Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • イスラエル当局がヨルダン川西岸地区を「ユダ・サマリア行政区」と呼んだことに警戒

イスラエル当局がヨルダン川西岸地区を「ユダ・サマリア行政区」と呼んだことに警戒

Short Url:
15 Mar 2023 06:03:56 GMT9
15 Mar 2023 06:03:56 GMT9

ラマッラー: イスラエル当局が公文書においてヨルダン川西岸地区を「ユダ・サマリア行政区」という語を用いて記したことを受け、ヨルダン川西岸地区の入植地を「秘密裏に」併合しようと画策してるのではないかという懸念がパレスチナ人の間で広がっている。

パレスチナ人のイスラエル情勢専門家イスマット・マンソール氏は、イスラエル財務相ベザレル・スモトリッチ氏がヨルダン川西岸地区を併合しようと画策しており、公的な手続きや行政上・政治上の困難、外的圧力を無視して西岸地区をイスラエルの法の支配下に置こうとしている、とアラブニュースに語った。

マンソール氏によれば、ヨルダン川西岸地区がイスラエル側に併合されても300万人のパレスチナ人の生活は打撃を受けないかもしれないが、パレスチナ政府への政治的・法的な影響は確実であるという。

パレスチナ政府が二国家解決を求める中、併合されればヨルダン川西岸地区は交渉対象から外れ、イスラエルの法の下に置かれることになる、と述べる。

ヨルダン川西岸地区およびエルサレム東部には65万人を超えるイスラエル人が住んでおり、C地区はヨルダン川西岸地区のおよそ60%を占める。

複数の情報源によれば、イスラエル軍事当局は過去55年にわたってヨルダン川西岸地区を指す「ユダ・サマリア旅団」という軍事用語を用いてきた。

パレスチナ人ドライバーらによると、パレスチナの街と街の間を通過中にイスラエル交通警察によって交付される違反切符には「ユダ・サマリア行政区」のロゴがあり、道や各所に置かれた看板もその新しい名前が記されているものに変わってきているという。

パレスチナ人政治アナリストのガッサン・アルハティーブ氏は、スモトリッチ氏は国際的な圧力を受けて、公式の併合に向けて小さなステップを踏むことにした、とアラブニュースに語った。

C地区をイスラエルに併合しようとするスモトリッチ氏の画策をパレスチナ政府は警戒すべきだ、と彼は付け加えた。

行政区の名前とロゴが書かれた交通違反切符(追記)

イスラエル情勢の専門家マジディ・ハラビ氏は、スモトリッチ氏はヨルダン川西岸地区の入植者の生活水準をテルアビブに住むイスラエル人と同等のものに改善しようと努めているのだ、とアラブニュースに語った。

ハラビ氏によれば、ヨルダン川西岸地区のイスラエル人入植者に関するスモトリッチ氏の権限は、自身がイスラエル民政局に対して持つと考える責任に由来するという。

イスラエル民政局がパレスチナ人の民事の問題にパレスチナ政府を介さずに対応することが大幅に増え、入植者への対応はイスラエル省庁を介して行われている。

イスラエル・トゥデイ所属のイスラエル人ジャーナリストのダナ・ベン・シモン氏は、スモトリッチ氏がヨルダン川西岸地区の入植者に関するイスラエル国防軍の民政上の権限をイスラエルの省庁に移そうとしているのは、イスラエルが当該地域を占領しているとは考えていないからである、としながら、「私たちはその地区での客なのではなく、その地の所有者なのです」と繰り返し述べた。

ベン・シモン氏によると、スモトリッチ氏は、イスラエルの入植地および彼がイスラエル市民と考える人々が、行政機関によって管理されることを望んでいるという。彼はまた、入植地をイスラエルおよびC地区に併合することも見据えている。

イスラエル人政治アナリストのヨニ・ベン・メナヘム氏は、スモトリッチ氏はヨルダン川西岸地区への入植者の権利を他のイスラエル市民と同等のものにしようと努めている、と考えている。

「スモトリッチ氏はヨルダン川西岸地区における入植者の問題を全て解決したいと考えています。入植地を適法化し、水や電気といったサービスを供給し、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの影響力を高め、そうすることで入植者からの政治的支持を多く得ようとしているのです」とベン・メナヘム氏は述べた。

それにも関わらず、イスラエル議会(クネセト)は14日の第一読会で、「分離・撤退」法、つまりヨルダン川西岸地区北部の入植地からのいわゆる「撤退」を廃止する法案を承認した。

法案によれば、撤退したヨルダン川西岸地区北部の入植地や、ナブルスとジェニンの間に位置するホメシュなどの、最近撤退した入植地への立ち入りと滞在の禁止が解かれることになる。

イスラエルとヨルダン川西岸地区に住むパレスチナ人は、3月30日の土地の日を記念して、イスラエルによる占領への抗議活動を行う予定である。

 

特に人気
オススメ

return to top