
エルサレム:強硬派として知られるイスラエルのイタマル・ベングビール国家治安相は14日、ユダヤ人入植地のさらなる建設を求める発言を行った。入植地を事後承認したイスラエル政府の決定に対し、欧米諸国から憂慮の声が上がる状況の中での発言だった。
ベングビール氏のコメントはビデオメッセージの形で発表された。過去数カ月、西岸地区とエルサレムではイスラエルとパレスチナ人の間の衝突が続いており、国際社会からは緊張緩和を求める声が上がっていたが、それに真っ向から反発した形だ。
「イスラエルの地はイスラエルの民に属する」とベングビール氏は述べた。これに先立ちアメリカとフランス、ドイツ、イタリア、イギリスの外相は、入植地を承認するイスラエルの決定を憂慮する共同声明を出していた。
12日、イスラエル政府は同国が占領するヨルダン川西岸にある9カ所のユダヤ人入植地を事後承認するとともに、既存の入植地に新たな住宅を大量に建設すると明らかにした。これに対しアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は「深く憂慮」していると述べた。
これに対しイスラエル外務省がすぐにはコメントを出さなかった一方で、ベングビール氏は入植地をさらに拡大したいとの考えを示した。同氏はネタニヤフ連立政権の一翼を担う強硬派の宗教的ナショナリズム政党の出身だ。
「これはわれわれの使命であり政策だ」とベングビール氏は述べた。「9カ所の入植地(ができたこと)はすばらしいが、まだ不十分だ。さらなる建設を求める」
1967年の第でイスラエルが占領した土地に同国が建設したユダヤ人入植地について、世界の有力な国々のほとんどは国際法違反だと考えている。だがイスラエルはその見方に反発しており、監視団体の「ピースナウ」によれば、これまでに132カ所の入植地を建設してきた。
政府の承認を受けた入植地以外にも、ユダヤ人入植者のグループが許可なく建設した入植地は数多い。警察によって破壊された例もあるが、一部は今回のように事後承認されている。現ネタニヤフ政権発足後、入植地の事後承認が行われたのはこれが初めてだ。
フランス、ドイツ、イギリス、イタリアとアメリカの外相は、パレスチナ人が将来のパレスチナ国家の中核となると考えている土地に入植地が建設されることに対し、以下のように共同声明で警告した。
「イスラエルとパレスチナの間の緊張悪化にしかつながらず、交渉による2国家解決の実現に向けた努力を台無しにする一方的な行動に、われわれは強く反対する」と5カ国の外相は共同声明で述べた。
パレスチナ自治政府のフセイン・アル・シェイク民政庁長官は共同声明を歓迎した一方で、言葉だけでなく行動が必要だと述べた。
「言葉が行動になることをわれわれは求める」と、アル・シェイク氏はツイッターに投稿した。
ロイター