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トルコ・シリア地震の犠牲者が増加、生存者発見の望み薄れる

捜索活動は続いているが、今では路上に死体が横たわっていることもあり、しかもその数が非常に多い。(AFP)
捜索活動は続いているが、今では路上に死体が横たわっていることもあり、しかもその数が非常に多い。(AFP)
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10 Feb 2023 01:02:04 GMT9
10 Feb 2023 01:02:04 GMT9
  • 真冬に数十万人が家を失ったままになっている
  • シリアの救助隊員によると、犠牲者はさらに増える見込みである

トルコのアンタキヤ、シリアのジンディレス:今週トルコとシリアを襲った地震による死者数は、9日に16,000人近くに達した。災害から72時間が経ち、多くの人が生きていることが確認される望みは薄れ、援助の遅れに不満がくすぶっている。

トルコ政府は、5月14日に予定されている選挙の実施に対して、この災害が「非常に深刻な困難」をもたらしたと述べた。この選挙では、タイイップ・エルドアン大統領が20年間の政権の中でもっとも厳しい試練に直面すると予想されていた。

現地では、トルコやシリアの多くの人々が、凍てつく冬の寒さの中、屋外や車の中で3日目の夜を過ごしている。地震で家が破壊されたり揺れたりして、怖くて家に入ることができないのだ。何十万人もの人々が真冬に家を失うことになった。

真夜中に発生し、その後も強い余震が続いたこの地震による死者数は、人口密度の高いトルコ北西部で同様の強い揺れにより17,000人が死亡した1999年の地震を上回る見込みである。

トルコでは8日遅くに、さらに数人の生存者が救出される映像が流れた。その中には、トルコのハタイにある倒壊した自宅から助け出されたアブドゥラリム・ムアイニ氏がおり、彼は亡くなった妻の隣に6日から留まっていた。

レスキュー隊は、最初の地震発生から77時間後に、マラティア市内のアパートの瓦礫から、メラル・ナキール氏という負傷した60歳の女性を助け出したと、国営放送のTRTが9日の生中継で伝えた。

トルコでの死者数は9日の朝までに12,873人に急増した。12年近くにわたる内戦ですでに荒廃しているシリアでは、シリア政府と反政府勢力が支配する北西部のレスキュー隊によると、3,000人以上が死亡した。

壊滅的な被害を受けたシリアの町ジンディレスでは、イブラヒム・ハリル・メンカウィン氏が、折り畳まれた白い遺体袋を握りしめ、瓦礫の散乱する通りを歩いていた。彼は、妻と2人の兄弟を含む7人の家族を失ったと語った。

「私の兄弟とその幼い息子、そして彼らの妻が見つかったら、これに入れられるようにと思って、この袋を持っているのです」と彼は述べた。

「状況は非常に悪いです。そして援助もありません」

援助関係者は、地震以来閉鎖されていた交差点を使って、9日にトルコからシリア北西部に援助物資を届けたいと考えている。

トルコでは、閉じ込められた人々を救助するための設備、専門知識、支援が不足していると、多くの人が訴えている。時には助けを求める叫び声が聞こえることさえある。

トルコのアンタキヤ市に向かう幹線道路は、少ないガソリンをようやく手に入れて被災地を離れようとする住民や、現地に向かう支援トラックで渋滞しており、さらに救援活動を遅らせることになった。

ケマルパサの町の近くにあるガソリンスタンドでは、寄付された衣類を詰めた段ボール箱が落とされ、そこから人々が衣類を選んでいた。

対応について批判にさらされていたエルドアン大統領は、8日に被災地を訪問した際、現在は救援活動が正常に機能しており、誰も家を失ったままにはならないことを約束したと述べた。

エルドアン大統領はロイターの取材に対して、トルコ人の15%が被災地に住んでいることを考えると、選挙について議論するのは時期尚早であると述べた。当初の予定通り「5月14日に選挙を実施することは、現時点では非常に困難です」と彼は述べた。

トルコ南部の広い範囲で、人々は凍てつく冬の寒さの中、一時的な避難所と食料を求め、家族や友人がまだ埋まっているかもしれない瓦礫の山のそばで苦悶の表情で待っている。

2,300万人が被災

シリアでは、国家を分断してインフラを破壊した紛争によって、救援活動が複雑化している。

シリア北西部のサルキンに住むユセフ・ナハス氏は、「瓦礫の下に大勢埋まっていますが、彼らを引き上げる重機がなく、ボランティアチームも軽装備では活動できないのです」と電話で語った。

シリアの国連大使は、政府が「能力不足、装備不足」であることを認め、10年以上にわたる内戦と西側諸国による制裁のせいであるとした。

シリアの国連援助担当高官であるエルモスタファ・ベンラムリ氏は、北西部のハマ県、ラタキア県、イドリブ県、アレッポ県、タルトゥース県で、1,090万人がこの大災害の影響を受けたと述べた。

トルコ政府は、西部のアダナから東部のディヤルバクルまでの約450km(280マイル)の地域で、約1,350万人が被災したと述べた。シリアでは、震源地から250km離れた南のハマでも死者が出た。

10州に非常事態宣言を発令し、救援のために軍を派遣したエルドアン大統領は、8日にカフラマンマラスを訪れ、当初は道路や空港に問題があったが「今は改善されている」と述べた。
とはいえ、長期政権を維持してきた大統領にとって、今回の災害は選挙においてさらなる試練となるだろう。

政府が今回の災害に適切に対処していないと見なされれば、大統領の見通しは悪くなる可能性がある。

逆に、危機対応を巡って国民の支持を集め、自身の立場を強化することも可能だとアナリストはみている。

トルコでは、災害の影響で一般の人々が「Twitterに頼る」ようになったちょうどその8日に、Twitterが一時的に制限されたと、インターネット監視組織であるNetblocksが述べている。

ロイター 

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