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イエメン北部の男性後見人規則が女性の支援活動を制限

2014年の終わりに政府を首都サヌアから追放して以来、フーシ派は伝統的な社会的価値観の推進を強めてきた。(ソーシャルメディア)
2014年の終わりに政府を首都サヌアから追放して以来、フーシ派は伝統的な社会的価値観の推進を強めてきた。(ソーシャルメディア)
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24 Mar 2023 06:03:52 GMT9
24 Mar 2023 06:03:52 GMT9
  • 紛争により同国は、北部のフーシ派と南部の国連が認める政府の間で分断されている

ドバイ:イエメン北部の女性支援従事者は、フーシ派当局が課す厳しい男性後見人規則によって移動を制限され、世界最悪のもののひとつである人道危機に立ち向かう仕事ができないと、女性人道活動家9名が明かした。

後見人の同伴を拒否する女性は、支援プロジェクトの監督、データの収集、医療およびその他のサービスの提供のために移動することができない。

後見人を伴えば、性別に対する配慮が重要な仕事が困難になるとともに、支援予算に余計な費用負担が発生することになる。

ある医療プロジェクトマネージャーは通常1年に15~20回、全国各地のプロジェクトを訪問するが、イエメン人女性支援従事者にはアラビア語でマフラムと呼ばれる近親者の男性の付き添いが必要だとする規則が1年前に課されて以来、訪問を行っていないという。

「私の家族には男性があまりいません」と語る彼女は、親戚が仕事をすることに反対しているせいで、後見人を進んで引き受ける男性を見つけるのに苦労する女性たちもいると述べた。「家族の誰かに知らせずに働く女性もいます」。彼女はビデオ通話を利用してしのいでいるが、効果的に働くことができないために仕事を失った女性たちを知っている。

イエメンは内戦により、北部のフーシ派と南部の国連が認める政府の間で分断されている。

紛争が経済を破壊し、医療体制を崩壊させ、イエメンの人口3千万人の3分の2が人道支援を必要とする状況に陥っている。支援団体は、女性が世帯主の家庭は食料不足や支援が届きづらい状況の影響を受けやすいという。

現地に女性スタッフがいなければ、顔を覆うベールを上げてもらわなくてはならない場合がある身元確認などの簡単なことを、食料支援の配給のために女性に対して行うのが困難になると、支援団体はいう。

「マフラムの同伴が必要なために、最も疎外された女性のプログラム参加者に人道的介入を行うことがさらに困難になっています」と、栄養と衛生に関して取り組むあるNGOの代表は述べた。

この1年間、女性のイエメン人支援従事者は、イエメン北部を支配する宗教、政治、軍事的運動団体であるフーシ派が支配する県境を越える際には、マフラムを同伴しなくてはならなくなっている。4つの県では県内の移動の際にも後見人が必要となっている。

別のNGOの職員はいくつの地域での状況を説明して次のように述べた。「女性の(イエメン人)スタッフは、ほぼ2年間にわたって事務所の外で働くことができず、これは彼女たちの成長、士気、モチベーションにとって致命的である上に、私たちにとって最も明白なことに、現地において文化に配慮した方法で女性や少女に手を差し伸べるのにも致命的です」

食料と医療を提供するこのNGOの取り組みにおけるプロジェクトの質は、「かなり損なわれて」いると、彼女は述べた。

女性たちは皆、安全上の懸念から匿名を希望した。

フーシ派の支援調整機関SCMCHAの広報官は、支援の配送は応援するが、各団体は伝統を尊重すべきだと述べた。

「マフラムは宗教的なイスラム教の義務であり信仰文化である...なぜ各団体はイスラム教の教えとイエメンの文化の邪魔をするのだろうか」と、この広報官は述べている。

2014年の終わりに政府を首都サヌアから追放して以来、フーシ派は伝統的な社会的価値観の推進を強めてきた。

移動制限は場当たり的に増やされ、その後より組織的なものとなり、支援従事者にマフラムの同伴義務を課すようになった。

国連と米国をはじめとする各国政府は、この制限は女性が公的および政治的場面に参加する能力に影響を及ぼすもので、廃止されるべきだとしている。

抗議のために、多くの国際的NGOが、支援活動のための移動許可を申請する際に後見人を含めることを拒否しており、その結果、許可が得られていない。各NGOはサヌアからの国連のフライトへの搭乗も抗議のために停止している。

「この息苦しい規則は、男性に女性の生活に対する支配権を与えるもので、性別による差別の容認できない一形態である」と、アムネスティ・インターナショナルは述べている。

イエメンの法律は男性後見人の規則を課すものではなく、南部の当局はこの規則を課していない。

「私たちはより多くを成し遂げ、より強くなり、より自立したいのです。しかし、彼らはそれを制限します」と、都市を拠点としており、男性の親族がいないために遠隔地のプロジェクトを監督することができない1人の支援従事者が語った。

人道活動家がマフラム規則の主要ターゲットである一方で、レンタカー会社や輸送会社に対する命令では、全ての女性がマフラム規則を遵守することが求められているが、こういった命令はそれほど厳しく適用されてはいない。

「もし女性がマフラムの同伴無しで長距離移動をしなくてはならない場合、検問所で拘束され、男性後見人がやってくるまで解放してもらえません」と、別の支援従事者は語った。

男の子の親戚を学校から連れ出し、車に男性がいるようにするために病気の親戚を車で連れまわしたあげく、直前になって会合がキャンセルになると、彼女は説明した。

「親戚に支払いをする負担があります。宿泊費、交通費、食費の支払い...これは私たちにとっても寄付者にとっても、費用効率が良くありません」と、ある医療従事者は述べた。

ロイター

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