2023年2月8日、トルコ南部のアンタキヤ。(写真:AP)
倒壊した建物の下で父親が亡くなったことを救助チームから知らされた男性。2023年2月8日、トルコ南部のカフラマンマラシュ。(写真:AP)
倒壊した建物の下で父親が亡くなったことを救助チームから知らされた男性。2023年2月8日、トルコ南部のカフラマンマラシュ。(写真:AP)
大地震発生後に人々と面会するトルコのタイイップ・エルドアン大統領。2023年2月8日、トルコのカフラマンマラシュ。(AFP)
大地震発生後に人々と面会するトルコのタイイップ・エルドアン大統領。2023年2月8日、トルコのカフラマンマラシュ。(AFP)
治療を受ける地震被災者。2023年2月8日、トルコのアドゥヤマン県立病院。(AFP)
治療を受ける地震被災者。2023年2月8日、トルコのアドゥヤマン県立病院。(AFP)
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09 Feb 2023 02:02:49 GMT9
09 Feb 2023 02:02:49 GMT9
  • 6日未明にマグニチュード8の地震が発生したことを受け、国際的人道対応が開始された
  • サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子は援助物資を航空便で届けるようKSreliefに指示した

ナダ・アルトゥルキ、ルーカス・チャップマン

リヤド/カーミシュリー:サウジアラビアのサルマン国王人道援助救援センター(KSrelief)は8日、トルコ・シリア大地震の被災者救援のためにプラットフォーム「サヘム」を通した寄付金集めキャンペーンを開始したと発表した。

KSreliefの統括責任者であるアブドゥラー・ビン・アブドルアジーズ・アル・ラビーア氏がアラブニュースに語ったところによると、同センターが公式キャンペーンを発表する前から既に、震災救援活動へのサウジアラビアからの寄付は1300万サウリジヤル(350万ドル)を超えていた。

トルコ・シリア大地震被災者救援キャンペーンの立ち上げを主導する、KSreliefの統括責任者であるアブドゥラー・アル・ラビーア博士(右)と、サウジ高位聖職者評議会のメンバーであるシェイク・サアド・アル・シャスリ氏。(ツイッター: @KSrelief )

8日夜の時点で、数十万人から合計約6590万サウジリヤルの寄付が寄せられている。

6日未明、マグニチュード7.8の地震がトルコ南東部とシリア北西部および近隣地域を襲い、9時間後にもマグニチュード7.5の地震が発生した。分かっている限りで1万1000人以上が死亡、数万人が負傷した。

地震発生から2日間、救援活動従事者はトルコとシリアの遠隔地に辿り着くのに苦労している。多くの地域では、生存者発見の希望が薄れていく中、救助隊が素手で瓦礫をかき分けている。

シリア北部の都市アフリーンのジャーナリスト、ロジュ・ムーサ氏はアラブニュースに対し、「ここには今のところ援助物資は1グラムも届いていません」と話す。

国際救済委員会によると、国連の人道援助物資をトルコからシリア北部に届けるために使用できる唯一の国境検問所であるバブ・アル・ハワ検問所は、地震による被害の影響で閉鎖されているという。シリアに入る援助物資の大半はダマスカスを通過する必要があるが、体制は援助物資の各県への分配を厳しく統制しているため、バブ・アル・ハワ検問所の閉鎖によって最も被害の大きい地域に適切かつタイムリーに援助物資を届けることが一層困難になっている。

救急病棟に運び込まれる地震被災者たち。2023年2月6日早朝、トルコと国境を接するシリアのイドリブ県のバブ・アル・ハワ病院。(AFP)

ムーサ氏は、「私たちは、食料、水、毛布、テントなどの援助物資を買って(アフリーンの人々に)送ろうとしています」と話す。「彼らは皆、建物の中ではなく外で寝ています。今の主な問題は、1週間後に瓦礫の撤去が終わったら建物を再建しなければならないということです。アフリーン地域第二の都市ジンデリスでは、90%の人が茂みの中で寝ています」

ムーサ氏の推計では、ジンデリスだけで800~900人の死者が出ている。ここより南にある反体制派が掌握するイドリブでも状況はあまり良くない。

イドリブのジャーナリスト、モハメド・ヤズジ氏はアラブニュースに対し、「まだ建物の下に閉じ込められている人がたくさんいます。あらゆる種類の援助が必要です」と話す。

シリア民間防衛隊(通称ホワイトヘルメッツ)によると、イドリブでは1500人以上が死亡、4200人以上が負傷した。死傷者数は今後さらに増えるものとみられる。

地震で倒壊した建物の瓦礫の中で犠牲者を捜索するシリアの救助組織(ホワイトヘルメッツ)。2023年2月6日早朝、トルコと国境を接するシリアのイドリブ県。(AFP)

ヤズジ氏は、「私たちはイワア難民キャンプに避難しています」と話す。「今のところ地元のNGO(非政府組織)だけが援助物資を提供してくれています。国際援助機関からの支援はありません」

「ここの状況は非常に厳しいので、国際救助チームに来てほしいです。私たちも適切に働いてはいますが、負担は私たちの手に余ります」

世界保健機関(WHO)によると、人命を救うという意味だけでなく、負傷者が悲惨な状況下で生き延びられるようにするという意味でも、救助隊は時間との闘いに直面しているという。

WHOの震災対応インシデントマネージャーであるロバート・ホールデン氏はジュネーヴで行われた記者会見で、当面注力すべきは人命救助だが「最初の地震を生き延びた人々(…)がこれからも生きていけるようにすることも必要不可欠だ」だと述べた。

同氏は、「恐ろしい状況が悪化する中、多くの生存者が屋外で暮らしている」としたうえで、清潔な水、燃料、電気、通信へのアクセスが妨げられていると訴えた。

倒壊した建物の前で焚き火で暖を取る人々。2023年2月8日、トルコ南部のアンタキヤ。(AP)

さらに、「我々は二次災害の危機に直面している。捜索・救助と同じペースと強度で動かなければ、一次災害の時よりも多くの人々に被害がおよぶ可能性がある」と警鐘を鳴らした。「これは簡単な仕事ではない(…)活動の規模が極めて大きい」

いくつかの国がトルコとシリアへの援助を約束している。クロアチア、ポーランド、スイス、インド、イギリス、ギリシャは救助チーム、災害救助犬、消防士などをトルコに派遣して救助活動の支援に当たらせている。

米国もトルコに支援を送るとともに、人道支援団体と協力してシリアに援助物資を届けている。自国の長引く経済危機に苦しむレバノンまでもが、トルコに兵士と初期対応者を派遣した。ヨルダンはトルコとシリアに援助物資を送っている。ニュージーランドと中国赤十字はシリア・アラブ赤新月社に人道支援・経済支援を提供している。

緊急救助チームが倒壊した建物の瓦礫の下にいる人々を捜索する中、瓦礫の上に座る女性。2023年2月7日、トルコ南部の都市オスマニエの郊外の町ヌルダギ。(AP)

サウジアラビアも援助不足を埋めるべく手を挙げ、両国に人道救援物資を届けている。

KSreliefの統括責任者であるアル・ラビーア氏はアラブニュースに対し次のように語る。「我々は全国的な寄付キャンペーンを開始した。男性にも女性にも、ビジネスマンにも個人にも、シリアとトルコの地震で被災した人々の苦しみを軽減するための効果的な寄付を行うよう呼びかけている」

「全ての寄付者に対して言いたいのは、寄付された1リヤル1リヤルが、負傷した人、衰弱した人、救助(を必要としている)人(の苦しみ)の軽減に貢献するということだ」

「我々は、何百人、何千人もの人命を救うことになる非常に重要なプログラムを実行するために、この援助、この支援や寄付を頼りにしている。そして神が望めば、貢献や寄付をする全ての人に良きこと、祝福、報いが返ってくるだろう」

寄付はプラットフォーム「サヘム」またはKSreliefウェブサイトで提供されている様々なチャネルを通して行うことができる。サヘムを通した寄付は金銭のみを受け付けており、KSreliefは手数料を差し引かないため、寄付の100%が受益者に届けられる。

KSreliefは既に、必要としている人々に送るための食料パッケージの確保を始めている。7日には、サルマン国王陛下とムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下がKSreliefに対し、援助回廊を設置してシリアとトルコに医療、シェルター、食料、物流物資を届けるよう指示した。

KSreliefは、過去数年間にシリアやイエメンからの難民を診察した豊富な経験を持つ医師チームも擁している。(SPAファイル写真)

サルマン国王陛下はまた、迅速介入チーム、救急医療援助、サウジボランティア代表団の派遣も指示した。

アル・ラビーア氏はアラブニュースに対し次のように語る。「この立派な仕事に貢献してくれたチーム、特に現場チームには感謝せずにいられない。内務省民間防衛局、サウジ赤新月社、経験豊富なKSrelief幹部、率先して当センターに登録して緊急医療・保健サービスを提供してくれたボランティアなどだ」

王宮顧問でサウジ高位聖職者評議会およびイフタ常設委員会のメンバーであるサアド・ビン・ナセル・アル・シャスリ氏は、シリアとトルコにおける多大な人道ニーズを満たすために尽力しているサヘムキャンペーンを称賛するとともに、サウジのこれまでの寄付金集めキャンペーンが危機に見舞われた多くの人々や国々の助けになったことを改めて強調した。

KSreliefは2015年の設立以来、シリア、イエメン、パキスタン、アフガニスタンなど、世界中の苦境にあえぐコミュニティや国を支援してきた。今回の寄付金集めキャンペーンは、シリアの人々を支援するためのこれまでの活動の延長線上にある。

昨年12月、KSreliefは国連世界食糧計画を通してヨルダンの難民キャンプに暮らすシリア難民に600万ドルを提供し、5万人以上のシリア人の食料ニーズを満たすことに貢献した。

アル・ラビーア氏は次のように語る。「サウジの人道支援はいかなる政治事情や政治的・宗教的・軍事的アジェンダとも関係がない。二聖モスクの守護者(サウジ国王)がKSreliefの設立スピーチで明言した通りだ」

「KSreliefは、いかなる特定のアジェンダともつながりを持たず、シリアの人々がコミュニティの苦しみを軽減できるよう支援してきた。我々の関心は傷ついた人々にある。政治的つながりは関係ない」

サウジの人道援助は長年、政治的な壁を越えて行われてきた。サウジアラビアは昨年10月、ウクライナに4億ドルの人道援助パッケージを提供すると発表するとともに、ロシアによる1年前の侵攻以来続いている紛争の平和的解決を呼びかけた。

サウディアの貨物機から降ろされる食料やシェルターなどの援助物資。スーダンの洪水被災者に対するサウジアラビアの人道支援航空便の一環として提供された。2022年8月、スーダンのハルツーム空港。(SPAファイル写真)

KSreliefは過去の災害時にも国際援助イニシアティブにおいて主導的な役割を果たしてきた。特に重要な役割を果たしたのは、215人以上の死者と6500人以上の負傷者を出し約30万人に避難生活を強いた2020年8月4日のベイルート港爆発事故を受けたレバノンの人々に対する支援においてだ。サウジアラビアは医療用品や緊急物資120トンを積んだ航空機2機を派遣した。

KSreliefは最近にも、昨年洪水に見舞われたスーダンに食料やシェルターなどの援助物資を載せた航空機2機を派遣した。またインドに対しても、新型コロナ対策への支援として60トンの酸素を追加で送った(1回目は80トンを送っていた)。

イスラム協力機構のフセイン・イブラヒム・タハ事務局長は8日、トルコのメヴリュット・チャヴシュオール外相への電話において、同機構とその加盟国を代表して犠牲者への哀悼の意を伝えるとともに、被災者への見舞いの意を表明した。

トルコ・シリア震災救援活動への寄付は、プラットフォーム「サヘム」(sahem.ksrelief.org/SYTR)から、あるいはこのキャンペーンの銀行口座への直接送金によって行うことができる。

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