
アル・ムッカラー:イエメンの親イラン勢力・フーシ派は、アルカイダとの間で捕虜交換を行ったことを公表した。これまで過激派の捕虜釈放は行っていないと主張してきた同派だが、その態度に変化が出る事態となっている。
この捕虜交換公表の前日には、イエメンのラシャド・アル・アリミ大統領指導評議会議長が、フーシ派は過激派のアルカイダを解放し、武装させ、イエメン政府軍への攻撃に利用していると非難していた。
フーシ派の捕虜交換を担当する委員会の責任者であるアブドゥルカデル・アル・ムルタダ氏は19日、アルバイダ州での戦闘で捕虜にしたとされるアルカイダのテロリスト2人とフーシ派の戦闘員3人を交換したと述べた。
アルカイダの発言を監視している米組織、SITE Intelligence Groupによると、アルカイダはその前日、ジハード主義者としての名前をアル・カカ・アル・バイハニとムワヒド・アル・バイダニとされる自派の戦闘員2人を、フーシ派2人と交換したと発表している。
イエメン紛争の観測筋は、通常はアルカイダとの捕虜交換を秘密にしているフーシ派だが、第三者が詳細を明らかにしたため、今回は交換を認めざるを得なかったと見ている。
イエメンのニュースサイトAl-Masdar Onlineのアリ・アル・ファキ編集長はアラブニュースに対し、アルカイダがイエメン政府を支援する好戦的な党派だと主張することで、フーシ派はこの交換を正当化しようとしていると語った。
「これ(捕虜交換)はフーシ派が秘密裏に行ってきた活動のひとつだ」とアル・ファキ氏は言う。
同様の取引は以前にもあったが、今回のものは仲介者が情報を開示したようだ、とアル・ファキ氏は付け加えた。
そのため、フーシ派はしぶしぶ捕虜交換を認めたが、「攻勢」を支持する認知された党派との取引であるかのように見せかけようとしているのだという。
アル・アリミ議長は、ミュンヘン安全保障会議で18日、フーシ派はイエメンの治安機関がテロ容疑で拘束していたアルカイダとダーイシュのメンバーを解放しただけでなく、彼らを武装させて政府支配地域の軍事・治安目標への攻撃に送り込んでいる、と述べた。
また、イエメン政府は、フーシ派とアルカイダの共謀について、近隣諸国の治安部門や国際社会に広く告知している、と付け加えた。
「フーシ派のテロリストとアルカイダ、そしてダーイシュが協力関係にあることはすでに知られている」とアル・アリミ議長は語った。「彼らはダーイシュとアルカイダの捕虜をすべて解放し、武器や装備を提供し、テロ活動を行うために合法的な政府が支配する地域に送り込んできた」
フーシ派が捕虜交換を認める数日前には、イエメンのアルカイダが、ハッサン・アル・ハドラミという名でも知られるフセイン・ハドブールとその弟ムヘドがイエメン中部マリブ州でアメリカの無人機攻撃により死亡したことを確認している。
確認された事件は、1月30日に米国の無人機が車両を攻撃しアルカイダのテロリスト3人を殺害したことを指しているものと思われる。
イエメンの治安当局とテロ専門家は、ハドブールをアルカイダで爆弾製造を担当していた人物とし、イエメンの治安と軍人の多くを殺害した簡易爆発装置の製造に関与していたと見ている。
イエメン南東部ハドラマウト地方の治安担当官は、数年前、南部の港湾都市シェハーの治安施設で爆発物を仕掛けようとした女性を逮捕した際、ハドブールが彼らの注意を引いた、とアラブニュースに語った。
この女性を尋問し、爆弾に使われた爆発物を追跡調査した結果、当局は、ハドブールがマリブで装置を組み立て、保安検査場で検査されない女性を使ってハドラマウトに持ち込んだものと結論した。
「この人物(ハドブール)はアルカイダの重要な爆弾製造者で、複数の爆発物を製造し、女性を使ってハドラマウトに持ち込ませ、テロ攻撃に使用した」と、この治安当局者は匿名を条件に語った。
ハドブールは殺害されたが、アルカイダによる簡易爆発物(IED)やその他の爆弾の使用が止まることはないだろう、とこの治安当局者は付け加えた。「彼はすでに次の世代の爆弾製造者を育てているはずだ」というのがその理由だ。